大学受験するならMacを買え

ちょうど6年前のこの時期「やってよかった中学受験」というタイトルで息子氏の中学受験直前に体験記を書き残したが、今日はいよいよ息子氏の大学受験の合否発表。
合格してから「合格しました!」という体験記を残しても客観的な振り返りにならないので、合否発表前のこのタイミングで「これから大学受験を目指す方の参考になりそうなこと」を、自分への備忘録を兼ねて、そしてあわよくば30年くらい後に息子氏本人が目にすることを期待して書き残しておきたい。

伴走からコーチへ

以前も「中学受験は親子でやる最後のプロジェクト」と書いたがこれは見立て通りだった。実際に中学以降は親が一緒にやることは激減するしそれはとても健全なことだとも思われた。一方で大学受験に際して親が全く関与しないかと言うと(意外なほど)そうでもなく、コーチ役として一緒に考えたり、悩み事の相談に乗ったりと、思いがけず精神的に関与することは多かった様に思う。
中学受験の時に妻氏と相談して「勉強しろとは絶対に言わない」と決めていたが、娘氏が大学受験をした時には娘氏本人から「私には性格的に勉強しろとハッパをかけて欲しい」というリクエストがあって、その時期だけはわざと「勉強しろ」とキューを出すようにしていたりもした。
中学受験は多分に親の意思が働くが、大学受験は子供の意志をサポートする役割に完全に変わる。親も6年という時間で「親に求められる役割を変えなければいけない」というチャレンジがあったことは大きな気づきだった。

推薦とサンクコスト

息子氏は推薦で大学まで行ける中高一貫校に行ったが、これには大学受験というプロジェクトの成否を左右する2つの意外なワナがあった。
1つめは「親が推薦を薦めてしまう」ということ。指定校推薦ではなく一般入試で大学を受けることになると、推薦は辞退しなければいけなくなる。これは親からしてみると「何のために苦労して(推薦がある)中高一貫校に行ったのか」となってしまうのだ。学費もそれなりだし、中学受験も苦労したしというサンクコストを考慮すると「推薦を辞退することは合理的でない、勿体ないこと」の様に見えてしまうのだ。
実際息子氏が推薦を辞退して受験したいと言い出した時に妻氏と少し議論になった。私は企業経営者として常に「サンクコストに未来の決定が歪められることが無いようにする」ことを自分に課しているので息子氏のチャレンジにも全面賛成だったが、妻氏からみると「推薦を使えば受験というリスクのある判断をすることなく進学できるのに、そのオプションを破棄することは合理性に欠ける」と見えたようで、これは一般論としては正しいようにも思える(それでなくても2022年当時はまだコロナ禍真っ最中で、体調万全で受験できるかどうかも運要素があった)。
妻氏の言うことももっともなので最終的には本人の判断に委ねたのだが、推薦のある高校だと親が推薦圧力をかけてしまう可能性が高まることは、中学選定の際に参考にされたい。
もう一つは「推薦で早々に受験モードを抜ける仲間と一番ハードな時間を共有しなければいけない」ということ。高校によっても異なるが、推薦はだいたい11月から12月くらいに決定するので受験組にとっては最もハードな12月以降をモラトリアムモードの仲間と共にしないといけないのだ。幸い息子氏の友人は理解のある人達ばかりで助かったようだが、人によっては受験組を遊びに誘ったりしてしまう子もいるようだ。
昨今大学までエスカレーターで進学できる中高一貫校の人気が高まっていると聞いているが、逆に「チャレンジしよう」という気概のある子にとっては上述した阻害要因があることはもう少し理解されていた方が良いように思う。

受験にはMac

高3の受験モードになってから息子氏が「Macが欲しい」と言い出した。
もともとiPhone, iPadのスクリーンタイムを使ってアプリ利用時間の制限をつけていたが、イマドキの受験にはPCも必要。だが普通のWindowsマシンだと無限にYouTubeを見てしまいそうだということで思案していたところ「パソコンもMacにすればスクリーンタイムでiPhone, iPad, PCで時間を通算して利用制限をかけられる」ということに気がつき、PCもMacにしたいと言い出した。
Appleのスクリーンタイムとファミリー共有を組み合わせると「YouTubeは1日に30分まで」というルールを決めてiPhone, iPad, Macのどれを使ってもトータルで1日30分までに制限することができる。かつ勉強などでどうしても必要な場合は(このご時世学習コンテンツもYouTubeで提供されることがある)親に時間延長のリクエストを送り都度承認を得ることが出来る、という仕組みになっている。この承認リクエストはApple Watchでも受けられるので、離れた場所でも承認リクエストに気がつけるよう親2人も常にApple Watchを付けるようにした。
常日頃息子氏には「自分で何かを成し遂げようと思ったら、自分の意志の力に頼らない方がいいよ」という話しをしていたが、それを自分なりに解釈して実践した結果だと妙に感心してしまった。この仕組みは全受験生の親にお奨めしたい。

最後に

あと1時間ほどで息子氏の合否が分かる。どちらに転ぶかは分からないが、受験期を通じて一貫して「合否は時の運。努力は一生の宝」と伝えてきた。はっきり言って受かっても落ちてもどちらでも良いと心から思っていて、合否そのものよりも本人が目標を目指してちゃんと努力をし尽くしたこと、親としてもコロナやインフルが流行る中でも100%の体調で送り出せたことに今は安堵しかない。
親から見ると「人生で後戻りの効かない失敗は存外に少ない」と知っているので、受験で期待通りの結果が出せなくても人生は何とでもなると言い切れるが、当の本人にしてみれば生きるか死ぬかの瀬戸際と見えるはずなので口にしないプレッシャーや緊張感はあったんだと思う。
それらを乗り越えてチャレンジすることに意味があると思うし、こうした経験こそが将来の自分を造っていくのだと思う。親としてはこうして親元を離れていくことに寂しさも感じるが、貴重な経験を糧に立派な大人になっていく娘氏息子氏に安堵の気持ちの方がずっと大きい。

受験お疲れさま!


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