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これからの時代の学びについて

先日、中学受験に関する塾の説明会に参加した際、「『2025年の大学入試の改革』に伴い、子どもたちの学びに求められるものが変わってきた」ということを知りました。今後、親として、子どもの勉強の伴走をしていく上での基礎知識として、「学習指導要領の改訂」と「2025年の大学入試の改革」について調べたことと、説明会の中で塾の先生から教わったことをまとめてみます。

■「学習指導要領の改訂」でめざすこと

ざっくり言うと、今の時代に求められているのは、「自らタスクを設定し、知識(≒データ)を生かして判断し、行動する力」。子ども達がこの力を身につけられるようにするために、この3年の間に、小・中・高で、学習指導要領が改訂されたとのこと。

あれ、これって、まさに、DATA Saberがめざす姿ではないか、とビックリしました。時代に求められているから、DATA Saberの数がどんどん増えているんだろうなぁ。

Visual Analyticsのサイクル

(参考)学習指導要領の改訂内容詳細

改訂に込められた思い
学校で学んだことが、子供たちの「生きる力」となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。
これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたい。

「学習指導要領」には、そうした願いが込められています。

これまで大切にされてきた、子供たちに「生きる力」を育む、という目標は、これからも変わることはありません。
一方で、社会の変化を見据え、新たな学びへと進化を目指します。

生きる力
学びの、その先へ

「学習指導要領」の内容を、多くの方々と共有しながら、子供たちの学びを社会全体で応援していきたいと考えています。

学習指導要領 | 文部科学省 

これからの時代に求められる人間の在り方を描くとすれば、以下のような在り方などが考えられる。

・社会的・職業的に自立した人間として、郷土や我が国が育んできた伝統や文化に立脚した広い視野と深い知識を持ち、理想を実現しようとする高い志や意欲を持って、個性や能力を生かしながら、社会の激しい変化の中でも何が重要かを主体的に判断できる人間であること。

・他者に対して自分の考え等を根拠とともに明確に説明しながら、対話や議論を通じて多様な相手の考えを理解したり自分の考え方を広げたりし、多様な人々と協働していくことができる人間であること。

社会の中で自ら問いを立て、解決方法を探索して計画を実行し、問題を解決に導き新たな価値を創造していくとともに新たな問題の発見・解決につなげていくことのできる人間であること。

新しい学習指導要領等が目指す姿:文部科学省 (mext.go.jp)

現在、日本では、令和2年度から小学校が、令和3年度から中学校が、令和4年度から高等学校が新しい学習指導要領に基づくカリキュラムとなり、今回は、評価の観点も4観点から3観点に新しくなっています。また、世間では、学校の先生方の多忙、業務超過が頻繁に話題になっています。(中略)新学習指導要領では、教科書の在り方、授業の在り方の変更が唱えられており、その裏で示唆されているのが、家での自学自習の見直しです。幼児期より体験したこと、経験したことを言語化し、体系化し、仲間と深め合うのが学校での学び。つまり、基礎基本となる「経験」と「経験からの知識の習得」は、各家庭でしてくるようにとなっています。(中略)この夏(※2022年夏)、大きな変化が見られたと思うのが、「夏休みの宿題の変化」です。では、どのような変化が見られたのか・・・我が息子の学校のみならず、ニュースでも聞いたことが、「夏休みの宿題の簡略化」です。学校から大量の宿題が出なくなりました。(中略)なぜ、今年の夏は宿題が減ったのか?1つ目の理由は、ニュースでも報道されていた「先生の業務改善」です。(中略)2つ目の理由は、新しい3観点の3つ目「学びに向かう力・人間性など」の影響です。3観点(知識・技能、思考力・表現力、学びに向かう力・人間性など)になったとき、一緒に示されたことが、学習評価にPDCAサイクルを取り入れるということです。簡単に言えば、「自ら、学習上の目的や課題を見つけ出し、学習に取り組み、結果が出たらそれを振り返って、次の学びにつなげる」ということ。学校から大量の宿題を出して、1学期の復習のあれをやりなさい、これをやりなさいと指示していては、3観点目の「学びに向かう力・人間性など」が評価できないんです。よく、教科書編集中に言っていた言葉は、「ちょっと不親切な教科書にすることで、自ら考え、調べ、話し合い、深める力がつく」です。つまり、教科書も学校も手取り足取りやりすぎると、受け身の学習になってしまい、結果的には何も身につかないわけです。自分で学ぶ目的を見つけ出し、やらなくてはいけないことを整理し、計画し、取り組み、もう一度振り返ること。

2022年夏休みの宿題の変化~新学習指導要領の3観点~|りかママ|note

今回の改訂では、少子高齢化やIT化にどう対応するかが大きなテーマになっています(中略)日本は今後、少子高齢化が進み、約50 年後には総人口が約3割減少し、65歳以上の割合が総人口の約4割に達する見込みだと言われています。超高齢化社会の到来です。さらに15歳以上64歳未満の生産年齢人口も減り続け、2060年には、2010年と比べて約半数まで減少する見込みです(中略)先輩の背中を見て仕事を覚えるといったような時間的な余裕はなくなり、即戦力として働くことが求められる傾向はさらに強くなるでしょう。言われたことだけをやるのではなく、自ら課題を設定し主体的に行動できる人材が求められる時代になる。学校にもそうした教育が必要だということです(中略)授業でポイントとなるのは〝探究〟と〝協働〟です。例えば『神奈川県の県庁所在地はどこですか?』というのは知識を問う問題ですが、これを発展させて『なぜ横浜市が県庁所在地だと思いますか?』と問うと、思考力・判断力・表現力を引き出す問題になります。横浜市の人口はどのくらいか、産業は何かといったことを調べることで、横浜市が県庁所在地である理由を自分で考えるようになるからです。この質問をさらに発展させると、『あなたなら神奈川県の県庁所在地をどこにしますか?』という問いかけになります。藤沢市や鎌倉市、いろいろな意見が出てくると思いますが、しっかりとした根拠やデータに基づいて答えを導くことができれば、より高いレベルで思考力や判断力を養えるのです。穴埋めテストで知識を問うだけではないという点で、評価の在り方も今後さらに検討する必要があるでしょう(中略)新学習指導要領が求めるのは、こうした主体的な学びだ。自ら課題を見つけて情報を集め、分析し、提案するのが探究学習であり、さらに他の人と協働することでより多くの意見や知識を得ることができる。インプットが大きくなれば、アウトプットもしやすくなる。(中略)「教育の主体はあくまで子どもです。それは高校生も大学生も、社会に出てからも一緒です。ですから、教員は子どもを育てるのではなく、〝子どもが自分で育つように働きかける〟というのが正しい在り方だと思います

特集:変わる 高校の学び(1) (nihon-u.ac.jp)

■2025年の大学入試の改革の目玉

さて、2025年の大学入試では、出題教科や問題構成が変わる見通しですが、目玉の一つは、国立大学での「情報」の受験の原則必須化。ますます、データ活用の重要度が増していきそうです。他にも、コミュニケーション能力やディスカッション能力といったものも、全般的に求められるようになってくるようです。

(参考)2025年の大学入試の改革概要 ※一部抜粋

経済産業省の「DXレポート」では、2025年に日本の経済界においてさまざまな課題が顕在化し大きく競争力を削ぐと予想し、これを「2025年の崖」と呼んでいます。日本の企業が古い体質、業務、システムを変えることができずに進んでしまった結果、取り返しがつかない状況になってしまうとしています。実は2025年は大学入試においてもターニングポイントとなる年です。(中略)特に最も大きな変化は「情報(情報I)」が大学入学共通テストに出題されることです。共通テスト全体としては5教科7科目から6教科8科目へ再編され、受験生にとっては受験科目増に繋がっています。しかしながら、情報教科の指導力のある教員不足、教育関係者の認知不足で「情報I」の内容が学校でしっかり教えられていなかったり、入試に課されない“副教科”のような指導のされ方をしています。しかし、2025年度入試以降、国立大学を志望する生徒は「情報(情報I)」の受験が原則必須となり、公立大学もこれに追従しています。さらに、私立大学においても早稲田大学など主要大学で「情報」が出題されることが発表されています。学校の授業で習っているうちからしっかりと「情報I」に取り組んでいた生徒と、共通テスト直前になって勉強を始めた生徒で大きな差がつくことが予想され、当会ではこれを「教育版2025年の崖」と呼んでいます。また、大学1年の教養科目で取り入れられている「情報」の授業は、「情報I」導入に伴いレベルアップした内容になります。高校で「情報I」をしっかり学んだ生徒とそうでない生徒では、大学受験だけでなく、入学後のIT活用・データ活用力で差が出てきます。最終的にその差は社会人になって仕事をしていく中でも活躍度合いの差として現れてくるでしょう。

教育版2025年の崖:情報教育をめぐる動向|情報教科受験対策研究会(新課程:情報I情報II準備)

■中学受験への影響

上記背景を踏まえて、中学受験にも、こうした影響が徐々に出てきており、今年の入試問題の傾向と対策として、塾の先生から、以下のような話がありました。

  • 問題文が長文化しているため、しっかり問題文を読む「読解力」が大切。また、与えられたテーマ・課題について、自分の言葉で論理的に説明できることも必要。

  • ”見たことないからお手上げ”ではなく、初めて見る問題に対し、「粘り強く考える力」が求められる。

  • 「知識を組み合わせて活用する力」、「複雑な内容を整理し、シンプルに紐解く力」が問われる。それには、「粘り強さ」や「多面的なものの見方」が重要なポイントになってくる。

  • 「わかる」と「できる」は違う。情報をいかに整理し、活用できたかが勝負になる。手を動かしながら考えることが大事。ちゃんと手を動かし、「最後までやり抜く」の積み重ねが解く力につながる。

  • 基本知識の理解と定着が合否を分ける。知識の定着には、知識を覚えるだけではなく、アウトプットと発信が大切。

そして、こうした力を身につけるには、「やらされる勉強ではなく、自ら進んで勉強をし、自分の頭で考える癖をつけ、自分の考えや意見を発信する」ことがポイントになってくるとのことでした。

そのための原動力になるのは、学習を楽しむ工夫(興味・関心の幅を広げる、切磋琢磨し合う仲間を作る等)と将来ビジョン(「将来こんな人生を送りたい」といった志)。

実際、こんなツイートも見かけたので、難関校に合格するようなすごい子たちは、きっと、高い目標を立てつつも、目標達成に向けて、楽しみながら勉強しているんだろうなと思います。

そして、親の関わり方もとても大切で、ほめる時にしっかりほめることが大事になってくるとのアドバイスをもらいました。

中学受験の道のりは、本当にハードで、最後まで完走できるのか、現時点では全く自信がないですが、こうした内容は、DATA Saber Bridgeで師匠をさせていただいた中で、試行錯誤したことにすごく近いなと思いました。

DATA Saber Bridgeの期間中に学んだことを、子ども達に還元していくことで、どんな形であれ、子どもたちの明るい未来につなげていきたいです。