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新緑の頃:山友の落語のようなほんとの話。浮気がばれて離婚。

 
すでに亡き山友の話。
山の先輩でもある山友が、ある年の新緑の頃、「話があるからちょっと山に付き合え」と言う。

緑が体の中まで滲みこみそうな若葉の中で、先輩がぽつりと言った。
「俺、もうすぐ離婚するよ」
「えっ!!・・・」
奥さんのほかに女性がいることは、酒の席で聞いたことがあるが、まさか・・・・

なんで?と尋ねると、事の次第を話してくれた。
その夜は彼女のアパートで少し飲み過ぎたため、深夜になってからタクシーで自宅に帰って寝たとのこと。
眠りが浅かったのか、ふと目が覚めて「あっ!遅くなった。帰らなくちゃ」と言いながら起き上がり、ワイシャツを着てズボンをはき、靴下を捜そうと脇を見ると、自分の奥さんが布団の上に座っていた。

笑っちゃいけないけど、落語のような話が現実にあるのだと認識した。
そういえば、私だって山小屋で寝ていてふと目が覚めた時、自分がどこにいるのか一瞬わからなくなり、茫然とすることがある。
愛人を持った時には充分に気をつけなければいけないと、肝に銘じた。
(幸か不幸か、愛人を持つ機会はなかったが・・・)

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