見出し画像

社会保険労務士の業務を御存知ですか?

あけましておめでとうございます。
昨年中は多くの皆様に支えていただき、感謝申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は、記事からの雑感ではなく、社会保険労務士そのものについて少しお話させてください。
12月初旬となりますが、30年ぶりくらいにお会いした知人から聞かれたことに、「社労士ってなんで必要なの?手続きなんか自社ですればいいだけでしょ?」というお話がありました。その知人は、別にイヤな事を言って私を困らせようとしたわけではなく、純粋に疑問として投げかけてきたのでした。

たしかに、社会保険労務士の仕事ってわかりにくいだろうと思います。例えば税理士さんや弁護士さんなら、どういうお仕事なのかわかりやすいですし、お客様の方からの御要望も出やすいように思います。でも、社労士って一体何してくれるの?という疑問は多くの経営者の皆様がお持ちなのだろうと思います。
ということで、私(大神)が業務としてどのようなことを行っているのかについてお話します。ただ、これはあくまでも私がしていることであって、他の社労士もやっているかどうかは不明ですので御了承ください。

まず、社労士の仕事は大きく二つにわかれます。ひとつは年金に関すること。もう一つは労働に関することです。
年金に関することは多くの場合、障害年金の支給手続きの代行となるかと思います。しかし、私はこれについては余程特殊な事情がない限りは行っていません。私のところにご依頼いただいた場合は、障害年金専門の社労士さんを御紹介しています。ただ、年金機構や厚生労働省の決定について不服がある場合の行政不服審査については、必要があれば支援させていただいています。また、一般的な年金相談は対応しています。
私が行っている業務は基本的に労働に関することです。簡単に言えば、会社の総務・人事・労務といった部署のお仕事のアウトソーシングとお考えいただければわかりやすいかと思います。

① 社会保険や労働保険に関する手続きをします。従業員を雇用したり退職したりするときの手続きももちろんですが、6月から7月に掛けて行われる労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎の手続きや労災が生じた場合の手続き等も対象となります。また、それらに関するご相談にも対応いたします。

② 労働基準監督署や年金事務所の調査や是正勧告に対応いたします。特に年金事務所の調査は社労士が対応した方がスムーズに進むようです。お忙しい経営者御自身や担当者の方のお手を煩わすことなく調査を終えることができます。また、労基署の是正勧告が出た場合は是正報告書の提出を求められますが、この対応についての御相談や面倒な報告書の作成をお任せいただくことができます。

③ 就業規則の作成をいたします。就業規則には本則と賃金規程と育児介護休業規程がワンセットになっていることが多いですが、必要があれば退職金規程やマイカー通勤規程、慶弔見舞金規程等も作成いたします。
法律上、10人以上の従業員を雇用する企業(パート等を含む)は就業規則を作成して労基署に提出する義務がありますが、昨今の状況を考えれば従業員数に関わりなく作成された方が無難です。
就業規則を業務として作成できるのは社労士と弁護士です。コンサルの方が作られるケースもありますが不適切ですので御注意ください。そして弁護士さんが作られる場合も、残念ながら就業規則としては不十分なことがあります(現実に、私は弁護士作成の就業規則で絶対的記載事項が殆ど記載されていなかったものを見たことがあります)。やはり、その道の専門家に御依頼された方が良いものが作られるのではないかと思います。
実際に、私が拝見させていただいて、全く手直しが不要だった就業規則はどなたが作成されたかに関わりなくありませんでした。すでに就業規則を作られていらっしゃる場合も、これから作られる場合も、お問い合わせいただければと思います。

④ 経営者と従業員の間に立って、クッションの役割をします。これは全ての社労士ができるわけではないと思いますので御注意ください。
社労士は、経営者側や労働者側のどちらか一方の「味方」となって相手を攻撃したり説得したりすることは禁じられています。中立の立場で双方のお話をお伺いし、その企業において一番ベストな労働環境を整えるのが社労士の仕事です。
ある程度の規模の企業であれば労務管理に関する担当者や部署もできてくるかと思いますが、そうではない場合は経営者と従業員が直接お話をしなければならないこととなるケースが多いと思います。この場合に間に立つクッション役がいるかどうかで物事がスムーズに進むかどうかが大きく変わってくることとなります。担当者がいらっしゃる規模の企業でも第三者の意見を入れるかどうかで話のまとまり具合が変わってきます。
特に、従業員の方が一定の資格等を持たれプライドが高い業種であった場合に、特にこの問題が生じます。先日お会いした、とある国家資格の方を雇用する企業を経営されていた方のお話で、このようなことがありました。「会社を立ち上げた時から顧問弁護士と顧問税理士と顧問社労士を付けていた。社労士についてはある人から言われて付けたのであって、その必要性が最初からわかっていたわけではないけれど、この社労士の先生にとても御世話になって、すごく感謝している。社労士は従業員との間に入って緩衝材になってくれるので、とても有難かった。」
こういうケースは企業規模に関わりなく生じる可能性があります。直接経営者が関わることによってより問題が深刻化することもあるのですが、間にクッションを挟むことによって、それを回避できるようになります。従業員との関係が悪いわけでなくても、従業員の苦情窓口として社労士を置いておくことは労働環境の改善に良い結果となりますし、それによって新しい雇用もしやすくなります。これは社労士を利用する大きなメリットだと思っています。

⑤ 給与計算をいたします。ただ、給与計算は税理士さんもされるかと思います。税理士さんは数字の扱いには慣れていらっしゃると思いますが、その前提となる労働時間のカウントについて御理解いただけていないことがあるようです。給与計算そのものについてもですが、給与計算の前段階の労働時間のカウントについて疑問がある場合は社労士にお問い合わせください。

⑥ 特定社会保険労務士限定の話になりますが、個別労働紛争の代理人を行うことができます。もし従業員の方が労基署等のあっせんを利用された場合に御依頼いただけます。また、労働組合との交渉に立ち会うこともできます。
  
⑦ 助成金申請の手続きをいたします。ただ、私の場合は助成金申請をするのは顧問先様に限定させていただいています。これは、どのような企業であるのかもわからず助成金を申請することはできないからです。ここ数年、「助成金を取る」という営業をされる方もいらっしゃいますが、本当に助成金が受給できるのかどうかは、それぞれの企業の状況によりますので御注意ください。特に社会保険労務士ではない企業や団体が助成金ビジネスを行うことは違法行為ですので、関わらないように御注意ください。

大体、このような仕事をしています。すぐに企業の収益に直結することは少ないかもしれませんが、労働環境を整えて従業員の皆様に気持ちよく働いていただけるようにすることは、結果的にお客様の満足度が上がり業績アップにも繋がります。また、「良い会社である」となれば、それだけ求人もしやすくなります。社労士の活用によってより優れた企業となられることを願っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?