雨で思い出すあの日


今日は昨日と打って変わって雨です。小降りとも言えないくらい見た目が霧に近いくらいの雨です。

雨の日に結構な確率で思い出すことがあります。東京恵比寿の景色です。
もう2、3年前の事ですが夏の始まりくらいにひとりで東京散歩に出掛けたんです。朝はとてもいい天気だったんですが昼間突然天候が変わってまさかの大雨。慌ててお店の軒下に逃げ込みました。

逃げ込んだ場所は何か食べられそうなお店でした。ちょうどお昼の時間だったし、降る雨の影響で店内は比較空いていたのでそこで食事をすることに。そこはウッド調の店内で少し日本離れした空間を演出したサラダのお店でした。地元にはこういう洒落た感じのとこはないし、サラダをウリにするようなところもないし、新鮮味を感じるとともに偶然この店に飛び込んだ自分に少しラッキーさを感じました。しかしお洒落過ぎて何をどう頼んでいいかわからないわけです。

好きな野菜やトッピング、ドレッシングを選んでオリジナルサラダを作れるようなのですが、初心者には案外難関でした。「ご利用初めてですか?」のありがたい一言に乗っかってshinyaオリジナルのシーザーサラダが出来あがりました。

晴れの日だったらオープンテラス風に開放されているであろうテーブルが、その日は雨なので折りたたみ窓がカーテンのように引かれていて、そのすぐ脇に置かれたテーブルでサラダをいただきました。

窓に吹き付ける雨を見ながら食べるサラダも美味しいもんですよ。なんだかすごい洗われている気分。一人前と言われて買ったサラダが結構大盛りで、雨の様子を見ながらゆっくり口に運んでいたら30分くらいは経っていたでしょうか。ずぶ濡れのまま過ぎゆく人やしぶきを上げて通り過ぎる高級外車なんかを見て過ごすなんともゆったりとした時間でした。日頃お昼なんて10分かからず食べ終わらせるのにその日はそんな時間をいつの間にか楽しんでいました。

そんなゆったりした時間を過ごしてもまだ雨の止む気配はありませんでした。入ってくる客もいなければ出て行く客もいない空間。みんな同じ時間を共にしたわけですが、周りの客と僕の大きな違いがありました。僕だけ傘を持っていなかったんです。このまま雨が止むまで居座ってもいいかなって思っていたけど、せっかく来た東京でもう一ヶ所くらいどこか行きたいなって思っていたんです。そしたらそんなソワソワ感が店員さんに伝わったんでしょうか。なんとその店員さん私物のビニール傘を僕にくれたんです。もちろんそんなご好意にのらせてもらうわけにはいきません、だって店員さんだって困るだろうから。でも店員さん「私が仕事を終える頃には雨は止んでいるでしょうから。雨が止んでいると傘を持ち帰るのを忘れるんです。忘れたままにしておくと店長にあとで整理されちゃうんです。家に帰れば他にもあるんで」と言ってくれて最終的にご好意に甘えることにしました。

靴はビショビショになりながらも膝から上はほぼ濡れずに帰ることができたんです。夏の電車は冷房で冷えますからね。頭や背中を濡れさせないでくれた傘の存在、そのサラダ屋店員さんには本当に感謝しました。


そのビニール傘、今でも大事に使っています。
そんな傘を今日みたいな雨の日に広げるとこんな恵比寿の景色がドラマのように思い出されます。こんな暖かいエピソードのある恵比寿って街が好きだし、心が暖かくなれる雨の日の思い出があるから、雨の日も悪くないなって。

良いことも悪いことも過去のことは思い出さないように生きている僕ですが、こういう心温まるエピソードは今日という日を生きるにあたって活力になるので例外的に思い出してもいいかなと思っています。


相変わらず濃霧のように細かい水滴が視界を遮るような雨が降っていますが、いつも見ている景色がこの霧雨の向こうでどんな表情をしているのかを知りたくなったのでちょっと今日は出かけてみたいと思います。

あのビニール傘を携えて。



以上、雑談でした。
それではまた、shinyaでした。

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