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Amazon Prime Videoで「ケイコ 目を澄ませて」観た

2回観ちゃった。

川がね、好きなんですよ。
なんでかはわからないんですけど。
それも上流のいわゆる「清流」じゃなくって街の真ん中を流れる川が。
河口付近(海が近いことがそれとなくわかる)だと尚良い。
ずっと見てられる。

あと、前の仕事で足しげく通ってたのもあって東東京が好きです。
もう結婚して子供もいてそれなりに生活の基盤ができちゃってからのことだったんで
引っ越そうみたいな気にはなりませんでしたけど、
独身だったらあっちの方に住んでたかもしれない、衝動的に。
具体的には千住大橋とか牛田あたりに。

で、この映画荒川の河川敷がめちゃくちゃ出てくるんですけど
前の仕事(外回り)で時間が余ると次の客先まで歩いたりしてて、
当時めちゃくちゃその辺歩いてたんです。

だからかなんか余計グッときちゃって。

なんていうのかなぁ、
「趣味」というには重すぎる。
「人生」を賭けるには遅すぎる。
でも今の自分にとって欠かすことのできないなにか。

仕事にも生活にも「それ」のせいでちょっとずつ影響が出ちゃって
ある時ふと我に返って「あれ?なんでこんなことやってるんだっけ?」ってなる。
やめようと思えばいつでもやめられる。
でも「それ」を手放すと自分ではなくなってしまうような。

そんなものを持っている人には刺さると思います。

格闘技を含むスポーツにおいて、比喩的な意味でも本質的な意味でも
「前に出る」という行動は「相手のエリアに飛び込んで何かを奪うこと及びその意思表示」
だと思っているので、
(リスクは極大、リターンも極大。もちろん恐怖も極大。)

ボクシングという競技において、セコンドの指示も、ラウンドを告げるゴングも、対戦相手の息遣いさえ聞こえないケイコが、
前に出続けることで何を奪おうとしたのか。

それを想像すると少しだけ前に進む勇気が出ます。

また映画的な技法のことはよくわかりませんが、
ケイコの持つ「静寂」に古臭いフィルムの質感はとてもよく似合っていました。
作中ジムの会長である三浦友和をして「目がいい」と評されるケイコの日常が、
なんとなくずっと仄暗いのも印象的です。
(だから受け入れ先の『近代的で』『明るい』場所を拒絶したのも理解できるような気がします)

あとまあこれはもう公開当初から各所で絶賛されてて実際に賞も獲ったのでここで言うことじゃないのかも知れませんが、
ケイコ役の岸井ゆきのがめちゃくちゃいいです。

彼女の代表作になるだろうなー。

90分ちょっとなのでアマプラ加入している人はぜひ。

★★★★☆

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