不要な採用基準と最悪な断り方

追記(2018/8/3):「お手頃な方法、それは「面接の最後に総括をする」を追加しました。

今回は、不要な採用基準を設定して生じるリスクと、応募者に対しての断り方についてお話していきます。

募集する段階、求人情報に関する記事は前回の、『御社のその求人内容で人材が集まりますか?』をご覧ください。

不要な採用基準で企業に損失

『御社のその求人内容で人材が集まりますか?』の「7.応募資格」にも関係することですが、採用基準を正しく設定しなければ、企業に損害を与えてしまいます。それも長期的にです。なぜなら日本企業では今なお「一社に所属し続ける文化」や「解雇しづらい環境」にあるからです。

企業のミッションに関係のない採用基準

「コミュニケーション能力の有無」もなかなか粗末な採用基準ですが、具体的には「面接中に笑顔で応えない」などがあります。これは直接企業のミッションに関係のない採用基準です。

例えば、営業職であればその基準も重要でしょう。しかし、多くの職種では直接的には不要です。むしろ、他のスキルの比重の方が大きいはずです。このような不要な基準で不採用にした結果、どのようなリスクが発生するでしょうか。

そもそもコミュニケーション能力が高い人と低い人は多く居ます。一朝一夕で鍛えられる能力でもありませんし、先天的なものでもあります。であれば、どのような人でも意思疎通できる仕組みを施策し実行するのが企業の役割です。
「あなたとは意思疎通がしづらいので一緒に働きたくないです」というのは身勝手であり人格否定です。

不採用にした後の貴社のイメージ

不要な採用基準で不採用とした場合のリスクとして、企業イメージの悪化があります。たとえ「面接中に笑顔で応えない」が便宜上の不採用理由だったとしてもです。もっと言えばこれが一番最悪な断り方とも言えます。

ここで、誠実に不採用理由を通知する企業があったらどうでしょう?相対的にさらにその企業イメージは悪化するでしょう。相手を粗末に扱えば必ず自身に返ってきます。

「うちは大企業で一人一人に不採用理由を述べてる暇は無い」と思うでしょう。正論ですが、例えば定型であっても大まかな不採用理由を通知するシステムを利用する企業があったらどうでしょう?そのような企業は「あぐらをかかずに不採用者にも時間やお金を費やす誠実な企業だ」と思われるでしょう。もしかすると数年後、お客様として会うかもしれませんし、再び転職先としてその企業を選ぶかもしれません。

「しない」と「する」は相対的に2倍以上の差が出ます。もちろんリスクを考慮しての判断でしょうが、そのリスクは一時のものではなく長年続くものと覚悟しておくべきです。

また、このような評判やイメージは指数関数的に広がります。
なぜなら、応募者の家族、友人、家族からご近所さんへ…と広がるからです。今の時代、ネットで広まるかもしれません。そうなればイメージの拡散はあっという間です。


お手頃な方法、それは「面接の最後に総括をする」

お金と時間をかけずにこれらに対応する方法として、面接の最後に総括をする方法があります。

現段階で採用の合否が決まっていなくても、面接が終了した際に総括をすることで面接をした結果がどういうものだったのかを共有することができます。

例えば、「貴方からは〇〇な印象を受けました。〇〇のスキルもありますし、〇〇な点はとても素晴らしいと思いました。××な点についてもう少し××であれば良いという印象を受けました。」と。時間にすれば1分もかからないでしょう。お金もかかりません。

共有できれば、不採用、採用、いずれであっても応募者は「あ、総括で言われてたあの点が企業とマッチングしなかった(した)のかな?」と納得することができます。それだけで今まで理由も知らされず結果に振り回される悶々とした印象とは大きく違ってくるでしょう。


採用は企業のキモ

採用活動は雑多とした業務が多いでしょう。しかし、採用は企業のキモであることをしっかりと意識しておきましょう。
「慣例だから」と思考を止めるのはやめましょう。時代に取り残されてしまいます。
採用に従事する人間は、長期的、広い視野をもって仕事をしなければならず、企業と応募者の未来を左右するシビアな職種でもあるのです。


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