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「御社のその求人内容で人材が集まりますか?」

(2018/5/25 追記)「7.応募資格」について追記しました。
(2018/5/10 追記)「8.掲載画像」を追加しました。

今回のお題は、企業の求人情報の内容についてです。

求人情報は応募者がアプローチする最もフロント部分です。この求人情報の書き方や情報開示内容により大きく応募者の数と質が変わります。

一般的な企業のリクルートページや求人サイトを想定して、各項目の重要性やBadパターンから正しい書き方を紹介します。


最低限やるべきこと

はじめに、詳細な話に入る前に最低限するべきことがあります。それは、すべての項目を記入することです。

応募者には書類選考の段階で情報の開示を求めるが、企業の情報は出さないのは不誠実です。応募者は数十、数百の求人情報を見ているため、他の企業と比べて欠けている情報や、情報量の違いはすぐにわかります。すると、何かやましいことがあるのだと受け取られます。これらは一目でわかるため、内容を読んでもらう前に応募者が離脱します。


各項目で乗せるべき情報、無明記のリスク

ここからは各項目で応募者に何を伝えるべきか、また、誤った書き方とそのリスクについて紹介します。

1.社長あいさつ

役割

企業の理念、行動指針、役割などについて示す。社員がこれに従い日々就労します。人により合う合わないがはっきりしやすいので、必ず明記します。

伝えるべき内容

企業を取り巻く状況や、ニーズを的確にとらえているかは経営者として重要です。その状況下で5W1Hを基本に社長の考えや企業の指針を述べます。


2.企業概要

役割

企業の概要のようなものです。企業の経歴、構成、規模などを明記します。無記名な箇所があると、他人には紹介できないことがあるのだと思われます。

伝えるべき内容

事業内容などは別途具体的に明記する必要があります。採用希望者に「なぜ弊社を選んだのか?」と聞くのと同様、貴社と他社の違いをここで表明します。


3.事業内容

役割

貴社の事業内容を示し、貴社が何をどこでどのように活躍しているのかを対外的に示します。具体的であればあるほど応募者とのミスマッチも少なくなります。

伝えるべき内容

貴社の事業内容を具体的に記述します。5W1Hを基本に紹介しましょう。求人サイトであれば、文字数が許す限り具体的に記述すべきです。貴社のWebサイトの場合は、最も力を入れて作成する部分となります。貴社の長所、得意なことを存分に紹介します。


4.応募者に任せる仕事内容

役割

応募者が入社後何を担当してもらうかを示します。なるべく具体的に記述することで入社後のイメージがしやすく、応募意欲も増します。また、応募者の入社後のモチベーション低下、ミスマッチを防ぎます。

伝えるべき内容

担当フェーズについてタスク単位で明記するべきです。「総合職としてご活躍いただきます」のような曖昧な表現や精神論は厳禁です。何を達成するために何をもって何を実行するのか記述しましょう。

「機械オペレーション全般についてお任せします」のような曖昧な表現はNGです。何をする機械についてどのような作業からどこまでを任せるのか記述するべきです。今の時代では、責任範囲の明確も重要です。


5.給与、福利厚生

役割

給与の詳細は業務や責任に応じた対価が支払われるのか、また就職希望者の人生プランの考察にとって重要です。業務に見合わない低待遇だといわゆる「ブラック」だと思われてすぐに選択肢から外されるでしょう。

伝えるべき内容

基本給、手当について詳細に記述します。
また、キャリア年数や役職に応じた年収例も記述することで、就職希望者の人生プランを立てやすくします。また、そこを伏せるということは従業員をその場しのぎで採用している、賃金はほとんど上がらないと思われても仕方ありません。

「頑張った分だけ…」や「〇〇万円~」のような記述は具体性を欠きNGです。給与支給規定が定まっていない、または意図的に低い対価で働かせようとしていると思われます。

「規定あり」のような記述もNGです。就職希望者は「どうせ支払われないのだろう」と思います。そのような手当項目はむしろ削除するべきです。


6.選考フロー

役割

今後の選考フローを示します。就職希望者も貴社だけ応募しているわけでもありませんし、転職者の場合は仕事の傍らの活動のため、明らかにしておくべきです。それだけでも応募者数と質は変わってくるでしょう。

伝えるべき内容

選考回数、選考内容、目安期間、連絡方法は最低限明記します。また、どの役職の人間が面接をするのかも示すべきです。
面接者の役職を明確にすることで話題の齟齬が発生しないようにします。機会と時間を無駄にしないようにしましょう。

連絡方法としては「メール」がベターです。電話に出られない場合は二度手間どころか三度手間になりかねませんし、双方迷惑な場合もあります。また、メールアドレスのドメインを記述しておき、「このドメインからのメールを受け取れるよう設定をお願い致します」などの記述も忘れずにしておきましょう。

「選考通過者のみ連絡」というのはNGです。応募者の時間を奪うことになりかねません。つまりそのような煩雑な社風なのだとも受け取られかねません。不採用の場合はその人と次はお客様として接する機会があるかもしれないということを考慮すべきです。


.応募資格

役割

欲しい人材を明記します。この記述によりミスマッチのリスクを大幅に減らすことが出来ます。

伝えるべき内容

なるべく具体的なスキルを提示しましょう。「開発経験3年以上」というような表記はまるで意味を成しません。人材を欲する時、必ず何かの不足分を補いたいわけですから、何が足りないのかという点から条件を提示していきましょう。知識や技術の種類やその粒度は各業界、各職種、各会社によって異なるからです。

ポテンシャルも考慮したい。そのような場合は「最低限の条件」と、「あればなおよい条件」を提示しましょう。

現場と人事の情報伝達がうまくいっていないと曖昧な表記になったり、ミスマッチが発生する原因となってしまいます。何をもって何を成せるような人が必要なのかくらいは最低限社内で意思疎通しておきましょう。

「コミュニケーション能力がある」という条件はNGです。コミュニケーション能力とは何なのか明確に記述してください。その場を盛り上げてくれる人なのか、情報を正確に素早くしかるべきところへ伝達できる人なのか、情報をお客様からうまく引き出すことが出来る人なのか、この文言では判断できません。「コミュニケーション能力」という表現は悪い意味で枯れた表現です。

(追記 --)
この度の日本大学の件でも「コミュニケーション」が大きな論点にもなっております。このように、応募資格について単に「コミュニケーション能力」を求めることについて大きな危殆があることを実感いただけたと思います。コミュニケーション能力について詳細にかみ砕き、また、それを求める以上自社の人間もその能力を保持していることが重要になります。
(-- 追記ここまで)

「〇〇に貢献することにやりがいを感じる人」のような精神論は論外です。


8.掲載画像

役割

会社、現場の雰囲気を感じ取ってもらう役割があります。企業の雰囲気に合った写真を載せる必要があります。多くの企業は記載しているので、全く掲載しなかった場合は不信感を与えてしまいます。

伝えるべき内容

就業環境がどのようなところなのかを伝えます。

会社のエントランスであったり、オフィス、作業現場などの写真を掲載しましょう。社員の方の写真などもあればいいですね。

実はこの写真次第で企業へ抱く印象が大きく変わります。明度や彩度にも注意して撮影、掲載しなければいけません。例えば明度や彩度が低い場合は、「煩雑」「古風」「苦痛」などの印象を与えます。逆に明度や彩度が高い場合は、「元気」「新しい」「前向き」などのプラスの印象を与えます。顔に影がおちていたりすると疲れた印象を受け、結果として企業の雰囲気も暗く感じてしまいます。写真の上手な社員さんまたはプロの方に撮ってもらいましょう。写真は細かいところまで見られているものです。細心の注意を払いましょう。

オフィスや作業現場の写真の場合、デスクなどは綺麗に整理しておきましょう。書類が煩雑に積みあがっていたりすると悪い印象を与えます。

写真ではなく文字だけ、例えば「賞与年4回!」などの画像も印象はよくありません。写真でなければ伝えられない情報を伝えましょう。

素材写真(モデルの写真や関係のないオフィス風景の写真)も控えましょう。すべて素材写真の場合、不信感を抱かれます。素材写真は全く使わないのがベストです。(見ていて意外とすぐにわかるものです)

お酒を飲んで顔を真っ赤にして漫勉の笑みで写る社員たちの写真もおすすめできません。今の時代、そのような飲み会を嫌う人も多くいます。サークル活動の写真はNGではありませんが、飲み会の写真とサークルの写真しかない場合はNGです。学生雰囲気が強く、真面目に働きたい人は良い印象を抱かないでしょう。


最後に

意外と採用ページを煩雑に扱っている企業が多いように思います。「本当に採用する気があるのか?」と感じることさえあります。

曖昧なことを書くのであればむしろ削除したほうがマシだと考えます。その結果、粗末な内容になってしまった場合、魅力のない企業である可能性もあります。まずは担当者が自社の内情を把握しておかない事には充実した採用ページは作れませんし、ひいては優秀な人材などやってきません。

筆者は昔、最終面接で「え、うちそんなことやる予定ないよ」と役員に言われたこともあります、採用ページに書いているにも関わらずです。このような最悪な事態だけは免れるよう担当者の方には頑張っていただきたいのです。



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