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温泉マイスターおすすめの温泉

別府「末広温泉」~共同湯(ジモ泉)文化の魅力~
            温泉マイスター協会 評議委員 土谷雄一

 今回のマイスターおすすめの湯は、別府温泉・末広温泉を紹介します。
 別府市内にはシンプルな共同湯(ジモ泉)が100以上あるといわれており、そのほとんどが新鮮なお湯がそのまま注がれているタイプの湯舟があるかたち。

別府八湯温泉道に加入している共同湯だけでも60か所以上
それ以外の共同湯、組合泉は無数にあり、地域の暮らしに密着したかたちで存在する。
 その数は100とも200ともいわれ、全体数を把握するのも難しいほどです。

 ちなみに別府市内のコンビニ数は56店。
 郵便ポストに数は202か所といいますから、それらと比較してみても、いかに共同湯が、わたしたちの暮らしに密着ているかがわかります。

 公民館併設の共同湯も別府の特徴です。
 地域の暮らしの中心に共同湯があり、そこに集う暮らしの文化が魅力といえます。
全国的にみても珍しい共同湯文化をもつ別府温泉の魅力に魅せられて、再三別府を訪れる温泉ファンの方も多いことでしょう。

さて、今日紹介させていただく末広温泉は、別府市末広町にあるシンプルな共同湯ですが、ここの特徴は、男女の湯室それぞれに壁画が施されていることで話題を呼んでいます。
管理人の阿部保さん(82)の「温泉を魅力あるものにしてみなさんに喜んでいただきたい」という思いを受けて制作されてみごとな壁画は、日本画家の大平由香理さんの本格的な大作品。
 まさに共同湯を芸術空間に変えた先駆的共同湯であります。
由布岳と鶴見岳が男女それぞれの壁面全体に施された大作、360度パノラマ壁画を湯舟につかりながら楽しめる構図は五感すべてに働きかける癒しの空間です。

 別府市内のあらゆる共同湯では、施設の老朽化、入浴利用者の高齢化、組合員減少など 様々な問題をかかえながら運営しているのも事実です。
 これからの別府温泉観光において、新しいものをつくるのも必要なことですが、別府独特の共同湯に集う温泉文化、歴史を学び、大切に守り遺していくことの重要さに気付き、この【別府らしさ】をいつまでも別府温泉の最大の魅力として後世に遺していくことが求められるのではないでしょうか。

http://www.beppumuseum.jp/m_osusume/006.html

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