e-温泉マイスター あるじ(RG)の温泉
あるじ(RG)の温泉(足湯)
e-温泉マイスター 大分県 久米迪子
無色・澄明・殆ど無味・微弱硫化水素臭 pH :6.0
~この温泉のポイント(単純硫黄泉)~
泉質別適応症:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮膿症、末梢神経障害
硫黄泉は、殺菌力が強いため、皮膚表面の細菌やアトピーの原因となる原因物質を取り除くと言われており、硫化水素を含み腐敗した玉子のような臭気があります。皮膚から取り入れられた硫黄は「ペンタチオン酸」という物質になり、これが殺菌と抗真菌作用の源になると言われています1)2)。
また、メタけい酸は、50mg以上で「美肌の湯」といわれ100mgを超えると「美人の湯」といわれるようになるそうです3)。あるじの湯は、メタけい酸、硫酸イオンが豊富に含まれており、保湿効果、アトピーなどの皮膚炎に効果がある「肌荒れに効く美人の湯」だと言えます。
あるじの湯周辺の明礬エリアは、硫黄泉が多く見られるエリアですが、あるじの湯の面する春木川のもう少し下流にある「照湯温泉」は単純温泉です(噴気造成泉)4)。
次の、あるじの温泉の独自のポイント」で詳細をご紹介するのですが、このエリアは森藩藩主久留島通嘉侯により、江戸時代より温泉保養地として栄えていた場所でした。しかしながら、近年の「掘削」過剰等により、湧き出し量が低下しつつあり、源泉かけ流しの湯が減りつつあります。湧き出し量の低下の原因は、まだまだ分からないことが多いですが、大切な別府の温泉資源を守っていきたいですね。
鏡森定信:泉質別にみた温泉の効果, 日温気物医誌第69巻4号2006年8月
Matz H, Orion E, Wolf RD : Balneotherapy in Dermatol Ther. 2003
https://www.jalan.net/jalan/doc/theme/yadolog/syuxtutyou02/syuxtutyou02_0002974287.html
じゃらんhttps://www.oricon.co.jp/article/272965/ ORICON NEWS
~あるじの温泉の独自のポイント~
この温泉のある森藩別邸ですが、名前の通り、森藩藩主久留島通嘉侯ゆかりの地、照湯地区にあります。
あるじ(RG)の温泉から望める川は照湯惣図に描かれている春木川です。
ここ照湯地区は、領地巡見のため鶴見に来た久留島伊通嘉が春木川の河岸の荒廃に心を痛め、手島芳策を工事主任とし、大庄屋直江雄八郎重枝・庄屋佐藤忠左衛門などに命じて大きな温泉場を築かせた地であるといわれています5)。久留島伊通嘉は参勤交代より帰着すると、照湯にて蒸し籠にて、地獄蒸しを行なっていたといわれています。
久留島伊通嘉は、
地獄蒸しかるかん
地獄蒸し椿持ち
行成餅(いきなり団子と同様のものと推察されるそうです)
琉球芋
うかづき(里芋の子芋)
饅頭
赤飯
ちまき
等を召し上がっていたそうです6)。
江戸時代から、地獄蒸しでとても美味しそうな料理があったようです。
また、こちらは私の勤め先の宣伝となってしまうのですが・・・、あるじ温独自の特徴は、温泉藻類RG92という温泉微生物が発見されたということです。RG92は敷地内にある、SARABiO温泉微生物研究所のコスメに配合されています。RG92の第一の特長は「抗炎症作用」です。RG92は、TNF-αやIL-1β等の炎症反応に関わるタンパク質の産生抑制が確認されているほか7)、発痛物質の生産を誘導するCOX-2の活性を低下させたり、長寿遺伝子(SIRT1)を発現させたりする働きがあることが化学的にも確認されています8)。保湿効果、アトピーなどの皮膚炎に効果がある硫黄泉にこのような生物がいたことは大変興味深いことです。
歴史的にも、科学的にも、観光スポットとしても魅力あふれるあるじ(RG)の温泉に、みなさまも是非お越しください!
別府歴史資料電子図書館 照湯http://www.beppu.biz/furo.page/teruyu21.htm
豊後森藩料理・藩主食事に関する簡易調査 株式会社サラヴィオ化粧品
松島一幸他:別府温泉藻類RG92による健康と美容の促進効果, FRAGRANCE JOURNAL 2015年9月
齋藤愛他:温泉善玉菌とおんぶ法, Medical Science Digest 2018年9月
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