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手打術新書-うどん打ちの全て-

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うどんアーティスト小野ウどんによる、うどん打ちに必要な理論と技術をまとめたマガジン
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2021年12月の記事一覧

手打術新書[うどん打ちの全て]五巻-技術編-姿勢の章

手打術新書[うどん打ちの全て]五巻-技術編-姿勢の章

呼吸するように、全身で

手の内が完成していれば、うどんは格段に早く打てるようになっているはずだ。しかし腕で打てるのはわずかな時間だけだ。持久戦に弱い。うどん屋は大量の生地を早く高い精度で打ち続けなければならない。そのためには手の内をさらに洗練させ、上半身、下半身をも使い、全身で打てるようにならなければならない。力をなるだけ全身に分散することで消耗を減らす。そして別のことを考えたりしながら、これま

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手打術新書[うどん打ちの全て]四巻-技術編-手の内の章

手打術新書[うどん打ちの全て]四巻-技術編-手の内の章

六節において前半は理論で戦ってきたが、後半は主に花形である延し切りの二点において特にスポーツ性の高い反復練習を要する「技術」の世界になる。

蕎麦は技術、饂飩は理論、とよく言われるが、うどんにももちろん技術が必要だ。蕎麦と違ってうどんには塩が加わり、踏み熟成という工程が加わることで、より計算を要する生地作りになる点が理論と呼ばれる由縁だ。

延しにおいては蕎麦と似た動きで生地を伸ばしていくのだが、

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手打術新書[うどん打ちの全て]三巻-理論編-デザインの章

手打術新書[うどん打ちの全て]三巻-理論編-デザインの章

うどんというのは原材料でいうと小麦と水だけでできてしまう。これにうどん唯一の装備品である塩を加えても、非常にシンプルな素材で生まれる。

そのシンプルさは、あらゆる食べ方の可能性を生むが、一つのズレが大きな変化を生んでしまう、繊細さとバランスを取ることの難しさを孕んでいる。

例えば「薔薇」と「水」という漢字、書き終わるのに時間がかかるし覚えるのが難しいのは前者だが、一つ一つの線や払いの長さ太さな

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手打術新書[うどん打ちの全て]二巻-理論編-粉の章

手打術新書[うどん打ちの全て]二巻-理論編-粉の章

小麦粉を掌握せよ
○○でうどんの良し悪しは50%以上決まるここからは一度うどんを作ったことがあるという前提の元で話を進めていく。まだの方は前章を見ながらまずは手を動かし一度うどんを作ってみてほしい。

美味いうどん、目指すうどんを決める上で最も重要なのが小麦の選定である。え?この書を読破したら作り手の力でうどんはいくらでも美味しくなると思っていたって?そんなことはない。小麦粉にも向き不向き、特徴が

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手打術新書[うどん打ちの全て]一巻-理論編-手合わせの章

手打術新書[うどん打ちの全て]一巻-理論編-手合わせの章

はじめにうどん作りとは、理論を用い、経験値で直感し、頭で組み立て、技術を駆使し全身をコントロールすることで、一つの作品を生み出す、知力・体力・技術が求められる料理界の「総合格闘技」である。

本記事では、あらゆるうどんを打ちこなすために必要な理論と技術の習得方法をまとめていく。讃岐手打ちを軸にし、職人でありうどん塾主宰を務める小野ウどんが実践を元に独自解釈を加え解説していく。

そもそも既存のうど

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