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手打術新書-うどん打ちの全て-

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うどんアーティスト小野ウどんによる、うどん打ちに必要な理論と技術をまとめたマガジン
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手打術新書[うどん打ちの全て]八巻-番外編-道具の章

手打術新書[うどん打ちの全て]八巻-番外編-道具の章

道具編~シーンに合った適切な装備を整える~

お店なのか、家なのか、4人前なのか100人前なのか。うどんを作るシーンは様々である。それぞれに適した道具のスケールがある。

いかに優れた技術があっても、道具次第ではその実力を発揮できないことは大いにある。

ここでは大型の個人店やチェーン店を始め、出張専門うどん職人として家庭や屋外など、あらゆるシーンでうどんを打ち続けてきた筆者の経験に基づき、各工程

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手打術新書[うどん打ちの全て]六巻-技術編-麺線操作の章

手打術新書[うどん打ちの全て]六巻-技術編-麺線操作の章

真のうどん職人は○○○を上げろ。

うどん打ちに必要な理論、技術はここまで読んだ方なら充分磨いていただいただろう。

もううどんは完璧に打てる。そう思っている方のために一つお教えしよう。

うどん打ちにおける到達点とは、満点の生地を製麺することにあらず。何枚もの生地を打った時の最低点の高さにあり。100枚、200枚打った生地の最低点こそが実力を示す。

いかに速く美しく整った生地を作ろうとも、その

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手打術新書[うどん打ちの全て]七巻-技術編-魅せの章

手打術新書[うどん打ちの全て]七巻-技術編-魅せの章

うどん打ちの未来は○○にあり。うどん打ちというスポーツは、いかに体の細部までコントロールできるか、無駄な動きを削ぎ落とすことができるか、技術編ではこれまでそこに注力してきた。

うどん屋を開業し、うどん職人として美味しいうどんを作るのはここまでで充分だろう。

だが、飲食店というのは中々に厳しい世界だ。飲食店の閉店率は1年目で約3割。2年目になると約5割が閉店し、3年目では7割にも達する。それ以上

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手打術新書[うどん打ちの全て]五巻-技術編-姿勢の章

手打術新書[うどん打ちの全て]五巻-技術編-姿勢の章

呼吸するように、全身で

手の内が完成していれば、うどんは格段に早く打てるようになっているはずだ。しかし腕で打てるのはわずかな時間だけだ。持久戦に弱い。うどん屋は大量の生地を早く高い精度で打ち続けなければならない。そのためには手の内をさらに洗練させ、上半身、下半身をも使い、全身で打てるようにならなければならない。力をなるだけ全身に分散することで消耗を減らす。そして別のことを考えたりしながら、これま

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手打術新書[うどん打ちの全て]四巻-技術編-手の内の章

手打術新書[うどん打ちの全て]四巻-技術編-手の内の章

六節において前半は理論で戦ってきたが、後半は主に花形である延し切りの二点において特にスポーツ性の高い反復練習を要する「技術」の世界になる。

蕎麦は技術、饂飩は理論、とよく言われるが、うどんにももちろん技術が必要だ。蕎麦と違ってうどんには塩が加わり、踏み熟成という工程が加わることで、より計算を要する生地作りになる点が理論と呼ばれる由縁だ。

延しにおいては蕎麦と似た動きで生地を伸ばしていくのだが、

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手打術新書[うどん打ちの全て]三巻-理論編-デザインの章

手打術新書[うどん打ちの全て]三巻-理論編-デザインの章

うどんというのは原材料でいうと小麦と水だけでできてしまう。これにうどん唯一の装備品である塩を加えても、非常にシンプルな素材で生まれる。

そのシンプルさは、あらゆる食べ方の可能性を生むが、一つのズレが大きな変化を生んでしまう、繊細さとバランスを取ることの難しさを孕んでいる。

例えば「薔薇」と「水」という漢字、書き終わるのに時間がかかるし覚えるのが難しいのは前者だが、一つ一つの線や払いの長さ太さな

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手打術新書[うどん打ちの全て]二巻-理論編-粉の章

手打術新書[うどん打ちの全て]二巻-理論編-粉の章

小麦粉を掌握せよ
○○でうどんの良し悪しは50%以上決まるここからは一度うどんを作ったことがあるという前提の元で話を進めていく。まだの方は前章を見ながらまずは手を動かし一度うどんを作ってみてほしい。

美味いうどん、目指すうどんを決める上で最も重要なのが小麦の選定である。え?この書を読破したら作り手の力でうどんはいくらでも美味しくなると思っていたって?そんなことはない。小麦粉にも向き不向き、特徴が

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手打術新書[うどん打ちの全て]一巻-理論編-手合わせの章

手打術新書[うどん打ちの全て]一巻-理論編-手合わせの章

はじめにうどん作りとは、理論を用い、経験値で直感し、頭で組み立て、技術を駆使し全身をコントロールすることで、一つの作品を生み出す、知力・体力・技術が求められる料理界の「総合格闘技」である。

本記事では、あらゆるうどんを打ちこなすために必要な理論と技術の習得方法をまとめていく。讃岐手打ちを軸にし、職人でありうどん塾主宰を務める小野ウどんが実践を元に独自解釈を加え解説していく。

そもそも既存のうど

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