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手打術新書[うどん打ちの全て]二巻-理論編-粉の章

小麦粉を掌握せよ
○○でうどんの良し悪しは50%以上決まる

ここからは一度うどんを作ったことがあるという前提の元で話を進めていく。まだの方は前章を見ながらまずは手を動かし一度うどんを作ってみてほしい。

美味いうどん、目指すうどんを決める上で最も重要なのが小麦の選定である。え?この書を読破したら作り手の力でうどんはいくらでも美味しくなると思っていたって?そんなことはない。小麦粉にも向き不向き、特徴がある。短距離走の選手にマラソンをさせても限界があるように、小麦粉によっては細い麺が向かない場合や、温かい麺が向いている場合などがあるのだ。

自分が目指す理想の麺を描いた上で、それに近づける小麦粉を選ぶ必要がある。つまり様々な小麦粉を頭と舌で理解し、それを元に自分が目指す麺を描く。それからその麺を目指せる小麦粉を選定する。

小麦によって成分のパラメータが違うため、これから説明する法則にも違いが出てくるからだ。小麦粉一種類一種類で違いがあるという認識の元、それぞれで法則を元に実験をし、傾向を自ら確かめる必要がある。

まずはうどんを扱う者は絶対に知っておく必要があるうどん小麦粉の知識を叩き込む。
小麦粉の成分は主にデンプンが6割でタンパク質が1割程度である。この二つが主にうどんの食感、そしてコシをも決める。
うどん小麦を見る時、上記二つに「灰分値」を加えた三つのパラメータを確認することで粉の性質を予測することができる。

①グルテン(タンパク質)

人体でいうところの筋肉や骨格にあたる部分、小麦粉に含まれるタンパク質の内14%を占めるグルテニンと33%を占めるグリアジンが、水と出会うことで誕生するのがグルテンだ。グルテニンは抗張力が強く、ひっぱって伸ばすのに強い力が必要。弾力の素になる物質。一方グリアジンは軟らかくべとべとしている。粘りの素になる物質。

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