最古の歴史書『日本書紀』を読む② ~天皇が「知らす国」日本~
今回は前回に続き、日本最古の歴史書である『日本書紀』についてのお話です。
『日本書紀』は歴史書ですし、読むには翻訳や背景の理解が必要かつ内容も難しい…というイメージがある人も多いかもしれません。
しかし、どこかで聞いたことがあるような神話をベースにわかりやすく語られており、相撲に結婚・離婚、稲作や皇室など、“様々な物事のはじまり”が描かれている書物で、日本文化の原初を知る大きな手がかりでもあります。
『日本書紀』には、日本の成り立ちそのものが描かれており、現在に繋がる様々な原初"origin"が記されているのです。
では、今回も日本書紀の世界へ旅立ってみて下さいね…✨
神話に記される「シラス」
皆さんは、『日本書紀』に記される「シラス」という言葉を耳にしたことがありますか?
もちろん魚屋さんで見かける稚魚の「シラス」とは別物です。漢字では「知らす・治す(シラス)」と記載します。
「シラス」は、三大神勅のうち、「天壌無窮の神勅」の原文等で見られる特徴的な大和言葉。
今上陛下まで126代にわたり連綿と紡がれた天皇の在り方、日本の国柄の基となる考え方になります。
「シラス」とは、天皇が国と民に深い関心を持って広く知ることで環境を整え、国民は一丸となって天皇が与えた稲(富)を利する、この両輪で統治をする国づくりのこと。
毎年の節目にはお言葉があったり、祭礼にて日々平和の祈りを捧げられたり、災害時には積極的に足を運ばれたりと、国の長として心を砕かれているお姿をニュースなどで拝見する機会も多いですが、陛下は皇居内の水田で公務のかたわら自ら稲作に取り組まれているのをご存じでしょうか。
武力や権力による「力の支配」を行うのではなく、深い結びつきの中で国と民を広く知り、その在るべき姿を天皇自らがお示しになられることで、天皇と国民が「共に歩み、育んでいく」姿勢で国が治まるありかたを最上とする考え方こそ、「シラス」なのです。
御自ら稲作に取り組む陛下、この収穫された米は宮中祭祀の神嘗祭や新嘗祭などの祭典で神々にお供えされている大事なお米。
「斎庭稲穂の神勅」での誓いを、今も自ら実践されているのです。
皇后さまが受け継ぐ日本の養蚕
また、『日本書紀』には、"天皇が皇紀に桑摘みと養蚕を勧められた"という記述があります。
これに倣って、皇居内に「紅葉山御養蚕所」という養蚕所を設け、歴代の皇后陛下がご養蚕を行われてきました。
こちらで作られた絹は宮中の行事でのお召し物や、外国への贈り物にされたり、民間でも産出量が限られる小石丸という品種の保存にも取り組まれ、その上質な絹糸は歴史的な絹織物の修復に使われているなど文化の保全に務められています。
天皇陛下の稲作も皇后陛下の養蚕も、いわゆる「ご公務」とは違います。
稲作によってできた米は新嘗祭に使われるものの「宮中祭祀」ではなく、皇后さまの養蚕含め「伝統文化の継承」に位置づけられています。
御心を「シラス」行為として、昔と今の“こころ”を繋ぐ伝統文化の継承を御自ら行われているのです😊
天然の繭で作られた、当社のおみくじ
当社には、そんな皇后さまの養蚕にちなんだおみくじがあります。
神様からのお言葉を天然の繭に包んで守り届ける「まゆ玉みくじ」です。
繭は蚕を守り育むものであり、古来から神様へ捧げる最高級の献上品である絹を産することから、「福を招くもの」「災厄を退けるもの」とされています。
また、おみくじには神様からのお言葉として、今のご自身に必要な言葉が記されています。
神様の示された言葉を大事に守って、繭に入れて結んでいただくことによって、新たな良き明日を育むことができます。
境内に結び処のご用意もございますが、引いたおみくじはぜひお持ち帰り頂き、節目節目に見返してください。
また、もうひとつのおみくじ「幸せみくじ」はフクロウの姿を模したかわいらしい形をしています🎵
同封の「願い文」に願いを託し、御神前の結び処に繭ごと結ぶことで願いを育みます。
知恵の象徴とされているフクロウ。
"フクロウ"という名前は「不苦労」と「福が朗々とあるように」、という言葉とも掛かります🦉
おみくじに書かれた言葉を自らの心に照らし合わせ、神様のお導きを戴いて、心豊かにお過ごしください😊
当社では、今月来月と2か月に亘って続く宴の「秋奉 紅葉×銀杏」「みのり×むすび」「神嘗祭×新嘗祭」の特別御朱印をご用意しております。
知らされた御心が「みのり」「むすび」平和な良い国でありますようにと特別に奉製した御朱印になります。
どうぞこの機会に是非ご参拝いただき、秋の実りへの感謝をお納めください🙂
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