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「お山開き」のご案内

毎年6月30日と7月1日は、当社境内に鎮座します浅間神社の例祭日です。
富士山の開山に合わせた年に2日間だけの「お山開き」が斎行され、重要有形民俗文化財に指定されている富士塚「下谷坂本富士」も、この2日間だけ登拝が許されます。

この「お山開き」は、「半期の納め」、そして「新たな半期の始まり」を期するお祭りでもございます。

新型コロナウイルス感染症と戦う難しい一年となりますが、半期の節目に清々しく、皆さまが活力を持ってご参拝・ご登拝を頂くことで、心身共にお健やかにお過ごし頂き、日々の良い積み重ねを得られ、一層のご活躍になられますことを心よりお祈り申し上げます。

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◆お山開き

6月30日(火) 11時~17時 開門
7月  1日(水) 10時~17時 開門

※6月30日は神事を優先し、授与所は11時からとさせて頂きます。

6月30日 10時 開山式
※祭典は神職と氏子関係者にて執行致します。小一時間ほどの神事の後、一般の方は、11時頃より登拝が可能となります。

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6月30日 16時 大祓式
半期の罪穢れを祓い清める夏越の大祓式。今年は境内にて斎行致します。
※雨天の場合、一般の参列はご遠慮いただき、神職のみで本殿にて斎行となりますことご了承ください。

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今年は感染症対策の上、規模を縮小して斎行となります。
日々変化する社会情勢を踏まえながら、決してご無理の無い適切なご判断を頂き、万全の体調にてご参拝を頂ければ幸いです。



一生に一度は登りたい!日本を代表する霊峰

富士見町、富士見が丘など、東京には今も「富士」という名がつく地名が多く残っています。これらは見晴らしの良い丘陵の上にあり、見事な富士山が見える町という意になります。
交通手段が発達していない時代、はるか遠くに見える富士山は、江戸町人のあこがれの山であり「不二(二つとない)」「不尽(尽きることがない)」などとも呼ばれる特別な存在でした。

けれども、江戸から富士山までは徒歩で140キロ。
遠く離れたお山は、多くの人間にとって登拝することは夢のまた夢でした。

「江戸に富士山をつくろう!」

とてつもないプロジェクトが立ち上がりました。
町人たちは富士山から大八車(荷車)に溶岩を積み、遥か離れた港を目指します。大八車から 船に積み替えて墨田川に停め、陸で溶岩を大八車に積み直してこの入谷の地まで運んだのです。

これを何十往復も繰り返し、築かれたのが、幅15メートル高さ約6メートルに及ぶ、霊峰・富士の分身ともいえる富士塚「下谷坂本富士」です。

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当社の境内に聳える富士山は、江戸時代に富士信仰を布教した南沢正兵衛の門人である東講 講元 山本善光が、氏子はもとより江戸八百八町に広くご浄財を募り、天明年間(1782年)に築山されたものです。

当社の富士塚は360度全てが富士の溶岩石でつくられたもの。
一合目から十合目まで再現され、道中には修験道の開祖である役小角の尊像や「南無妙法」と書かれた石碑など、山岳信仰ならではの神仏習合の痕跡が多く残ります。

また、今は絶えてしまっていますが、山の中腹には胎内洞窟も再現されていたり、入り口付近には富士五湖を模した池があったりと、富士に行くこと自体が困難だった時代、登拝をすることで富士の姿を伝え、山頂より富士を眼前に拝礼を納める「遥拝所」としての役割も果たしてきました。

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例祭である「お山開き」は、毎年6月30日と7月1日に斎行され、開山式として御仮屋での神事の後、祓主を先頭に氏子崇敬者が列立し「六根清浄」を唱えつつ登拝をし、頂上にて四方を祓い天下泰平と五穀豊穣を祈りを捧げ、本山である富士山に向かい遥拝をした後に下山をして祭事のすべてを終えます。

築山されてから230年の月日が経ちますが、登拝が2日間に限定されていることや、蔦や草の根がしっかりと張り巡らされて土を強固にする、といった先人の山守りの知恵に護られ、今も昔ながらの荘厳な姿を見せています。



◆お山開き限定 御朱印

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初穂料 500円(透かし見開き)
※6月20日~7月20日迄の期間限定の授与、書き置きのみの対応となります。

お山開きの限定御朱印です。
上半期の最終日である6月30日に半年間の「尽きることの無い」不尽の感謝を祈り、下半期の初めの日である7月1日には、心新たに残り半年間の「二つとない」不二の決意をお祈り頂く、という祭礼の趣意に沿って奉製致しました。
半期の納め、そして新たな始まりを期するのお祭りです。この節目に手を合わせる機会をお持ちいただき、清々しい日々をお過ごしください。

※神事を優先し、6月30日は授与所は11時からとさせて頂きます。


◆お山開き限定 授与品

※6月20日~7月20日迄の期間限定の授与となります

蛇土鈴(龍神守)

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初穂料 800円

古来より、蛇は水神である龍の仮の姿とされていました。
厄除け、水当たり、火防などのお守りとして、麦わら蛇など、蛇にちなんだ神縁品は、江戸の浅間神社で多く奉製されてきました。

かつて下谷の界隈が飢饉に見舞われ、水も干上がった時、当社の井戸水だけが枯れなかったという故事もございます。
どうぞご登拝の後にお受けいただき、水難から守られ、日々の生活を安らかにお過ごしください。

茅の輪守

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初穂料 500円

茅の輪とは、茅がやで作った輪の事を言います。上半期の納めに旺盛な生命力が神秘的な除災の力を有すると伝えられる茅の輪をくぐることでケガレを祓い、下半期の充実を願います。

祀れば子孫を疫病、そして災いから守ると言われた茅の輪。
玄関の内外や柱等に止めるなどして、ご家族の除災招福・無病息災を御祈願下さい。


朝顔土鈴

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初穂料 800円

入谷を表す象徴的な花である朝顔を模して作られた土鈴です。
入谷の朝顔が有名になったのは江戸末期の文化・文政の頃。この地を中心として江戸の町に一大ブームを巻き起こていきました。

入谷朝顔市は、今も七夕に合わせて開催され、江戸情緒豊かな夏の風物詩として多くの人で賑わいを見せています。本年は残念ながら中止の運びとなりましたが、残り半年の心身健康を願い奉製致しました。



◆受け継がれる「誰でも登れる富士」

「お山開き」の日には、富士の歴史や文化に触れながら老若男女問わず登拝がなされ、今も江戸の富士信仰の源泉を伝えています。
御山の恩恵をいただきながら崇敬の心をもって登拝し、頂上にて富士山を遥拝いただきます。

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そして、今年も1年で2日しかない「下谷坂本富士」の登拝ができる日が迫ってまいりました。時代を超えて老若男女問わず同じ視座で共有できるものが少なくなってきましたが、このお山では子供は夢中になって何度も登り、大人も精神的な体験を求めて登拝を行う。先人達の知恵によって変わることなく受け継がれてきたこのお山は、老若男女、世代を問わずに繋がることができる数少ない一つではないでしょうか。

江戸・明治・大正・昭和・平成・令和と、時代を超えても誰でも登れる富士ができたのは、後世に続くこの一大事業をなんとしても為さんとした富士講の人々の深い信仰の心があったからこそ。築山から約230年の月日を経ても尚、その勇壮な姿を残しています。

コロナ禍の中での斎行となりますが、万全の体調にて、七夕飾りに彩られた境内に足をお運びいただければ幸いです。


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◆小野照崎神社(おのてるさきじんじゃ)

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東京の下町 入谷にある学問・芸能・仕事の神様をお祀りする神社です。
御祭神は、平安時代有数のマルチアーティストである 小野篁(たかむら)公。文鳥を愛する絵画の神様で、百人一首にも登場したり朝は朝廷に夜は冥界に出勤される多動な神様です。852年⛩創建 、境内には重要文化財の富士塚も🗻

東京メトロ 日比谷線 入谷駅 4番出口 より徒歩3分
JR山手線 鶯谷駅 南口 より徒歩7分



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