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焼きそばの果てしなき旅【その39】

夜も更けたが余計なことを考えようと思う。思えば余計なことばかり考えてきた人生だった。これからもきっと余計なことばかり考えて過ごすのだと思う。余計なことはいつも身近にあって、ここぞと云う時に忍び寄って来る。学生時代ならテストの直前や宿題提出の前日辺り。大人になってからはレコーディングやライブの前日や原稿締切のギリギリのタイミング。やらねばならぬことが厳然と眼前にあるのに、つい余計なことを考えて余計なことを実行に移してしまったりもした。余計なこととは判っているが、その余計なことが気になって気になって肝心なことに心が向かなくなってしまう。大学受験の前日の夜、どうしてもゲゲゲの鬼太郎が読みたくなって、一冊読んだらまた次のが読みたくなって大海獣や吸血鬼エリートと一緒に寝てしまったのをつい先日のことのように覚えている。当日朝になって起きた時の「ああ余計なことをした」と云う後悔はむしろ爽快感すら伴うもので、開き直って受験会場に向かったのだった。ああ余計なことを書いてしまった。昔のことは手に取るように覚えているのに最近のことはすぐ忘れてしまう。それも余計なことか。この世の全てが余計なことのように思えてきた。厭世観の毒は速効で全身に回る。あまり良くない傾向である。そんな時は「すき家」に行ってやきそば牛丼を食べるとよろしい。

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すき家」のやきそば牛丼である。2021年5月中旬までの期間限定メニューと云うことで未体験の方は是非お早めに。このやきそば牛丼、ぽっと出の新人ではなく2013年にも発売されて大好評を博した商品である。僕もちゃんと食べている(自分のブログを見て思い出した)。そして8年ぶりのご無沙汰だ。上の写真はやきそば牛丼、並盛。牛丼の上に焼きそば。これを余計なものと考えるかそうでないかで貴方の人生は大きく変わる。人生の岐路に立つのだ。さあ、どっちへ行く。

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僕はどうだ。焼きそばは牛丼に対して余計なのかどうなのか。僕はその岐路で立ち竦んでしまった。僕はここでまた余計な方向に向かう。ここで牛丼のアタマ(具)を省いて考えてみる。そうしたら焼きそばとご飯の対立構造がクローズアップされた。焼きそばとご飯と云うのは成立するのかどうか。これは余計なことではない。人生に於いて非常に重要な問題と対峙することとなったのだ。横浜で生まれ育った自分には焼きそばがご飯のお供になると云う習慣はない。ところが日本全国あちこちで焼きそばがご飯のおかずとして成立している場面に出くわすことが多々あった。もしかしたら焼きそばとご飯がセットである方が多数派なのではないかと考えたりもした。簡単にちゃちゃっと書いて終わらせようとしたのに、文章を書き進められなくなった。余計なことでなく本題になってしまったからか。策士策に溺れると云うヤツか。これはいかん。こんな時はゲゲゲの鬼太郎を読んで心を落ち着けよう。

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そんな僕も高島平の「あぺたいと」ではちゃんと両面焼きそばとご飯を一緒に食べているじゃないか。とても美味しかった。ウマウマウー。でももしかしたらそっちの餃子をおかずにしてご飯を食べたんじゃないかと云う疑惑を持たれるやも知れない。それならこちらにも考えがある。

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板橋の『あぺたいと』では他におかずナシのランチを食べた。両面やきそばとご飯。そしてスープ。この焼きそばはご飯と合うウマウマウー。定食として完璧に成り立つ。だけど他の焼きそばはどうなんだ。焼きそばは千差万別。合うのもあるだろうし合わないのもあるだろう。そして合うと云われても僕が受け入れられないのもあるやも知れない。結論なんて出ないさ。そのバリエーションを楽しむだけさ。物事を決めつけて行くと生きるのが窮屈になるばかりだ。気楽にいこうぜテイクイットイージー。

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再び「すき家」に戻る。メニューを見ていたらやきそば牛丼並は500円であるのだが、牛丼並が350円でトッピングでやきそばは150円の合計500円であることを確認した。やきそばをトッピング別盛でオーダーすることも可能なのだ。と云うことは牛丼のサイズが変わってもやきそばはワンサイズフィッツオールなのではないか。

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やきそば牛丼はミニ440円・並盛500円・大盛630円。牛丼はミニ・290円・並盛350円・大盛480円。ああちゃんとYG対称性(やきそばと牛丼)があるではないか。もし牛丼に対してやきそばの割合を多くしてみたいのなら牛丼のサイズを小さくすれば良いのだ。そんなわけで戻ってからのやきそば牛丼は実はミニサイズなのである。写真だとあまりよく判りませんか。そうですか。

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並盛を食べた時にはやきそばとご飯をあまり混ぜなかった。個人的にあまりご飯に何かをぐいぐいと混ぜるのはあまり好まない。炊き込みご飯や釜飯はまた別で最初から混ざっているから良いのだ。後からトッピングとご飯を自分でどしどしと混ぜるのがあまり得意ではない。丼物はどうなのだ。天丼にしてもカツ丼にしてもうな丼にしても全部まぜこぜにして食べたりはしない。カレーもルーを最初からご飯に全部混ぜることはしない(意外とやっている人が多い)。濃いところと薄いところがあって良い。全部を均一化均質化してしまうのに抵抗がとてもある。でも今回はやきそばと牛丼をある程度まで混ぜてみよう。そこに新しい世界観はあるのだろうか。

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写真はまだ混ぜ方が手ぬるい時間帯のもの。この後混ぜたらビジュアル的にあまり好ましくなかったので写真は差し控える。甘め醤油味の牛丼のアタマ(具)とソース味のやきそばの関係性。そして白米との関係。三位一体となるのか。悪くはない。悪くはないのだけれど。うーむ。やはりどこかに無理を感じる。アイディアとして面白いのに、新しい世界が拓けそうなのに、なかなかそれをキャッチ出来ずに後に逸らしてばかりだ。前で止めないと。せめて前に落とさないと。そうか。やきそば牛丼はフォークボールなのか。すみません野球ネタは横浜的には自虐モードに入りそうなのでやめます。しくしく。

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これはまだ詳細を詳らかには出来ないが、某所某店で遭遇した焼そば丼である。ご飯の上に焼そばで丼。その関係性に於いて密接なメニューである。こう云うのにちゃんと出逢うのが僕の人生だ。まだまだ諦めたりなんかしない。沢山の御縁に恵まれて、その御縁をまた次の御縁に繋いで行く。生きている意味は大体そんなところにあるだろう。焼そば丼に学ぶことは多い。モチロン焼そばだけでも、ご飯だけでも得るものは多くあるけれど、混沌の中から長い年月を経て整合性を持ち得たものを再び混沌に押し戻すような行為こそが、現在の世の中の閉塞感を打破するための原動力になるのではないか。その最も象徴的なのがこの焼そば丼なのではないか。そうでもないですか。すみません。

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焼そば丼の偉容の前に跪くが良い。ははーっ。

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ウマウマウー。混ぜてたべてみたら、意外にも親和性があって違和感が少なかった。具材が色々あったので麺vsご飯の戦いとはならずに、事態は穏やかに収束した。海苔や青ネギの効果も多大にあった。焼きそばとご飯。行き着く先はそばめしなのであろう。いつか辿り着く。でもその前に色々と寄り道をしたい。余計なことを色々考えて実行してみたい。それが僕の旅なのだと思う。

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御馳走様でした。焼きそばの果てしなき旅はまだまだ続きます。

【索引】焼きそばの果てしなき旅


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