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捨て寸って何?

靴選びの際「捨て寸」という言葉…世に氾濫していてアチコチで聞かれる言葉ですよね!

しかし、実はその意味は曖昧で、その言葉を使う方個々で意味が違っていることが多い…ってのは、察しのよい足靴フェチな方々ならご存知の事と思います。

そもそも「捨て寸」という言葉は靴業界…なかでも靴製造に携わる方々の間で使われてきた言葉で、靴を作るときに元となる実際の足から作成した足型先端部から、靴の型をおこすのに先端部分に盛った形(いわゆる木型)の先端部分までの距離…というのが本来の意味だと認識しておりますが、そのため、ざっくり言うと足先から靴の先端までの距離を示して述べられている場合が多いと思われます。

…言葉で表すと表現難しいなぁ…( ̄▽ ̄)ゞ

図1で示した場合①や①’が捨て寸かな…

図1:①①’は捨て寸、②②’は靴を履くとき実際に必要な余裕寸(先寸)

そのため、例えば図1のごとく、同じ足でも靴が変わると、図1左の場合捨て寸は①、図1右の場合捨て寸は①’となり、靴が変わることで靴内足先の空間にはこれだけの違いがあるわけです。なので「捨て寸」と一言でいっても靴によって異なるため、万人に向けて「捨て寸は〇cm」と限定していう事はできないはずなんです。しかしよく巷で行われている「靴の履き方講座」「足育講座」などで、靴の選び方のお話を聞くと靴を限定せずに「捨て寸は〇cm」って言い切ってること…多いですよね!?

それって…ええんですか?…(-_-メ)

また、図1左薄緑線で示したラインが靴内で足が動くために必要な空間だとすれば、 ②・②’に注目してみると、靴先端までの距離でものを言うと、②と②’で長さは変わってしまい、やはり靴が変わればその数値は変わってしまうということになります。

そのため、以前から私は靴サイズのお話をする場合、図1のような場合、図1右であれば②’を、図1左のような場合であっても薄緑線をイメージして②’に相当する寸法を読み取ります。捨て寸である①や①’ではないんです!

そんなわけで、私はそのあたり気になるようになってから、捨て寸という言葉は使わないようにして、「先寸」と勝手に命名し、そう述べるようにしています。もしくは「足先の余裕寸」って言いますね。

「先寸」=「靴内で足先の動きを妨げないために必要な余裕寸(捨て寸=靴内先端までの距離と同義ではない)」

もういちど…復習…図2をみてみましょう。

図2:「捨て寸」は靴によって違う

「捨て寸」はA(黒)からB(緑)までの距離です。つまり①から④のごとく靴の形が違えばすべて数値は違います。
しかし「先寸(靴選びで必要な足先の余裕寸)」はA(黒)からA’(赤)までの距離でありどれも同じ数値です。

なんとなくわかりましたかね?…(^-^;

繰り返しになりますが、巷で「靴の選び方」な~んてお話を聞いていて、聴講者に向け靴を限定せずに「捨て寸は何センチ」な~んて言われること…非常に多いですが、それってどの靴の捨て寸のこと言ってるの?…パンプスと運動靴で捨て寸は違うぞ?…靴の形が違えば捨て寸はどれも違うぞ?…どの靴でも同じ捨て寸でええんかい?…この講師、靴の事ホントにわかってるのか?…っていつも疑問がわくんです…( ̄▽ ̄)

何度も繰り返しになりますが…
「捨て寸」=「足型先端から靴型先端までの距離」は靴によって異なります

「先寸」=「靴内で足先の動きを妨げないために必要な余裕寸(捨て寸=靴内先端までの距離と同義ではない)」は万人に共通の数値です。

「靴内で足先の動きを妨げないために必要な余裕」とか「つま先部分の余裕」とか言っていればよいのでしょうが、時短・言短・語短…って考えるとね…何でも短縮しがちなのが今の世…なので「先寸」…( ̄∇ ̄*)ゞ

どんな言葉でも構いませんが、正しい意味で発信すべきですよね!?…とくに靴に関わる方々は…( ̄▽ ̄)

「捨て寸」は固有の靴に対しての数値、「先寸」は万人に共通する必要な靴内での余裕寸…ですからね!

特に万人向けに靴の選び方などをお話しする時に「捨て寸」という単語は意味が違うので使うべきではない…そんな事言う方のお話しなんて信用できな~い!…ってのが私の考え…( ̄∇ ̄*)ゞ



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