カメラはファインダーを覗きたい
いま最も気になっているカメラがあるとすれば、RICHO GR IIIxを挙げなければならない。あの小ささでAPS-Cセンサを内蔵し、誰が撮ってもあの絵が出てくるというなら(そして実際に正しい)、どう考えても魅力しかない。欲しいか欲しくないかで言えば欲しいに決まっている。
が、購入に踏み切らない且つ踏み切れない理由としてはGR IIIxに「ファインダーがない」ことに他ならない。
スマートフォン以外にカメラを持つのなら、写真を撮るための専用の機械を持つのなら、どうしてもファインダーを覗きたいし、ファインダーを覗いてシャッターを切る行為になにか儀式のような特別なものを覚えるからだ。
冷たい雨が降って1日を通して寒かった日の翌日、ピーカンとなった土曜日の午前中にそんなことを考えながら、肩にX-T20を下げて海外沿いを自転車を気の向くままに走らせた。
うん、やっぱり良い。ファインダーは覗いているその時間だけ、世界から自分が隔離される。カメラで世界を切り取る直前には、自分が切り取られている瞬間があり、そしてカメラから響いてくるシャッター音で目が覚めて戻ってくるわけだ。
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GR IIIxに惹かれる一因はあの小ささなサイズ感にあるわけだが、そこでふと思い出すカメラがある。
FUJIFILM X30だ。ミラーレスカメラのトレンドの波や、スマートフォンの台頭によってきっと売れなかったのであろうコンパクトデジタルカメラだが、あのモノとしての凝縮された質感の高さは言わずもがな、ファインダーや「手動」ズームのレンズを内蔵していた点で2023年の今になっても替えの利かない稀有なカメラだったと言える。
きっと登場することはないだろうが、APS-Cか1インチサイズのセンサーでX40が出るのならぜひとも欲しいところなのだけどなぁ。