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尾道市地域おこし協力隊・大橋 和也さんが語る、任期満了に至る思いとこれまで

みなさん初めまして!
2020年から尾道市地域おこし協力隊を務めている大橋 和也です。もうすぐ任期満了というタイミングでこのたび、こちらのnote「尾道市移住定住コンシェルジュ'23」に寄稿することになりました。地域おこし協力隊に着任する経緯、担当エリアである尾道市の里山エリア・御調みつぎ町での活動内容などをご紹介します。

●プロフィール

大橋 和也
1984年、東京で生まれる。2020年4月に関東から尾道への移住を果たし、同年5月、尾道市地域おこし協力隊に着任。御調地区を担当。
アメリカ合衆国での農業研修、JICA青年海外協力隊としてのブータン王国での活動、海外20数ヵ国・地域での訪問・勤務・農業指導経験など多彩な経験を有する。
現在は子育てに奮闘しながら、御調および尾道の魅力発信、「農」に関わる多くの活動に奔走している。

脱サラして農業の道へ。持ち前のフットワークの軽さを活かし、JICA青年海外協力隊も経験

尾道に移住する前は、茨城県水戸市の農業学校で教職員をしていました。農業学校で何をしていたかというと、学内の畑にてサツマイモやナガネギ、ジャガイモ、トマトなど大規模栽培の指導および生産をしていました。

さらに少しさかのぼりますが、農業に携わるきっかけは東日本大震災でした。福島で農家をしていた祖父母の背中を見て、脱サラをして農業の世界に入ることにしたんです。

国内での農業研修を経て、アメリカの有機農家で1年半の農業研修などを受け、JICA青年海外協力隊としてブータンへ。ブータンでは野菜栽培の技術指導などの活動に2年間従事しました。振り返ればこれまで、20数ヵ国・地域を訪問してきましたね。

アメリカの圃場にて
ブータンでの稲刈り

ブータンからの一時帰国中、尾道と再会

学生時代、青春18切符を使って訪れたことがあった尾道。山陽本線から見えた海や町の景色を、今でも覚えています。

尾道と再会することになったきっかけは、前述したJICA青年海外協力隊時代のブータン赴任中、日本にいた彼女(現在の妻)が、尾道で働いていたからです。彼女から聞く尾道は色鮮やかで、聞くたびに「もう一度尾道に行きたい」という気持ちが増していきました。一時帰国した際には、念願叶って尾道へ。千光寺の満開の桜を一緒に見に行くことができました。

千光寺にて彼女(現在の妻)

地域おこし協力隊を目指して、瀬戸内エリアで任地探し

「地域おこし協力隊」は、2009年総務省で創設された制度です。

地域おこし協力隊は、都市地域から人口減少や高齢化等の進行が著しい地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取り組みです。

出典:総務省

「これまでの海外での経験・技術を、今度は国内で還元したい」という思いがあったこと、またJICA青年海外協力隊のOB・OGは帰国後に地域おこし協力隊として活躍するケースを多く知っていたこともあり、自分にもそういった展望がありました。

ただ、問題は任地です。妻と相談を重ね、当時妻が働いていた瀬戸内エリアを中心に協力隊の募集を探していました。

そんなとき、尾道市御調地区の募集を発見。
それまで尾道に「里山」や「農業」の印象はありませんでしたが、これをきっかけに御調町を知ることができ、改めて「ここで活動したい」と感じたんです。

コロナ禍とともに始まった、地域おこし協力隊としての活動

2020年5月。
いよいよ尾道市地域おこし協力隊として着任しました。しかしその当時、新型コロナウイルス感染症が世界で猛威をふるっており、日本では不要不急の外出規制や行動自粛などが求められました。この世界的パンデミックは、みなさんの記憶にも新しいかと思います。

関東からの移住だったので、着任して2週間は自粛でほぼ動けませんでしたし、地域の方々へのご挨拶にもなかなか伺えず、地域での活動が思うようにスタートできなかったことには歯がゆい思いをしましたね。

しかし今になって振り返ってみると、御調町内の公的機関や町の方が信頼を寄せてくださったこともあり、2020年の夏以降の御調での活動はとてもスムーズに進んだように感じます。ただやっぱり活動の幅を急拡大できたのは、全国的にコロナ禍が落ち着き始めた最近だったように感じています。

地域おこし協力隊として御調町で取り組んできたこと

これまでの経験・知識を活かして取り組んだことは、大きく2つです。

①農業振興活動

町内の農業生産者や加工食品業者とともに、現場研修、営農指導などを行ってきました。

ほかにも、農家の販売支援、SNS等の利用促進、コロナ禍でのお取り寄せ需要に応えるためのECサイト商品開発(みつぎの三ツ星野菜便)、イベント告知や商品紹介を踏まえたオンライン・ファーム・ツアーの実施、道の駅や野菜市でのイベント参加・支援など、「農」に関することに幅広く携わりました。

②PR・広報活動

PR・広報活動では、尾道市地域おこし協力隊の公式Facebookページへの記事投稿、尾道市シティプロモーション「人と尾道」の公式Instagram担当、尾道市の公式YouTubeにて御調町内のお散歩動画「みつぎさんぽ♪」の動画投稿(映像制作を生業にしている妻の力を借りました)などを精力的に行ってきました。

ネットを使った発信だけでなく、町内外の方々や尾道へ移住を検討している方に講演や説明会を行ったり、フィールドは教育現場にも。たとえば御調町内の小学校・中学校・高校の授業「総合」では、年間を通して「まなびのとびら」と題した授業を行い、地域の若者たちと一緒にイベントを開催して御調を盛り上げるなど、活動してきました。

ついに任期満了が目の前に。コロナ禍とともに駆け抜けた4年間

コロナ禍が落ち着いてきた2023年が、地域おこし協力隊としての最終年度でした。正直、やっと活動の幅が広がってきたというタイミング。任期満了を前にすると改めて、御調町内の自然や食などの魅力を再確認できるようになりましたし、特に「人」とのつながりを大切に感じるようになりました。

地域おこし協力隊は卒業しますが、私は今後も引き続き、御調町内で活動していきます。だから、「人」や「(地域との)つながり」は心強く、大切な味方です。これからも、御調の魅力を発信し続けたい。地域を盛り上げる活動に尽力したいと思います。

次の地域おこし協力隊への応援メッセージ

地域おこし協力隊は移住を伴うことがほとんどなので、まずは御調町の魅力を自分の目線と感覚で見つけてください。そして、最初に感じた御調町の第一印象を大切に、活動に活かしてください。

協力隊の活動に正解はありません。
Will(したいこと)、Can(できること)、Must(すべきこと)のバランスを考え、自身の余暇をしっかりと楽しみながら、理想の活動を目指してくださいね。応援しています!

https://www.facebook.com/onomichi.okoshi

\取材された記事はこちら/

アメリカ、ブータンでの農業経験を経て尾道へ|FURUSATO

●文:大橋 和也
●移住定住コンシェルジュ:後藤峻(@concierge_goto
●編集:アンドウ(@holiday_cloudy

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