DVDの代わりにURLひとつで映像が送れる時代に、会えないあなたと「時間と空間」を共有する「しかけ」DVDを作った紆余曲折。
「特別」なDVDってなんだろう。「豪華」ってなんだろうな。
それを考えると夜中にちょっとした思考のジャーニーに出かけたまま朝になってしまう日々が続いた。
結論。今回のDVDは、普通のプラスチックケースはやめた。
A3の大きさの厚紙1枚と盤だけ。ミニマム。
CDが握手券のおまけになった時代を経て、
「ときめくもの以外捨てましょう!」ってこんまりさんに言われて、「断捨離!」「すっきり!」ってする時代も経て、
私のまわりにはSDGsに深く関わるお仕事をしている人も多く、もともとURL一個で済むものを、
あえて形にすることについて考えてみた。
今回オノマトペル初のDVD制作。2020年12月23日にライブをして、当初2月には注文してくれた皆様のお手元に届くはずだった。
年を跨いだことや、去年末の怒涛の忙しさでみんな体調悪そうにしていたこともあり、ゆっくり作ることになった。
気持ちは焦るが考える時間が増える。
お待たせしているみんなに、待った甲斐があったと思ってもらえるちょっとしたサプライズを仕込みたくなってきてしまう。
(DVDの「5つめの扉の開き方」動画などは、オノマトペルDVDの手記のnoteを見てね)
なにしろオノマトペル史上最大規模で、最高のコンサートだった。
コロナで、年間150本のライブが、有観客としてはたった1本になり、1年分が凝縮された作品となるわけだ。特別豪華なDVDにしたい。
「特別」なDVDってなんだろう。「豪華」ってなんだろうな。
それを考えると夜中にちょっとした思考のジャーニーに出かけたまま朝になってしまう日々が続いた。
結論。今回のDVDは、普通のプラスチックケースはやめた。
A3の大きさの厚紙1枚と盤だけ。ミニマム。
A3の厚紙1枚が、「並行世界」の入り口の役目を担い、切ったり折ったりした中にDVDの盤をたずさえてお客さんのもとに旅立った。
CDやDVDを郵送するときに使う、新品のクッション封筒に収まってではなく、不織布ケースすらなく。
オノマトペル第1作目のCDのポスターでできた「封筒」にくるまって。
ミニマムな材料だけどマックスに時間と労力がかかった。
「並行世界切符」と名付けたCDと、物語の世界がつながるDVD。
さんざん、さんざんどんなジャケットにしようか考えた結果、同じデザイン!
(左がCD、右がDVD。色味の違いは、写真をとった時間が昼と夜だったから)
裏。
2020年12月23日。ギリギリ中止を免れたあの日、コンサート会場にきてくださった方も、いつもだったら遠方から駆けつけてくれていただろうけどこのご時世でこられなかった方も、
一緒の空間と時間を共有できる「しかけ」みたいなもの...を散りばめた。
DVDの一部となっている、キラキラ光る「こぼれた星」たち。
スポットライトの光に見立てた、オーロラのセロファン。
これらは、当日コンサートでボーカル横沢が着ていた衣装のかけら。
鍵穴から引き出すメッセージの紙は、大きな1枚の絵を描いて、それを細く、切ったもの。
あの日のコンサートを形成していた1ピースがカケラとなって日本全国にいそいそと散らばっていった。
このアイデアがなかったら、3ヶ月前には家のアパートのゴミ捨て場にいたであろう、紙や布やオーロラセロファンたち。
もう2年以上も日の目も見ずしまわれた「上質な厚紙」のポスターたち。
もちろんいつかはゴミになるだろうけれど、あの時私が、選びに選んで、この素材がいい、この色がいい、と決めてうちにやってきた子たちが、別の形となってもうすぐみんなの手に届いて、もうすぐ一仕事する頃かな。
本当は映像も音楽も、今はURL1つで、郵送料もなくメールで送れるのだ。
今の時代、というかもう10年以上前からそうなのだ。
だけどそれでも「もの」としてそばに置いておきたいと言ってくれる人もいて、嬉しい。
そして私はいまだに、手書きのメッセージを書いている。
CDやさんに並ぶ時、CD..またはDVDたちは「規格にあっている」ほうがいい。棚に並べてくれる店員さんも楽だし、棚は「規格サイズ」のCDやDVDのために作られた規格サイズの棚だから。
規格サイズや規程のなかで、デザイナーもミュージシャンも工夫を凝らして、素敵なジャケットを作り続ける。CDサイズやA3といったような規程や規格のなかで最大限に遊ぶ。
A3。
(左が試作。右は完成品)
印刷の色に金、銀、ラメを入れたりコーティングをしたり、
ケースにさらにカバーをつけたり、その素材を布にしたりファーにしたり。手に取った時の特別感やワクワクを思い描いて。
CDが握手券のおまけになった時代を経て、
「ときめくもの以外捨てましょう!」ってこんまりさんに言われて、「断捨離!」「すっきり!」ってする時代も経て、
私のまわりにはSDGsに深く関わるお仕事をしている人も多く、もともとURL一個で済むものを、あえて形にすることについて考えてみた。
DVD、CDは要るか。いらないか。
もうわからないんだけど、
私たちにとっての過渡期が今だったから。
新品で「豪華」な、キラキラした素材や色の発色、私はワクワクしちゃう。
紙質、厚みやコーティングも、けっこう大事。
そして、新しく買ってこなくても、私たちにとって意味のある「素材」たちは、既に持っていた。ちょっとだけ..いやけっこう、手間ひまが必要だから大量生産はできないけど。
次作品こそ本当に配信URLだけ、かなぁ。
1枚1枚折って、布を切って貼って組み立ててポスト投函。
みんな喜んでくれるかなぁー...
そんなことを心配したりワクワクしながら。送ります。
あちこちに「注文が多い」DVDですけど、お子様がいるご家庭などで楽しんでいただけたらこれまた嬉しいです。
・伝承ホール「並行世界切符〜オノマトペルと不思議の風たち」クレジット
・並行世界へ旅する皆様へ。オノマトペルDVD手記。