[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]4/21 これが現在の実力。そして清宮の現状。

 昨日今日と見せ場を作りましたが、結局は突き放されて連敗、カード負け越し。今日など3回の6失点で勝負アリかと思えば一時は一点差まで追い上げたんですから頑張ってはいますが、最終的には首位を行くチームと最下位のチームの地力の差がはっきりと出ました。つまりこれが現在のチームの実力です。

 先発立野はせっかく2点のリードをもらっておきながらその裏、先頭打者を歩かせてしまいます。バントのあと炭谷の一二塁間の鋭いゴロを清宮が後ろにそらしてしまい(記録はヒットでしたが明らかにエラー)、これで一気に流れがが向こうに行ってしまいました。下位打線相手に四球とエラーでランナーを溜めて上位に回してしまうという最悪のパターン。一死一三塁、内野は中間守備でしたから1点はOKという場面。しかし続く西川も警戒しすぎて歩かせて満塁。小深田と勝負せざるをえなくなり、カウントを悪くしてストライクを取りに行ったど真ん中のストレートを打ち返されて走者一掃の2ベース、一気に逆転されてしまいます。しかし小深田の当たりも守備のいいライトなら獲っていた当たりで、もし今川でなく淺間か松本なら……という感じ。いずれにしろ西川を歩かせた時点で勝負アリでした。その後踏ん張って3点で抑えれば良かったですが、緊張の糸が切れてしまったのか、浅村島内と、不用意にカウントを獲りに行ったファーストストライクを打ち返され、あっという間に3失点、計6失点です。小深田に打たれるまでは仕方ないとして、その後をしっかり抑えたかったところで、一度打たれ出すと集中力がなくなってしまい抑えが利かなくなる最大の欠点が出ました。今季は先発ローテに定着して10勝は期待したい立野ですが、ファームで再調整が必要かもしれません。

 その後打線が奮起して1点差まで詰め寄り、さあこれからというところで宮西が獲られた2点が致命的でした。まず先頭の浅村に甘く入ったファーストストライクのストレートを逃さず完璧にHRを打たれ1失点。失投を逃さず1球で仕留める。甘い球を何度も打ち損じるウチのヘボ打者とは格が違います。これは事故みたいなものと割り切って後続を抑えれば良かったですが、続く島内を歩かせ、次打者の2球目が打者の背中を通過する大暴投で2塁に進まれるという独り芝居で勝手にピンチになってしまい。ヒットでさらに1点。宮西も人間だ、こういう日もあるさ、で割り切れればいいんですが、以前だったら空振りが取れたスライダーを簡単に見逃され、微妙に甘く入ったストレートを打ち返され、という投球は、やはり宮西らしくない。今後僅差の試合で使いにくくなってしまったことは確かです。

 打つ方は、まずスタメン3番で今川というのがびっくり。たぶん昨日の試合で今川に代打を送らなかったことであちこちから叩かれた新庄監督が、半ば意地になって今川を使ったのではないでしょうか。5番ならまだしも3番では、近藤松本が塁に出ても今川が空気を読まない三振で流れを断ち切ってしまうことが容易に想像できたわけですが、その今川が2安打2打点1HRと結果を出したんだからわからないものです。今川も自分の不甲斐ないプレーで監督が叩かれたことを気にしていて、これ以上監督に恥はかかせられないと奮起したのかもしれません。試合の流れ的には逆転された直後の4回表の先頭打者HRが大きかった。あれで「行けるぞ」という雰囲気になりましたから、やはり一発の威力は大きい。しかし今川個人としては5回の表、一死一二塁から7球粘ってフルカウントからのインコース低めのシュートに食らいついてレフト前に落としたタイムリーが非常に大きかったと思います。昨日の最後の場面で今川に求められていたバッティングはまさにあれだったわけで、昨日の反省がここに活かされたのだったら、今後今川が大きく成長していくきっかけになるかもしれません。

 しかしその後がいけなかった。一点差に追い上げ、なおも一死一三塁。外野フライで同点の場面です。打席はこの日四番に起用された清宮。清宮は初球ボールになる変化球を見逃したあと、2球目の高めに抜けたスライダーをなぜか見逃してしまい、続くインコース高めのストレートを強引に振りに行って打ち損じてファウル。4球目のボールになるフォークに手を出して空振り三振です。外野フライでいいんだという気楽な気持ちで打席に入っていれば、2球目の高めの甘い変化球を捉えることは十分に可能だったはずですが、3回の大量失点のきっかけを自分が作ってしまったという自責の念があり、なんとしても打つんだと逆に固くなってしまった清宮は、甘い球に手が出ない。その消極性を見かねたベンチが3球目にエンドランを仕掛け無理やりスイングさせましたが、もともと打つのが難しい球。絶好調時ならなんとかできたかもしれませんが、当てるのが精一杯。ファウルで1-2と追い込まれた時点で勝負ありです。追い込まれて粘り食らいついてタイムリーを打った今川とは対照的。試合の流れからみれば、この清宮の打席で同点に追いつけなかったことが非常に大きかった。「敗因」とまでは言いませんが、ここでチームの勢いが止まってしまったわけですから。

 思えばソフトバンク戦で特大ホームランを打ったあとの清宮は自信に溢れていて、打席でのオーラがハンパじゃなかった。警戒した相手はマトモに勝負してくれなくなり、四球が急増した。HRのあと続けざまに結果を出していれば違ったでしょうが、四球と凡退を繰り返すうち、いつしか魔法が切れるように清宮の打席からはオーラが消えてしまい、四球しか選べなくなっていた。今日なんかも自信を失いおどおどした様子が痛々しく、三振したあとの泣きそうな顔を見ていたら、この子はそもそもプロに入ってくるのが間違いだったんじゃないか……という考えが頭をよぎってしまいました。昨日のこの欄で今川の代打に清宮を出さなかったことに苦言を呈しましたが、三振しても三振してもめげない今川や万波の図太さと、すぐ自信をなくしおどおどしてしまう清宮の差は、この世界では意外に大きいのかもしれません。それだけに8回表の攻撃で右のブセニッツ相手なのに代打に右の渡邊を送られた場面は、なんだか決定的だったような気がします。もしかしたらこの時、新庄監督は清宮を見限ってしまったのかもしれません。これまでも監督は清宮の消極的な姿勢に疑問を呈してましたが、こういう清宮のメンタルの弱さ(優しさ、と言ってもいいと思います)が、彼の大成を阻んでいるとみているのは間違いない。今後の清宮の処遇が気になります。

 これで3連戦が終わりチームは札幌に帰り2位ソフトバンクと、開幕カード以来の対戦です。開幕カードの新庄奇抜采配でチームの調子が狂ってしまい連敗地獄に陥ってしまったわけですが、その頃に比べればチーム状態はだいぶマシになっているし、選手の起用(特に投手)もだいぶマトモになってきた。その状態でどう戦うか。注目です。

 

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