[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]4/24 今季ワーストゲーム

 ひどい試合でしたね。スコア的に惨敗というだけでなく、これ以上なく明白に采配ミスで負けたという意味で、間違いなく今季ワーストゲーム。そして今の監督が采配を振るい続ける限り、同様の酷いゲームはこの先何度でも起こりうる。その意味でこれは始まりに過ぎないのではないでしょうか。なんせその采配を下す人は今年の新監督ですから。へたすりゃあと3年、こんなゲームに付き合わなきゃならないわけです。

 問題にしたいのは2点リードされての3回裏の攻撃です。先頭の近藤がヒットで出塁、次打者中島の時にいきなり初球エンドラン。ボールになる変化球を中島が空振り、相手捕手の送球はどんぴしゃでタイミングは明らかにアウトでしたが、相手ショートが落球してセーフ(記録は近藤の盗塁)で結果オーライ。中島はバントでランナーを3塁に送り、打席には目下首位打者の松本。カウント1-3からカットボールを捉えた打球は一瞬、センター前に抜けるかと思われましたが相手のファインプレーに阻まれセカンドライナー。ところがこの時走者の近藤が大きく塁を飛び出していて、球はサードに転送されアッという間にダブルプレー。追撃のムードは一気にしぼみ、直後に河野が3点とられて試合は決まってしまいました。あとでリプレー映像を見返してみると、近藤は松本がバットを振った瞬間に走り出していて、打球をセカンドがキャッチした時にはもうホームの手前ぐらいまで来ていました。つまりヒットエンドランだったわけです。ランナー3塁でヒットエンドラン?

 2点リードされての3回一死3塁、カウントは1-3、打席はリーグ首位打者の松本、その次の打者も好調の4番打者・野村です。いわば今チームでもっともヒットを打つ確率が高い打者が2人続く。この場面でリスクを背負ってエンドランを仕掛けた理由はなんでしょうか。打球が落ちてから走り出しても十分ホームインできるのに。ゴロゴーというわけでもないし。どういうこと? これは結果として相手のファインプレーが出たので運が悪かった、という話ではありません。解説の鶴岡は「この場面でエンドランが来るとは誰も思ってない」と言ってましたが、それはつまり、この場面でのエンドランがいかに野球の常識から外れた「奇策」であるかということです。

 実はその前、一塁近藤、打者中島の場面でもハムベンチはエンドランを仕掛け失敗しています。近藤が走り、中島が空振り、甲斐の送球は完全にアウトのタイミングでしたが、たまたまショートの今宮が落球してくれたおかけでセーフになっただけ。甲斐の素早い送球を見ると、完全にハムのやることを予期・予測して、準備ができていたという印象があります。ハムベンチはこの3連戦、しつこいぐらいエンドランを仕掛けてきましたが、ソフトバンクベンチにことごとく見抜かれていて、ほとんど失敗しています。それは藤本監督の談話からも察することができます。「相手は何をやってくるかわからないので、冷静に対処するだけ」とかなんとか。何をやってくるか、何を考えているかわからない相手は不気味ですが、それも見透かされ、見切られてしまえばオシマイ。ちゃんとした確率や論拠に基づいた奇策なら別ですが、そんな根拠があっての采配とは思えない。采配する側からするとエンドランは決まるとこれ以上ない快感らしいですが、相手の隙をついてたまにやるから効果的なのであって、相手が十分予期している中で何度も何度もやるのは、リスクが高まるだけ。もはや勝敗を度外視して「自分の采配が決まった時の快感」を追い求めて中毒になっているとしか思えない。あるいは、正攻法で戦っても勝ち目がないから、トリッキーな戦術を弄するしかないと思っているのか。つまり選手を信用していない。もしかしたらセオリー通りの戦術は退屈で面白くないと思っているのかもしれません。しかし「面白くない」というだけの理由で負けを覚悟の確率の極めて低いギャンブルをやられても、見ている側は少しも面白くない。

 2試合続けての大敗ですが、実は安打数は両チームともそんなに変わらない。ソフトバンクの攻撃の効率の良さ、ソツのなさに比べると、ハムの攻撃のヘタさ加減が際立ちますね。ヒットが出るのに得点が入らないのは、打線の組み方が悪いか、攻め方がヘタかどっちかです。つまり監督ご自慢の奇策の連続は、少なくとも得点をとるという意味では何の役にも立っていない。成功しても得るものは少なく、失敗すればゲームの流れを失う。しかも失敗の確率が圧倒的に高い。ハイリスクローリターンですね。新庄監督のやっている奇策は、そういう策です。

 打撃だけではありません。今日のスターターは2年ぶり先発の杉浦。3イニングだけ投げて次の投手にスイッチしたので、最初からショートスターターの予定だったんでしょう。杉浦は2失点、あとを引き継いだ河野は試合を決定づける2回6失点ですからショースター大失敗です。もちろん投手の不甲斐なさが大きいですが、シーズン始まって間もないのになぜこんな先発投手の運用をしなきゃならなかったのか、なぜそんなに先発投手事情が逼迫してるのか、問題はそこだと思います。昨日は上沢の乱調がすべて、という試合でしたが、開幕以来上沢は中5日、中4日、中6日、中5日と、変則的な日程での投球を強いられている。その影響がないはずがない。昨日の解説の建山も、今日の鶴岡も「調整が難しかったのではないか」とコメントしていました。しかし新庄監督は全てが上沢の不甲斐なさが原因であるかのごときコメントを出して責任を全て上沢におしつけていますし、武田勝コーチはこんなコメントを出しています。

 登板間隔を縮めたことによる影響について武田投手コーチは「ないと思います。今のところはトレーナーからの報告もないですし。今年これを試しながら、来年以降もこういう形になるかもしれない。今は体を慣らしてもらう時期に入っていると思います」

 もちろん上沢が監督批判と受け取られかねない「変則日程で調整が難しかった」なんて言えるはずがない。そのぶん投手コーチが事情を察して監督に進言するなりする必要があるわけですが、武田コーチは要するに「どんな変則日程だろうがチームの方針だからそれに合わせて調整しろ!」と言ってる。本気でそんなこと言ってるんでしょうか。もちろん中4日登板なんてメジャーでは当たり前、なんて声はありますし、「要は慣れの問題」というプロの声があることも確かです。しかしこの中4日、中5日の先発日程はいつ決まったのか。最初からのチームの方針なら、キャンプの段階からそう言い渡してそのつもりで調整するのが当然だと思いますが、どうみてもここに来て突然言い出したように見える。選手は対処するのが大変です。まだ勝ちのない上沢、先発ローテが期待されながら不甲斐ない投球が続く伊藤や河野や立野など、すべてこうした変則的な起用、つまりいつ投げるのか、相手は誰なのか、何イニング投げるのかわからない、という状況が関係してるんじゃないか。もちろん先発ローテを予定していたポンセやガントといった新外国人の調整が遅れているのは誤算だったと思いますし、中4日起用なんてことを監督が突然言い出したのは、それ(=外人投手不在による先発投手不足)が直接の原因だと思いますが、開幕3連戦はすべてショートスターターと細切れ継投、その後は変則日程での先発など、監督の気まぐれな思いつき選手起用とセオリーをただ無視するだけが目的の奇策が投手起用にも及んで、こんなぐちゃぐちゃなことになっていることは否定できません。2試合連続で今季最多失点を更新しているのは、断じて単なる偶然や投手個人の不甲斐なさではない。

 それにしても今日の試合、4回以降はほんとに酷かった。試合の大勢が決まったあとは投手も打者も糸が切れたように淡白で雑なプレイの連続で、見るに堪えないとはこのことです。最後まで諦めない、お金を払って見に来ているお客さんのために食らいついて頑張るという姿勢などカケラもない。それでもプロかと言いたくなりました。でもそんな最悪な展開は、監督の采配ミスから始まったのは明らかです。あそこで明らかに流れが変わった。というか、自分から流れを手放してしまった。このゲームの流れというだけではなく、もしかしたら長いシーズンの分岐点となる可能性がある。ここから大型連敗が始まる可能性は大いにあると思います。火曜からの東京ドーム3連戦を見に行く予定でしたが、正直気持ちはかなり萎えています。



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