[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022] 6/26 なんとか8連敗は免れたが……

 最後は堀まで注ぎ込んで辛くも逃げ切り。松田があっさり打ち上げてくれて助かりました。結果的に勝ち越しに繋がる一打を打った谷内は嘉弥真相手に全くバッティングをさせてもらえませんでしたが、なんとか食らいついてボテボテのゴロを打ち、相手のエラーを誘って棚ぼたの勝ち越し。谷内の執念でもぎ取ったような点でしたが、しかしこれが御用マスコミの手にかかると「BIG BOSSの代打策的中!」なんてチョーチン記事になるんだろうなあと思うと、ちょっとうんざりしてきます。まさに「勝ちに不思議の勝ちあり」の典型みたいな試合でしたね。

 先発のポンセが思いのほかいいピッチングで試合を作り、その後に投げた中継ぎ陣も踏ん張って相手に余計な点を与えなかったのが良かった。ポンセの失点も、2回の1点は一死ランナーなしからの牧原の当たりを前で守りすぎた松本が後ろにそらして三塁打にしてしまったのが原因。前進守備が松本の判断なのか監督の指示なのかわかりませんが、外野守備に異常なこだわりを見せる監督ですから、監督指示の守備シフトだと見るのが妥当でしょう。繰り返しますが、ランナーのいない場面です。前に落ちる単打ならオッケー、後ろを抜かれて長打になるのが一番マズイ場面。普通の守備位置なら平凡なセンターフライで終わっていたはずです。エラーにはもちろんなりませんが、明らかに守備ミスですね。そしてヌニエスの一発で追いついたあとの6回の失点は、先頭の中村の打球を捕球した清宮の送球エラー(なぜか記録はキャッチしたポンセのエラー)がきっかけなので失点1も自責はゼロ。5回1/3被安打3与四死球ゼロ自責1なら十分です。初勝利はお預けでしたが、次も使えそうないい投球でした。遅ればせながらやっと出てきてくれましたね。

 しかし打つ方では迷走の連続です。4回表、先頭の松本がヒットで出て無死1塁、打席は野村。しかしここで野村はど真ん中ストレートを2球続けて見逃してしまいます。ふだんの野村からみてこんな消極的なプレーをする選手ではありません。たぶんベンチから松本へ盗塁のサインが出ていて、野村は松本が走るのを待っていたんじゃないか(今年のハムの走塁は、いわゆるグリーンライトはなく、全てベンチからの盗塁指示です)。ところが松本が走らずたちまち0-2と追い込まれてしまい、挙げ句は牽制タッチアウト。なんともちぐはぐな攻撃でした。そしてヌニエスのHRで同点に追いついた直後、上川畑の三塁打で一死三塁と勝ち越しのチャンス。打席石川亮で、カウント1-3からスクイズを敢行。しかしこれは案の定見抜かれていたようで、バッテリーはインコース高めにストレートを外し、石川はなんとかバットに当てたもののキャッチャーフライとなってしまい、チャンスを潰します。またもサインプレー失敗。その後1点勝ち越され、8回先頭の上川畑のプロ初HRでなんとか同点に追いつきます。

 つまり2得点は監督の采配とは一切関係ない、選手の個人技であるソロHRのみ。監督の采配が絡んだランナーありでの策はすべて失敗だったわけです。しかしまあ、監督の采配が裏目になるのはいつものことなので、正直「またか」と思うだけでしたが、まさかと目を疑うようなプレーが同点の9回表に炸裂しました。

 二死ランナーなしになり、フラフラとあがったアルカンタラのフライを相手外野手がお粗末なプレーで二塁打にしてしまい、二死ながらランナー二塁の大チャンス。打席はさっきHRを打って気を良くしているヌニエス。2ボールとボール先行になり、3ボール目は明らかに勝負を避けたもの。長打を警戒して敬遠して次打者の上川畑と勝負かな……と誰もが思った瞬間、なぜかアルカンタラが3塁に走り、捕手甲斐は落ちついて3塁に投げてあっさりタッチアウト。なんと、モイネロからの投球がキャッチャーミットに入ってから走り出すディレードスチールでした。いつも冷静なNHKアナがあまりのことに思わず絶叫し、「ランナー2塁からのディレードスチールなんて今まで見たことがありません」と、NHKの解説の大野豊も和田一浩も当惑気味。「理解できません」という一言も出ました。目の前で打点チャンスを潰されたヌニエスは明らかに不快な表情。そりゃそうです。

 打席は久々のHRを打ち、気分を良くしているヌニエス。敬遠されても次はこの日あと2塁打1本でサイクルヒット達成と絶好調の上川畑です。得点が大いに期待できる場面。ああしかし、我がBIG BOSS監督はこんな場面でも「新庄の采配で勝った」と言われたいんでしょう。馬鹿のひとつ覚えのようなエンドランやダブルスチールがことごとく失敗し批判が高まっている中、意地にもなっていたんでしょう。誰もが予期しない、セオリーから外れまくった策だからまさに「奇策」なんですが、相手は事前に十分に研究し「何をやってきてもおかしくない」と心の準備が出来てるから「奇襲」にはならない。セオリーから外れている、それまでの野球常識にないということは、元々成功する確率が限りなく低いということ。「奇襲」で相手のミスを誘いたかったんでしょうが、相手は百戦錬磨の甲斐です。初戦にダブルスチールを甲斐に潰されたので、新庄監督はやり返してやれと思ったのかもしれませんが、いかにも浅はかですね。

 いくら相手からもらったチャンスとはいえ、こんな阿呆な采配ミスで潰してしまったら、流れが相手に行くのは当然。ハムファンの大半は負けを覚悟したはずですが、その裏に投げた北山、そして鈴木健矢が頑張って相手に行きかけた流れを断ち切ったので助かった。デスパイネのところで、それまで完璧に投げていた北山から鈴木に代えたのは、おそらく鈴木が監督のお気に入りだからでしょう。外人打者には変則のアンダースロー、と思ったのかもしれません。古い野球観ですけどね。以前も書いたように監督は鈴木を右の切り札として育てようとしているようで、自分の思いつきでサイドからアンダーに転向させた鈴木を盛り上げたくて仕方ない。自分は打者だけじゃなく投手も育てられるんだと自慢したいんでしょう。藤川球児は以前の解説で「現役時代の新庄さんはアンダーハンドが大の苦手だったから、鈴木を右打者相手の切り札に育てたいんだろう」という意味のことを言ってましたが、この日打者1人だけに投げた鈴木が結果としてプロ初勝利なので、BIG BOSSの思惑通りということです。俺様が苦手だったものはみんなも苦手に違いない……という、いかにも新庄監督らしい思い込みですね。

 なんとか連敗を7で止め、交流戦後の初白星。しかし得点経過を見てもわかる通り、選手の個人技と頑張りと相手エラーでの得点で、監督采配はむしろ足を引っ張っていることを忘れてはいけません。どうせメディア報道はアルカンタラのディレードスチールなんて奇策ならぬ愚策・珍策などなかったかのようにスルーしてしまうでしょうから。この勝利は喜ばしいですが、勝ったおかげで監督のトンデモ采配が忘れられてしまうようなら、また同じ間違いは何度でも繰り返されることになるでしょう。

(追記)

-9回の攻撃はアルカンタラがディレードスチールで三盗に失敗

 新庄監督 あれは自分で図って行ける時にいってほしいというサイン(グリーンライト)だったんだけど、たぶんね、ディレードスチールと間違えたと思うんですよ。セカンドのディレードスチールは今後、ないかな。ああいうミスで俺、結構「あ、面白いな」ってメモに書くこと多いんだけど、あれは…ないね(笑い)。ましてや(相手捕手が)甲斐くん。そこはちょっと分かってほしいよね、選手に。セカンドでディレードスチールは…でも、俺がいろんなことをキャンプ中からやっているから、サインだって(思ったかも)。それもマイナスだし、それはちょっとミーティングをして、あれはないよって。

 どうやら「走れる時に走って」というベンチのサインをアルカンタラが「ディレードスチールをやれ」というサインと勘違いした、というのが新庄監督の言い分のようです。その言い分が本当かどうかはわかりませんが、もしかしたら「走れる時に走って」というサインは正確に伝わっていたけど、アルカンタラが判断した「走れる時」があのタイミングだったという可能性もある。そもそもさほど走塁が巧いとも思えないアルカンタラに「三盗やれると思ったらやっていいよ」なんてサインを出すでしょうか。西川や中島や松本ならともかく。絶対に盗塁死は許されない、リスクの高い局面で。そしてもしアルカンタラがサインを勘違いしたとしても、ハムの20以上もあるとう複雑怪奇なサインの多さがそうした間違いを生んだんじゃないか。普通なら「いくらなんでもこの局面でディレードスチールはない」と考えるでしょうが、ご存じの通り「何をやってくるかわからない」セオリー破りの奇策大好きな新庄監督だから、そんなサインであっても特に不審に思わずそのまま実行してしまう。まして自分のサインを忠実に実行しなかったりするとカッとなって報道陣の前で当たり散らしたり、感情的になって2軍に落としたりする監督です。このサインやばいと思っても、後が怖いからやってしまう。

 いずれにしろ真相はアルカンタラとサインを実際に出した三塁コーチ(?)のみが知るわけですが、彼らがことの経緯を正直に喋る機会があるとは思えないので、真相は藪の中です。失敗したら全部選手のせいにする監督らしい一コマでした。





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