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ほんとうの怪談

夏だし怪談でも。

僕の父系のひいじいさんはお寺の住職だったのですけれど。
なので父方の叔母にとってのおじいちゃんなわけです。
子供の頃、叔母は何度かお寺に寝泊まりしたらしいのですよ。
その時のお話。

草木も眠る丑三つ時。
コーン、コーンと音が聞こえてきたのだそうです。
そんな夜中のお寺で子供が聞いたらやっぱり怖かったそうで。
翌朝、おじいちゃんに話したんだそうです。
そしたらお寺の一本の木まで案内されたそうでして。
そこに呪いの藁人形が打ち付けられていたのだそうです。
それはね、わりと大きくなるまでその木にあったらしくて、藁なんかは枯れて落ちるけれど釘は残るし木が成長するにしたがって高い所にね、跡が残っていたのだそうです。
わりにたんたんと、あったんだよねぇなんて話すのです。

僕は幽霊の類はあまり信じていないです。
トンデモ系のほとんどは信じていない。
UFOとかね、ぜんぜん信じない。
妖怪はちょっとだけ信じてるかもですけど。
それ以外はほぼ信じていないです。

だからこそ、これが怖い話だった。
そんなのうそだ!と言う場所が一カ所もないから。
子供の頃の曖昧な記憶でしょ!とかすら言えない。
そして夜中に墓所の木に釘を打ち付けている姿を想像すると、こんなに恐ろしいことはないなと思ったわけです。
そこまで人を恨むなんてことがあるなんてと。

その念のようなモノはどこに向かうのだろう。
超能力だって信じていないですけれども、でも念のようなモノはやっぱりあるじゃないですか。物理的な何かを起こすとかじゃなくて、心理的影響とかで言えばさ。
人を呪うことなんて話に聞いたことはあったけれど、身内のような近い人がその音を聴き、痕跡を目撃するだなんて。

ああ。
この文章を読んでも恐くないんだろうなぁ。
怖い話として書こうと思ったけれど。
なんの脚色もない、ただの事実ですから。
おどろおどろしく書くことは出来ますけどしません。
へぇ、そうなんだってなもんかもしれないです。

でも僕にとっては怖いです。
とっても怖いです。
その釘を打つ心理を想像するだけで恐ろしいのです。

脚色されたお化けの話なんかよりもずっと。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。