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上場のMakuake。クラウドファンディング市場で後発ながらも上場できた理由はコミュニケーション戦略にあり?

本日は、2019年11月に上場したクラウドファンディング企業の「Makuake(マクアケ)」の成功要因を分析(マーケティングトレース)していきたいと思います。

Makuakeは、クラウドファンディング企業の中では後発ながらも業界を牽引する存在となっており、今後の成長も期待される企業です。

後発のMakuakeが成長分野のクラウドファンディング市場で上場するまで成長できた背景を詳しくみていきましょう。

Makuakeとは?


会社概要をまとめると

・会社名:株式会社マクアケ
・代表:中山 亮太郎
・設立:2013年5月1日
・全体売上:710.4億円(2020)
・企業理念:これからの食卓、これからの畑
・事業内容:
・アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を中心とした各種 支援サービスの運営
・研究開発技術を活かした製品プロデュース支援事業

現在では、自社をクラウドファンディングの企業ではなく、「何かを伝え、新しいものを体験・応援できるサービス」を運営する企業として、位置づけています。

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そして、ポジションニング的には、一般市場に販売されている完成品市場の前段階であるプロトタイプ市場(0次流通)にポジションニングを絞って、サービスを拡充させています。

マーケティングトレース思考補助ツール_マクアケ

では、Makuakeがどのように成功したのかを分析していきましょう。

成功要因①ニーズに合せたコミュニケーション戦略の対応と元CAのバックグラウンドをもつ経営陣


Makuakeはもともとサイバーエージェントの新規事業として立ち上がった事業になります。そのため、経営陣に元サイバーエージェント出身者が多く、ユーザーやメディアとのコミュニケーションの面で強みが見えてきました。

■「クラウドファンディング」→「応援購入」という発想の転換

Makuakeでは、「クラウドファンディング」という名前をつかっておらず、応援購入という名前を使って、サービスを運営してます。

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クラウドファンディングでは、どうしても寄付のイメージが強く、
海外よりも
寄付文化が薄い日本では、クラウドファンドのサービスが広がる上での課題になっていました。

そこでMakuakeでは、「クラウドファンディング」を「応援購入」という体験価値に着目した呼び方に変え、新しい購入体験として売り出しています。

■「再購入」→「リピート応援購入」という名前と継続的に購入する仕組みを生み出した

従来の「クラウドファンディング」では、サービス内でモノや体験に対してお金を払って、それ以降のつながりは企業やユーザー自身で行う必要がありました。

Makuakeでは、「Makuakeストア」という製品化したプロジェクト品の購入ができるページを用意し、リピート購入を促しています。

ちなみに、クラウドファンドでファンになったユーザーが商品をリピートをしているのか、売上に占めるリピート購入金額は年々積み上がっています。


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(2021年9月期 第一四半期決算)


結果、Makuake全体のリピート決済率は70%以上にもなるとか。

1年間にできるプロジェクト数には、限界があるとおもうので、プロジェクトをフロー型で終わらせるのではなく、ストック型として継続的な関係を作っています。

■掲載を「出資集め」ではなく「新製品のテストマーケティング」として

クラウドファンディングは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、もともとの主な用途は自分たちの活動に対する資金調達として使われていました。

一方、Makuakeでは資金調達の手段としてのMakuakeではなく、テストマーケティング市場としてポジションをとっております。

これにより、

・資金や技術はあるけど、需要があるかわからないから本格販売の前に市場調査をしたい、大企業のニーズ
・量産体制整える前に、社会のニーズをみることで経営リスクを避けたい、中小企業のニーズ

などにも答えることができるようになりました。

またこれは、地方銀行と連携し、地方銀行から地方企業を紹介してもらう体制構築にもつながっています。(2019年7月時点で100社以上との連携)

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https://www.makuake.com/pages/press/detail/171/

地方銀行が協力する背景は、テストマーケティングという形で市場評価がつくと、地方企業の新製品開発に対する正確な融資判断につなげることができるためです。


成功要因②プロトタイプ特化による他にはないワクワクするサイト


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Makuakeは、プロトタイプに特化することによって他では販売していない商品を取り扱うことができ、出資するユーザーにとっては他にはない掘り出し物が見つかるサイトとなっております。


これにより、「なにかおもしろいものがないかな」と定期的に閲覧するようなサイトとなっています。


成功要因③クラウドファンドだけでは終わらない、製品化への一気通貫サポート


Makuakeは、プロトタイプのテスト販売だけではなく、製品完成後のリピート販売所や広告配信の代行、大企業向けの新製品開発サポートプログラムなどを現在提供しております。

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今後は、製品開発の前のユーザー調査やEC運営のサポート、流通展開のサポートも行っていくそうです。

これにより、

面白いプロジェクトが集まる→出資者が集まる→成功するプロジェクトが増える+口コミが増える→面白いプロジェクトが増える→出資者が集まる→・・・・の好スパイラル

が回っていそうです。出資者がMakuakeに出したくなる仕組みができると、成功要因②のサイト上の体験がより充実したものになりそうです。

■Makuakeのビジネスを伸ばすCMO仮説

今後のMakuakeの発表されている方針を整理すると、

・海外市場を強化
・0次流通特化の支援の仕組みを強化
・応援購入市場(マクアケプラットフォーム)のユーザー拡大

です。

また、ビジョンに掲げている「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」もアイデアを考える上で重要な観点かと。

■0次流通特化の支援につながる別プラットフォームとの連携


出資者を支援する仕組みを強化するために、自社ですべてを補うのではなく他社との協業の中でユーザー体験を向上させていく狙いがあります。

たとえば、専門家と専門的な情報にアクセスしたい企業を結ぶビザスクと連携し

開発の知見に関してはビザスクを使って情報を収集し、実際にプロトタイプを出す段階ではMakuakeを利用する、などの連携方法があるかなと思いました。

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また、ともに海外進出を目指す企業でもあるので、海外ユーザーの獲得という面でもお互いにメリットをもてそうだと思いました。

学び

今回はアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」の分析をおこなってきました。

今回の調べて学んだことは

①業界の概念にとらわれず、ユーザーにとって受け入れやすいかつ、正しくサービスを想起してもらうネーミングを考え、広める
②プラットフォームの成長を促す好循環のモデル(構造)を見つけて、それぞれに対してアプローチ
③一度つないだ関係を一度で終わらせず、2回目、3回目の購入につなげる仕組み作り(EC化・ファンをつなぐ仕組み

です。今後も伸びる企業だと思うので、引き続き動向をチェックしたいなと思います。


■参考資料
*日本最大級Makuakeが仕掛ける! クラウドファンディング革命 面白いアイデアに1億円集まる時代 中山 亮太郎 https://www.amazon.co.jp/dp/B0777C3XMR/ref=cm_sw_r_tw_dp_8KEBMY5JHNDN61WKEMBN @amazonJPより

*「Makuake=クラウドファンディング」のイメージを変える--中山社長が語る上場への思い
https://japan.cnet.com/article/35147302/#:~:text=%E5%9B%BD%E5%86%85%E6%9C%80%E5%A4%A7%E7%B4%9A%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89,%E5%88%B0%E9%81%94%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82


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