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小野田の超純氷®にも使われる"超純水"ってどんな水?【水の日】


水は氷屋の命

さて、本日8月1日は「水の日」です。この日は、平成26 年に制定された水循環基本法において、「国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深める日」として、制定されました。

近年の世界的な気候変動などに伴い、水は「青い金」などとも呼ばれるようになり、今や「湯水の如く」と例えられるようなものではなくなり、世界規模での水不足が文字通り、水面下で起きているといえます。

SDGsの観点からも、水を大切に使うという価値観の普及は大事です。
そして、水の一つの形態である「氷」を皆様に届ける役割をもつ製氷メーカーにとって水はまさに命です。

小野田の超純氷®にとって最も肝心な原料水、「超純水」とはいったいどんなものなのでしょうか?

究極の純水、「超純水」とは?

小野田商店が展開する氷ブランド「小野田の超純氷®」、その原料水はもちろん当社基準での「超純水」の水準に達するものです。

では、「超純水」とはなんでしょうか?
簡単にいうと純水よりもなお不純物を除去した水ということになります。

地球上のほぼ全ての水には衛生的、不衛生関係なく
何らかの物質が含まれている。

皆様が普段飲んでいる水、これは多くの場合様々な物質を含んでいます。

例えば、水道水であれば衛生的な品質を保つためには欠かせないカルキ(次亜塩素酸カルシウム)などです。
カルキが含まれていることにより、本来は煮沸しないと危険なこともある生水を、蛇口をひねってすぐにゴクゴク飲むことができます。

ほかにも、天然の水にはミネラルやコロイド(微粒子)が含まれていることがあり、ミネラルウォーターであれば、ミネラルの配合がブランドの「個性」となり欠かせないものであったりもします。

もちろん、非衛生的な環境にある水は「汚水」になっている可能性、つまり有害微生物や化学物質、デトリタス(生物の死骸やし尿が蓄積したもの)など危険なものが含まれている場合があります。

このように、非衛生的であっても衛生的であっても普段身近に存在していたり、利用している水には必ず不純物が含まれています。

では、超純水、純水、それ以外の水にはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか?

水と純水、超純水を分けるもの


超純水、純水、水はそれぞれ用途が違う。

この世界に存在する水のほとんどが「純水」でも「超純水」でもなく、何らかの不純物を含みます。
これは水道水や、飲用に使われる湧水など、一般的に衛生的とされる水も含みます。

特別な処理を行われなければ、純水や超純水は通常存在し得ないので、自然界にある水は全て、ただの水です。

では「純水」とはなんでしょうか?
純水とは、主に不純物のうち「塩類」と「残留塩素」がほとんど除去された水を指します。

「塩類」は炭酸ガスやカルシウムなど、そして「残留塩素」は水道水に添加されたカルキを指します。

これらを除去している時点で、一般的に水の衛生問題になるような不純物はほぼ完全に除去されています。

小野田商店では業界でもいち早くイオン交換樹脂の導入を行いました。

かつては活性炭ろ過装置を通して水道水より純度を高めただけの水も「純水」と呼ばれていましたが、現在は技術進歩により純水のろ過技術が進んだことで、イオン交換樹脂装置を通していることや、蒸留していることが純水の定義となっています。

純水は多くの場合、ソフトドリンクの希釈や、薬(試薬)の調整などに使われます。
ここまでろ過されていれば、ほぼドリンクの味に問題を与えたり、薬の成分を変質させることがないからです。

そして「超純水」。
これは明確な定義や国家・国際規格などの統一的な基準がなく、使用目的に基づくユーザーの要求水準を達成することが必要となり、このため、同じ「超純水」でもグレードはまちまちです。
その水準は、研究や開発のような分野はもちろん、製造分野も含めて年々高度になり続けています。

ですが、一般的には「電気抵抗率」が基準に挙げられることがあります。

具体的にいうと、電気抵抗率が0.1~1.5MΩ/cmの水を純水、18.24MΩに限りなく近いものを超純水と定義されることが多いです。
思わず頭の上にハテナが浮かんでしまいそうですが、ようするに電気をほとんど通さない水かどうか、ということです。

よく「水は電気を通す」というイメージがあり実際ほとんどの場合そうなのですが実は本当に何も含まない水は、ほとんど電気を通さない絶縁体です。

また他にも、超純水の基準として「TDS」というものがあります。
TDS(総溶解固形物)とは「水中にどれくらい物質(電解質)が溶け込んでいるのか」を示す数値です。

これも、不純物(無機イオン)が溶け込んだ水は電気を通しやすく、不純物のない水は電気を通さない、という仕組みを使って数値測定をしています。

小野田商店ではあくまで、一般の飲料水用の水質基準にて原料水や製品の品質を保ち続けていますが、製法としてはこの「超純水」を製造する手法を利用しています。

では超純水とはどのように作るのでしょうか?

小野田商店でイオン交換樹脂に代わり稼働中のRO装置。

まず、原料水を一時ろ過します。

この時点でかなり綺麗な水となっているのですが、超純水へ加工するにはRO(逆浸透膜)装置を使います。

RO装置全体の構造

RO(逆浸透膜)とは超微細な穴の開いた膜を通して水のみを浸透させるもので、これにより海水を飲料水にすることすら可能になります。

RO(逆浸透膜)の構造

RO(逆浸透膜)装置は名前の通り、通常の半透膜と異なり、原料水から不純物の含まれる水を除去するのではなく、原料水から水だけを取り出して行きます。

さらに超純水へと加工する過程が他にもあり、実は上記の処理だけではここまで透明な氷は作れないのですが、ここは企業秘密です…すみません!

このように徹底して不純物を除去した超純氷®︎は、お酒やドリンクなどに入れた時に雑味を産むことのない氷で、味わいを引き立てます。

さらに、このような性質から人が味わうための氷としてだけでなく、化学工場や大型重機などの機械の冷却にも最適であり数々の利用事例があります。

製氷メーカーだからこそ、日々水に感謝!

さて、このような設備を用いて氷を作ることができるのも、ひとえに日本の水がもともとかなり綺麗だからと言えます。
もし、あまりに不純物の多い水を日々処理していては、頻繁に機械が故障して、このような高品質の氷を作り続けることは困難だったでしょう。

我々小野田商店は、製氷を含むあらゆる産業を支える日本の水の美しさに日々深く感謝するとともに、より持続可能な製氷業を意識した取り組みを今後も進めて行きます!

参考、出典
:中本信忠.生で美味しい水道水 ナチュラルフィルターによる緩速ろ過技術.築地書館.2002
Drug Delivery System 36-4.2021 純水・超純水

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