見出し画像

【スクラップ&ビルド】古い営業所を改装して「氷華スタジオ」にした話.前編【#3 小野田商店100+ 】

池袋の片隅で…

創業99年を迎える老舗製氷メーカー、小野田商店。
やはり、長く事業を続けているとブチ当たる問題のひとつが、施設老朽化。

今回は池袋の片隅にあった古くて小さな氷の加工所を、会社としての新しいチャレンジに挑んでいくための拠点「氷華スタジオ」へリフォームしたお話です。

首都高速道路5号が走り、サンシャインシティにも面した賑やかな通りにあるビル、パレドール池袋。
その裏側に、小野田商店の旧東口営業所がありました…。

そびえ立つパレドール池袋

さて突然ですが皆様、氷屋って氷をどこで作っていると思いますか?

そりゃパンはパン屋、ラーメンはラーメン屋で作ってるように氷も氷屋で作っているだろう…と思う方もいるかもしれませんが、氷をバーなどに卸している氷屋の多くは、製氷工場の氷をそれぞれのニーズにあった形に再加工して販売しているケースがほとんどです。

氷くらい狭いスペースでもそれなりに作れそう、と思う方もいるかもしれませんが、実は高品質な氷を量産するには大規模な設備が必要です。

夜の街にとって氷屋は非常に重要な存在。
やはり、いいお酒は白い濁りやクラック(ヒビ)が沢山入った水道水の氷よりも、クリスタルのように透明な純氷で飲んでみたいものです。
氷屋はそんな夜の街の需要に応えるため、様々な形で氷を提供しています。

路地裏に隠れるようにひっそりと存在する小さな営業所はですが、昭和60年頃から、都内有数の繁華街である池袋の夜を確かに支えていました。

そんな旧東口営業所、実はかなり前に施行された場所です。
パレドール池袋の建設以前からあったこの場所は、そのままパレドール池袋建築と同時に入居し、一度も改装など行わないまま、その役目を終えるまで活躍してきました。

長い年月を経て施設の老朽化は進んでおり、一度部屋の内装を全て取払ったところ、その壮絶な古び具合が明らかになりました。

思った以上に年季入ってます…

この場所を会社の新たなチャレンジの拠点として活用しよう!…そんな思いから役目を終えた旧東口営業所の改装が始まりました。

しかし、内装を撤去してあらわになった旧東口営業所の保存状態は、壮絶なものでした…。

一戸建てから冷凍設備まで、自社の様々な施設を建設、修理し続けてきた歴戦の不動産部の匠たちも、危うく戦意喪失しかけたといいます…。

室内に存在する謎の窓。
キッチンスペースと作業場を仕切る壁になんかあった。
壁や天井の剥離も深刻…。
特に大きな破損や汚損等ないが、とにかく暗い感じのトイレ…。
長年頑張ってくれていた冷蔵庫、傷だらけでしたが致命的な損傷は見られず、
まだまだ鞭打って働かせることができそうです!

で、氷華スタジオって何?

さて、この場所を改装して立ち上げた「氷華スタジオ」ですが、前述のとおり会社としての新しいチャレンジに挑んでいくための拠点…といっても具体的にどんな施設なのでしょうか?

まず氷華®とは何か?ということから説明が必要になると思いますが、氷華®の詳細な説明はこちらの記事にてご参照いただき、この場ではざっくり語らせて頂くと、氷に花やモノを閉じ込めたオブジェのことです。

氷華SS(YELLOW)

近年、価値観の変化や、時世の移り変わりに伴うニーズ変化の中で、透明度の高い、ハイクオリティな氷の付加価値をより活かすため、飲食用だけじゃない道があるのではと我々は考えていました。

その中で、見た目の審美性に重きを置いた「氷華®」のような氷のオブジェとしての活用が有効なのでは、ということから、今までよりも「氷華®」の製造に力を入れていくこととなりました。

しかし氷華®の作成は工場の片隅で、メインの製造ラインの傍らで細々と行われている状況でした。

スペースの問題で、保存庫なども飲食用の氷と同じ場所を使わざるを得ない状況で、それでいて実は製造に一週間以上もかかる氷華®の作成を今よりもハイペースで行うのは正直不可能な状況でした。

造花など気泡やゴミが入らないようにしながら、ゆっくり氷に閉じ込めていく。
手間をかけて凍らせることで、透明度が高くなるだけでなく、
瓶などが凍結圧で割れることを防げる。

そのため飲食用の氷とは別の、氷華®だけを製造する場所の必要性が求められ、役割を終えた旧東口営業所が地理的な都合などから、その場所に最適と判断されました。そしてこの場所を氷華®専用の製造拠点「氷華スタジオ」とすることになりました。

…ちなみに「氷華スタジオ」という名前を提案したのは実は筆者です。

たしかあれは社長と昼食中に出た話の中で、氷華®の新しい製造拠点の名前はどんな感じが良いだろうかという話題が出たときに、考えて3秒くらいで咄嗟に発言したのが初出だったと思います。

…ええと、そうですね…氷華スタジオという名前には、氷華®(花氷、氷中花)という昔からあるけど、まだ十分に知られていない美と文化をプロデュースする拠点にしたい…というような意味が込められています。
決してフィーリングではない…ということでお願いします。

もう全部替えるしかない!

さて、旧東口営業所は前述のような有様だったので、あとはもう兎に角スクラップ&ビルド、破壊と再生あるのみです。

まず歪んで劣化しきった床板を、基礎を残して全て剥し、天井のパネルも取り払ってスケルトンにしました。
壁はメインの塗替えより先に、現状塗装してある範囲内で下地グレーを先に塗り、すすけや汚れに対処することになりました。

コンクリートの基礎とインフラ設備を残し、あらゆるものを撤去しましたが、前述の冷蔵庫は古びていながらもまだまだ使えそうなので、そのまま残すことになりました。
また、氷を切るノコギリも一旦取り外しましたが、まだ全然使える状況でしたので、再整備して引き続き使うことになりました。

インフラ設備に関しても、残した部分は残したといえ、かなり大規模な手が加えられ、配線はほどんど変わりました。

コア抜きと呼ばれる外壁ブチ抜き行為には、事前のレントゲン調査が必須。

冷蔵設備のため、管理人様の許可を得て、一部外壁に穴をあけるかなり大掛かりなインフラ工事(コア抜き)もしました。

これにより氷の管理に欠かせない空調設備を、従来のものより大幅に改善したものを導入することができてました!

結構な厚さの壁をブチ抜いて配管を通しました。

さて、ここまでは旧東口営業所を氷華スタジオにするまでの経緯と、その下準備までをお伝えしました。

…さて、この施設はどんな姿に変化したのでしょうか?
それは次回の記事にて、Before/Afterの姿をお伝えします!

普通のオフィスや作業場とは、ちょっと違った雰囲気の内装となっていますので、是非ご覧ください!

生まれ変わった、氷華スタジオとしての様子は次回記事で!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?