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教育 総合展(EDIX)東京行ってきました

教育総合展(EDIX)東京2022に行ってきました。ここ数年は予定が合わず行けなかったので5年ぶりの参加です。私が見てきた教育業界の様子をレポートします。

電子黒板で在宅授業ができるのに

5年前にも展示されていた電子黒板。こうした展示会では当たり前のように見かけるのですが、実践としてはあまり話を聞かない印象です。現役の先生たちから「使ってるよー」とも聞かないし、視察に行っても先生の資料を映してるくらい。まだあまり普及していないのかな?それとも使いこなしてないのかな?と思ってました。

そこでメーカーの方に教えていただくと、電子黒板にはandroidが入っているとのこと。OS内臓のモニターなんですね。勉強になりました。
ということは、電子黒板でzoomへ接続して、自宅待機になった子が家から授業に参加するとも可能とのこと。

…あれ?私の周りで聞いたのは真逆の声ばかりです。
「自宅待機になったから授業に参加できない」「配られたタブレットを持って帰ることはできない」「久しぶりに登校しても特にフォローされない」「塾から課題をもらうからそれで授業に追いつく(学校しか行ってない子はどうするの?)」「学校に行けない間も勉強したい」などなど。
こんなふうに、コロナ対応で登校できない場合は「何もできない」という話を多く聞きました。

おに「じゃあ家にいながら学校の授業に参加できるだけのシステムは既にあるんですね」担当の方「そうなんです!」おに「なのに現状は、自宅待機になると授業に参加できなくなっちゃうんですね…」担当の方「そうなんです…」

実際の学校現場がどう動いているのか分からないので、これだけでは何とも言えませんが。少なくともシステム的には課題はクリアしているようでした。この問題の課題点はヒューマンシステムの方にあるのかもしれません。

学びを管理して、その先はどうする?

今回参加して5年前より目についたのは、学習管理ツールです。ラーニングマネジメントシステムとでもいいましょうか。その子がどこまで理解しているか、次は何を勉強したらいいか可視化しますよ、というものです。

私がざっと見ただけでも以下のようなものがありました。恐らくもっと多岐にわたりサービス展開されているのでしょう。

  • 大学が学生に向けて必要な履修内容を告知する。学生は4年間で何をどう学ぶか履修計画を立てやすくなる。

  • 忘れそうで忘れないタイミングに繰り返し問題を解かせ、記憶定着をはかるドリルアプリ。

  • 録画授業と関連するテストを出してくれる。自分の理解度や課題点を洗い出す。

これらの話を聞いて私が感じたのは「あらかじめ学習の輪郭線があって、そこに辿り着くためのものなんだな」ということです。

イメージは塗り絵です。太い線画があって、その線ぎりぎりまで塗り込みたいとする。それに対してどこが塗り足りないのか、どこまで塗れてるのか確認する感じです。

もし全然違う絵を描きたい子とか、線画の外に背景を書きたい子がいたらどうするのかな?「アプリに出てこないから、それは必要ない」ってなるのかな。それとも「アプリはあくまで線画だから、このスキルを使って自分で絵を描くぞ!」ってなるのかな?と。


GIGAスクール構想について調べたとき「今後は知識伝達をシステムがサポートしてくれるので、探求やディスカッションに割ける時間が増える」というデータがありました。これらのアプリは知識伝達・習得のサポートをしてくれるのでしょうが、その先の学びに繋がるかどうかは不透明だと感じました。あくまでも知識レベルまでのサポートツールです。

「このアプリで知識は先に入れといて授業時間はディスカッションする、反転学習に活かすような事例はありますか?」と聞いたところ「ありますが、それは主体的に学ぶ子さんが集まっているケースに限られるのでまだ多くありません」とのことでした。うーん…。個人的には”主体的に学ぶお子さん”が特殊なのではなく、”主体的に学べる機会”が乏しいのではないかな?と思うのですが。

知識習得を可視化して、それでどうする?という改題を感じるトレンドでした。

教育 総合展(EDIX)東京の展示例

応援したいサービス リタリコ教育ソフト

これは応援したい!というサービスにも出会ったのでご紹介します。リタリコ教育ソフト。特別支援教育にあたる先生向けのソフトです。

わたしも療育の現場に関わったことがありますが、お子さんの特性は本当にさまざまです。(というか、個人的にはすべての子どもに療育の目線が必要だと思っています。療育から一般化した育児ツールも増えてきたし。この話はまた今度)このソフトはその子の特性を見える化し、どんな学びのプランを立てたらいいか提案してくれるそうです。先ほどの学習管理ツール特別支援Ver.ですね。

先ほどのソフトに比べてこちらがいいなと思うのは、療育はその子や家族の困りごとをサポートできるからです。『こういう手助けがあったらスムーズに動けるよ』というお手伝いができます。このソフトは、その子が何に困っていてどうしたいのかを本人や周りの人と共有し、その子に必要なサポートに繋がると感じました。ぜひぜひ全国の学校に広がって欲しい!!すべてのお子さんに快適な環境を~!さすがリタリコ。応援しています!

★リタリコ教育ソフト公式サイトはこちら★


まとめ:これからの教育現場はどうなる?

総括しますと、5年前に比べて教育の目線が学校から広がったように感じました。『学校の課題を解決する』というより『学びの課題を解決する(学校でも使えるよ)』という感じです。

自宅に居ながら授業が受けられるシステム、知識習得をサポートしてくれるソフト、次は何を勉強したらいいか教えてくれるアプリ。

…とすると、生身の自分が、学校という場所に行って、人間と一緒に勉強する意味を考える必要があります。

先日読んだ汐見稔幸先生の『教えから学びへ』という本でも、『学校は、そこに行かなければ最新の知識が得られない場所だった』『いまは学校以外でも最新の知識を得ることはできる』と書かれていました。今回の展示会を見て、このことを改めて考えました。

先を生きる大人が『これが生きるために必要な学びの輪郭線ですよ』と提示することは、どんな意味を持つのでしょうか。先生も含めた仲間と一緒に学ぶことの価値を、何か見落としていないでしょうか。幸せに生きるための学びとは何でしょうか。

そんなことを考えた展示会でした。幸せに生きるための学びについて、これからも考えていきましょう。

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