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思わずに

【激辛ラーメン】
それは辛いというラーメンを超越したラーメンである。辛いの上の刺激。“痛い”になるのだろうか。そんなラーメンを頼んで食べる。物好きもいたものだ。
食券を買い、カウンターでラーメンを待つ。やってくるラーメンはとにかく赤い。全部が赤い。器が黒いから余計赤い。赤く見せるために器が黒いのかもしれない。事前に3Dメガネ(レンズが赤と青のやつ)をかけていれば赤くは見えないだろう。だが、それはリアルではない。肉眼でこの赤を見なければ現実から目を背ける。つまり“現実逃避”と同じだ。しかとラーメンを見て、口に運ぶ。


むせる。


まぁむせるだろう。相手は“激辛”だ。むせて当然だ。だが、ここで疑問が出る。
食券で買う段階で“激辛”を頼むのだが、“激辛ではない”と思い込むのはどうだろう。
人間の思い込みの力はすさまじい。自己暗示ってやつだ。この赤いラーメンはクリーミーな味のラーメンだ。そう思おう。そうと決まったらラーメンが運ばれる前に洗面所にいこう。鏡で自分を見て「今からお前はクリーミーなラーメンを食べる」と言い続けよう。なんだか気分が良くなってきた。カウンターに戻り、ラーメンが到着。赤いがこれはクリーミーだ。すぐさまラーメンをすする。






むせる。


むせるんかぁーーーい!!!

「無理。だって辛いもん」

辛いよねー。激辛だもんねー。いっぱいお水飲んでねー。

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