23:虫の知らせか?

※登場人物は全て仮名です。また一部詳細を変えています。

最初の月命日を終え、エミちゃんが亡くなってから1ヶ月を過ぎた事をきっかけに、オレはそれまでこの事について全く触れなかったSNS上で、公開範囲を絞った上で少しずつエミちゃんが亡くなった事について触れ始めた。

そのポストを読んだだろう人達から、連絡が相次いだ。

エミちゃんが亡くなった当日、もしくは翌日くらいまでに"情報の第一波"で知った人達、それに漏れた人達に伝える"情報の第二波"に、オレのポストが成った様だった。

エミちゃん…亡くなったの…?どうして…。

みんながそういう反応だった。
もちろん、自死であった事についてはSNS上では公表していない。

ただし、望んだ人には死因が自死である事を伝えた。

すると、驚く事に死因を聞いた人のほとんどが、その答えを予測していたのだ。

これをきっかけに、随分と久し振りに連絡をくれたユウコちゃんはこう言った。

亡くなったってポストを見た時に、すぐに自死じゃないかって思ったの。出来れば当たって欲しくなかった…と。

二度目の月命日の時は左記に書いた通り、集まったりはしなかった。

オレは一人で、ヨーコちゃんがスタッフをしているBarに行った。
前にエミちゃんと一緒に来て、エミちゃんが「誘われ過ぎてヤバい…。」という発言を残したBarだ。

その日はヨーコちゃんもシフトに入っておらず、カウンターにはマスターのカワノさんが入っていた。
カワノさんはエミちゃんと何度も会っている筈だし、なんなら初めてエミちゃんと一緒にこのBarに来た時にもエミちゃんとカワノさんは挨拶をしていたが、どうやらエミちゃんの事は覚えていない様だった。

オレはエミちゃんが好きで良く飲んでいたお酒を頼み、その写真を添えて「今日は亡き親友の2回目の月命日。 彼女がむかし良く朝まで飲み明かしたお店で、彼女が好きだったお酒を」とTwitterにポストした。

見ての通り、個人を特定する情報は書いてない。

しかし程なくして、TwitterにDMが届いた。

「あのツイート…私が知ってる人じゃないですよね…?」と書かれていた。

その人は、ミサさんという人だった。
エミちゃんと毎月一緒に行っていたタレントさん主催のイベントで知り合った人だ。知り合ってまだ1年にも満たず、会った回数もまだ2度3度と言った程度の人。

イベント終わりに何人かで集まって二次会をしよう、となってた時に、一人でいたミサさんにエミちゃんが声を掛けて一緒に連れて行ったのが縁だった。

亡くなったのがエミちゃんである事を伝えると、ミサさんは電車の中で泣いてしまったそうである。

その後、ミサさんはエミちゃんの事を人として大好きだった事、憧れに近い感情があった事、毎月来ていたエミちゃんが突然来なくなって残念に思っていた事など、切々と綴ったDMを送ってきた。

本当に好きだったんだろうな、と感じるほど気持ちがこもっていた。

エミちゃんには、ミサさんの気持ちが伝わっただろうか。

たったアレだけのツイートに胸騒ぎを覚えて連絡してきたミサさんの気持ちが。

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