見出し画像

応援ソングを聴きながら、現実を思い出してしまう

わたしは豆腐メンタル人間です。
大勢の人にとってはどうでもいいことで考えすぎて傷つきますし、しょーもないことで気にしすぎて挫けます。毎日何かにダメージを受けているのです。
脆弱なわたしは、落ちこんだときに音楽に助けを求めます。全体重をかけて音楽に依存します。そういうときのためのプレイリストすら作っている始末です。

ですが、
世間一般的に「応援ソング」と分類されるものだとしても、聴いていて「スンッ」と現実に帰ってきてしまう歌詞もあるのです。
今回は、実際にわたしが落ちこんだときに聴いている曲を例に挙げながら、わたし的な現実ポイントをつらつら書いていきたいと思います。


笑えれば - ウルフルズ(2002)

とにかく笑えれば
最後に笑えれば
情けない帰り道
ハハハと笑えれば

みなさんご存じ、ウルフルズの応援ソングです。ウルフルズといえば『ガッツだぜ!!』とか『ええねん』とか『バカサバイバー』とか、とにかく明るいパワーで背中を押しますよ!みたいな曲が多いと思うのですが、この『笑えれば』はテイストが違うように思えます。以前わたしのnoteで挙げたEaglesの『Take It Easy』と同じように、そっと背中に手を添えてくれるタイプの応援ソングではないでしょうか。
その日の仕事がうまくできず、へとへとでボロボロの帰宅中に聴くと思わず涙してしまうこともあります。とても助けられている曲です。

この曲の現実ポイントはこちら

おまえを好きになって
何もかもが変わったよ
他愛のない笑顔で
オレを勇気づける

おまえを好きになって? 何もかもが変わったよ?
「おまえ」って誰???

わたしは平気で持たざる者なので、笑顔を向けてくれるような人も、わたしの何もかもを変えてくれるような人も身近にはいません。
1番のサビを涙ぐみながら聴き入ったところで、2番のAメロでこの歌詞を聴き、「あっ、わたしにはそういう人いないや。やはは」みたいな乾いた笑いが出ます。
この曲に助けられていることは事実なので、そこだけに目を瞑れば、まあまあ耐えられます


俺たちの明日 - エレファントカシマシ(2007)

さあ がんばろうぜ!
負けるなよ そうさ オマエの
輝きはいつだって オレの宝物

こちらも応援ソングとしては定番中の定番ですね。
コマーシャルやいろんなところで聴くことが多い、エレカシの代表的な曲のひとつですね。もちろんわたしも大好きです。
先に挙げた『笑えば』とは対照的に、こちらは「これから仕事するぞ!」というときに聴くことが多いです。
がんばろうぜ! 仕事したくないくらい体調悪いけど今日を乗り越えれば休みだ! でっかくやっていくぜ! 
みたいなモチベーションをつくるときによく聴いています。

この曲の現実ポイントはこちらです。

10代 憎しみと愛入り混じった目で世間を罵り
20代 悲しみを知って目を背けたくって 町を彷徨い歩き
30代 愛する人のためのこの命だってことに
あぁ 気づいたな

持たざる者ゆえの深読みというか、実際コンプレックスに感じている部分なのでしょう。
30代で、自分の命は愛する人のためのものだと言い切れるって、なに?
わたしもぼちぼち30代が現実味を帯びる年齢ではありますが、自分の命は自分のためです。誰かにすべてを捧げるような覚悟はできていませんし、捧げる相手もいません。
心は20代のまま、悲しみを知って目を背けたままふらふら彷徨っているのだと思います。この悲しみが報われるといいのですが。
そういえば、エレカシは『悲しみの果てに』も有名でしたね。個人的には『悲しみの果て』のほうが高頻度で聴きます。歌詞がすっきりしているので好きです。


yours - chilldspot(2022)

気持ちと身体の反比例で
結構ガタを感じていて
曇りの中生活してるみたい

全部バランスが大事って
分かるわけないだろ
そんな事分かったら、わざわざ他人を傷つけはしない

上の2曲とはうってかわって、女性ボーカルのバンドです。
ウルフルズやエレカシのような、いわゆるソウルのこもった曲調とは違いますが、chilldspotの曲もわたしにとっては応援ソングになっています。
この曲はなんといっても、くたびれた心にちょうどいい塩梅の肯定ソングなんですよね。
ガツガツ肯定してくれるわけでもなく、かといってドライなわけでもなく。最近の若い人の言葉で表現するなら「チルい応援ソング」でしょうか(使い方あってます?)。

とても落ちこんでいるときにそばにいてくれて、めちゃくちゃ沼らせる恋人みたいな曲です。褒めてます。

さて、この曲の現実ポイントはこちらです

雰囲気

それを言っちゃあ、おしまいよ。
このバンドはメンバーも若く、作る曲も歌詞も当然若者にぐっとくるものになっているような気がします。
たとえば、もうすぐ大学に進学するとか、苦しい就活を終えて社会に出ていくとか、「未来は明るい」と疑っていなくて、なおかつ可能性に満ちた若者に向けた応援ソングだと思うのです。

一方、この曲を聴いているわたしは社会人になって数年で、自分の能力や可能性に「こんなものだったか」と諦めがついていますし、収入や健康、体裁、資格、仕事、介護、老後……と未来に対しての不安がとても具体的になってきています。当然、無条件で明るい未来など想像できません。
わたしの例はさておき、社会人になって現実を知ったオトナたちには、応援の形が曖昧で、応援ソングとして聴くには効果いまひとつに聞こえます。
この曲で応援されるには年をとりすぎましたね。

あくまでわたし個人の考えなので、いい曲であることには変わりありません。何回も聴いています。


「自分のために歌われた唄などない」というまとめ

BUMP OF CHIKENの『才悩人応援歌』という曲をご存じでしょうか。
正直なところ、バンプはファンが熱狂的なイメージがあって、軽々しく「好き」と言いにくいのですが、わたしはこの曲にも助けられているので、「好き」と言わせてください。そして、この曲で今回の記事をまとめさせてください。

世界のための自分じゃない
誰かのための自分じゃない
得意な事があった事
大切な夢があった事
僕らは皆解ってた
自分のために歌われた唄など無い
問題無いでしょう

こうして初期(?)のバンプの歌詞を見ていると、なんとまあ生きづらそうなことか。多感な年代の人にも刺さるし、年齢を重ねた大人(アラサーくらい?)も共感できる歌詞が多いような気がします。触るのもはばかられそうなくらい繊細です。

誰かのために歌われた唄などないのです。
音楽をただ聴いているだけのわたしは、歌詞に共感することはあっても、ドンピシャで自分のことを歌っていると思ってはいけないのです。
歌詞に込められた想いは感じられたとしても、ほんとうの意味は書いた人にしかわからないのですから。

音楽や曲とは同一の世界観になれないことが我慢できないという人だけが、自分のために自分の歌をつくり、アーティストになっていくのでしょう。

そういう人たちが、ほんとうにうらやましいです。

今回はここまで。
おつかれさまでした。

この記事が参加している募集

今こんな気分