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保険金詐欺

部屋に自殺したわたしがいるんです

頭から血を流し うつぶせに倒れている



部屋に自殺したわたしがいるんです

真っ青な 小さな救いを星の数ほど飲み下し

まだ臓物は暖かくて 白目をむいている



部屋に自殺したわたしがいるんです

言語でない集積の塔を築き上げ

フィーリングで 死後に経典となりうる駄文を書き

熟れすぎた果物と なんか似た感じになっている



部屋に自殺したわたしがいるんです

バスタブをのこぎり? ハンマー? かなにかで壊し

ここに運び そこにブルーハワイを張って

水着と水中メガネを身に着けて 笑顔で沈み

髪の毛や顔の産毛に 細かな気泡がついている



部屋に自殺したわたしがいるんです

色や文字の貼りついた 電気を眺めすぎて

外にもでないで わたしをわたしだと勘違いして

精神に安易なラベリングをほどこし

体中に冷えた鋭い鉄を差し込んで

目をえぐり出し 左右の手に握り込んでいる



部屋に自殺したわたしがいるんです

天国にくくった 二重の蛇を結んで

わたしのすきなミスドのドーナツに そっくりなわっかをつくり

台と 死に装束をいっちょまえに選び抜き

しっかりと 十三の数字を守って地面と喧嘩をして

あまたのわたしを眺めながら

しねなかったわたしを とむらっている



部屋に自殺したわたしがいるんです

わたし だけがいるんです



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