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推しのアイスショーを映画館で観た話

タイトルでもうなんとなく分かる方もいるかもしれない。

そう、我が推し、羽生結弦のアイスショーのライブビューイングを観るために、映画館に行ってきたのだ。

(私は彼のことを昔から「羽生くん」と呼んでいるので、ここからはそのように表記させていただく。)

1.羽生くんとの出会い

肝心のライブビューイングの話をする前に、隙自語で申し訳ないが、私が羽生くんのことを知ったきっかけなどについて書きたいと思う。
(かなり長くなるので、読みたい方だけ読んでください。)


私が羽生くんの存在を初めて知ったのは、2011年。おそらく11月頃だったと思う。
私は羽生くんと同い年なので、当時は高校2年生だった。

もともとフィギュアスケートの試合をテレビで観るのが好きだった私は、そのときもテレビで試合を観戦していた。
(具体的な試合名は忘れてしまったが。)

そのとき、テレビに「彼」の姿が映った。

自他共に認める面食いの私は、一瞬にして釘付けになった。

「このかっこいい人、誰!?」
それが初めて羽生くんを見たときに思ったことだった。

そして次に思ったことは、「はにゅう……なんて読むんだ???」
そう、今では当たり前に読める「結弦」(ゆづる)が読めなかったのだ。

こんな感じで、私は羽生くんの存在を知った。

それからなんとなく彼のことが気になり始め、彼が試合に出るときはテレビで観て応援するようになった。

2.沼に落ちたあの演技

そんな私が本格的に羽生くんを応援したいと思うようになったきっかけは、2012年3月の世界選手権のフリーの演技だった。
(私はファンの方が使う用語があまり分からないのだが、いわゆる「ニース落ち」というやつだと思う。)

羽生くんは『ロミオ+ジュリエット』の音楽に乗せて滑り、ジャンプを次々と成功させていった。

しかし、途中で何かにつまずいたのか、倒れてしまった。
場内はどよめき、テレビで観ていた私も心配になった。

しかしすぐに立ち上がり、その後のジャンプを成功させ、観ている人を釘付けにするほどの迫真の演技を披露した。
まるであの転倒も演技の一部なんじゃないかと錯覚するほどだった。

演技が終わると、観客は総立ちになり、めいっぱいの拍手を送っていた。
中には涙ぐんでいる人もいた。
私もテレビ越しだったが、本当に感動した。

あのときの演技は、今でも忘れることができない。

羽生くんが自分と同い年であること、東日本大震災で被災したことなど、彼に関する情報を知っていく中で、少しずつ興味を持ち始めていたが、これをきっかけに一気にハマった。
まさしく沼に落ちた。

そこからはもうあっという間だった。

あまり詳しいことは覚えていないが、高3のとき学校の英語の宿題で、羽生くんのすごさや魅力をひたすら英語で書いた記憶がある。

フィギュアスケートならではの用語を英語でどのように言うのか分からず、当時まだガラケーだったため、自宅のPCでWikipediaを見ながら必死に文章を書き上げたことをなんとなく覚えている。

大学生になってソチオリンピックが開催されたときは、深夜まで起きて羽生くんの演技を見守っていた。

平昌オリンピックのときは社会人1年目で、謎の高熱に苦しみながらテレビで羽生くんの演技を見守っていた。

北京オリンピックのときは、4回転半ジャンプに挑む羽生くんの姿に心を揺さぶられた。

度重なるケガに見舞われながら、それでも挑戦しようとする羽生くんのことが心配になることもあった。

でもそれ以上に、羽生くんは元気と感動を与えてくれた。

気がつけば、羽生くんは日本だけでなく世界中にファンがいる、名実ともにトップの選手になっていた。

ただ、私は今まで羽生くんを直接見たことがない。
テレビやSNSを通じて見たことは数えきれないほどあるのに、直接この目で彼の演技を見るという夢は、未だに叶えられていない。

そりゃそうだ、これだけファンがいるんだから簡単には会えないよな。

でもいつか直接彼を見ることができたら、これ以上の幸せはないだろう。

もしかしたら夢のままで終わってしまうかもしれないけど、いつかこの夢を叶えたい。

そう思っていた。

3.「決意表明」の日

その日は突然やって来た。

2022年7月19日に開かれた決意表明会見。

前日に会見の予告が出ると、SNSがざわついた。もちろん私もざわついた。

心がかき乱されるような報道もあり少しイラついたが、本人の言葉に耳を傾けようと思った。

会見が終わってみると、私の心はすごく穏やかだった。
なぜなら、羽生くんの表情がとても晴れやかで、前向きに感じられたからだ。

これは決してネガティブなことではないんだ。羽生くんはただ前を向いて進んでいるんだ。
だったら私も羽生くんについていくだけだ。

これから彼がどこへ向かっていくのか分からないけど、彼がどんな決断をしたとしても、それを尊重し、応援するのが私の役目だと思った。

しかし、まさかこの後に怒涛の展開が待ち受けているなんて、そのときは思いもよらなかった。

4.供給過多だよ羽生くん!!!

まず、最初の衝撃はYouTubeチャンネルの開設だった。

その日、私は推しの声優さんの朗読劇を観に行っていた。

初めて生で推しを見られた私はテンションが上がっていた。

だが、それを上回るほどの衝撃を受けることになる。

Twitterを開くと、私が敬愛してやまないVanessaさんが荒ぶっていた。
(Vanessaさんは羽生くんファンで、語彙力が豊富なオタクとして有名な方である。)

最初は何かあったんだろうかと不思議に思っていたが、そのうち少しずつ状況を理解し始めた。

羽生くんがYouTubeチャンネルを開設した……?本当に……?えっ、羽生くんYouTuberになるの……?「歌ってみた」ならぬ「滑ってみた」とかやるの……?

でもとにかくすごい!!!これからYouTubeに動画を上げてくれるってことか!!!最高じゃないか!!!ありがとう!!!

そんな感じで私は大喜びだった。

(その後、羽生くんはYouTubeのメンバーシップを始めたのだが、私が登録方法をTwitterに載せたら、私のツイートを見て無事に登録できたという方が、わざわざお礼を言ってくださった。
少しでも誰かの役に立てたということが嬉しかったし、きっかけをくれた羽生くんには感謝したい。)

驚きはまだ続いた。

その日、私は有休を取っており、昼までグースカ寝ていた。
起きてTwitterを開いてみると、またもやVanessaさんが荒ぶっていた。

「今度は何事だ……?」

そして少しずつ状況を理解し始めた。

羽生くんがTwitterとInstagramを開設したのだ。

えっ……?YouTubeのときも驚いたけど、今度はTwitterとInstagramだと……?
羽生くんがツイッタラーとインスタグラマーになるってこと……?マジ……?

さらにその後、アイスショーの開催が発表された。

羽生くん一人だけのアイスショーだと……?

待て待て、推しからの供給があまりにもすごすぎて頭が追いつかないんだが……?

羽生くんは会見で、「今いろいろ頭の中で考えてることがある」みたいなことを言ってたけど、きっとこの一連の流れがそうだったんだろう。

いや、それにしてもここまでは予想してなかったよ。羽生くん、あんたすごすぎるよ。

そして私は思った。

「これチケット取れるのか……?」

5.羽生くんの人気をなめちゃいけない

結論から言うと、横浜の現地のチケットは取れませんでした!!!

いや、もうこれは最初っから分かってましたよ。
だって、世界中にファンがいるあの羽生くんだよ?八戸公演の日程が発表された直後から、会場周辺のホテルが軒並み満室になるレベルだよ?無理に決まってるじゃん(泣)。

先行も一般もことごとく落選。私と同じような方がたくさんいて、「#横浜全滅」なんてハッシュタグができるほど。

その後も、チケットトレードに一縷の望みをかけたものの、結局当たらず。

しかし、その後ライブビューイングのお知らせが!!!

全国の映画館で羽生くんのショーを同時生中継するという一大イベント。このチャンスを逃すわけにはいかん!!!

第3希望まで選択し、結果発表の日を待つことに。

そして結果発表の日。

おそるおそるメールを開くと、「当選」の文字が!!!
しかも第1希望の映画館!!!

よし、やった!!!直接じゃないけど映画館で羽生くんの演技が観られるぞ!!!ありがとう神様!!!ありがとう当選確率アップ券!!!

しかし、驚いたのはここからだった。

Twitterを見てみると、なんとライブビューイングすらも落選した人が何人もいたのだ。

中には当選確率アップ券を使ったのに落選したという人も。

正直私は、「全国で観られるんだしさすがに大丈夫なんじゃないか?」と思っていたが、大間違いだった。羽生くんのことを完全になめていた。本当に申し訳ない。

さらに、今回のアイスショー開催に伴ってグッズが販売されることになった。

私は販売開始と同時にサイトにアクセスし、とりあえずほしいものは全部買うことができたのだが、これまた完売続出で、買えなかった方々の嘆きがTwitterに溢れていた。

しかし、すぐに運営側が対応し、販売を再開したのは本当に素晴らしかった。どこまでもファンの気持ちを考えてくれて、嬉しい限りだ。

ちなみに、羽生くんへの質問を募集していたので、どうせ選ばれないだろうと思いながら一つだけ送った。
(あまりにしょうもない内容なのでここには書かないが。)

ライブビューイングのチケットが当たっただけでもありがたいことだし、観に行けない方々のためにも、羽生くんの姿をしっかり目に焼きつけるぞ。

そう思いながら、その日を待った。

6.ライブビューイング当日

はい、ここからやっとライブビューイングの話になります。
前置きが長くなってしまい本当に申し訳ないです。

※ネタバレだらけなので、見たくない方はスルーしてください。
また、レポというよりは、単なる感想に近いです。
ちゃんとしたレポを書いている方もきっとたくさんいらっしゃると思うので、そちらをご覧いただければ幸いです。


私は新宿バルト9でライブビューイングを観たのだが、事前に調べたところ、私の席はシアターの中で最もスクリーンが見やすい場所とのことだった。

実際に座ってみたら、とても見やすくて快適だった。

一番前の端っことか、一番後ろの端っことか、そういう方もたくさんいる中で、こんないい場所で羽生くんの演技を観られるのは本当にありがたかった。

そしていよいよ、ライブビューイングが始まった。

時系列がぐちゃぐちゃになってしまうかもしれないが、とにかく印象に残ったことを書いていく。

まずモニターに決意表明会見の映像が映し出され、その次にウォーミングアップを行う羽生くんの映像が次々と流れた。

その後、いよいよ羽生くんがリンクに登場した。

すると、いきなり6分間練習が始まった。

何度も言っているが、これはアイスショーだ。

そこに6分間練習を入れてくるという発想がすごい。

羽生くんは競技会のときと同じぐらい集中しているように見えた。

リンクサイドにはちゃんとプーさんもいた。

そして練習が終わると、「1番、羽生結弦さん」のアナウンスが流れ、羽生くんが勢いよくリンクへ飛び出していく。

衣装ですぐに分かったが、最初に滑ったのは『SEIMEI』。

ファンの間でも人気が高い、羽生くんを象徴するプログラムだ。

演技が終わると、現地の会場はスタンディングオベーション。

映画館も拍手や手拍子ならOKだったので、私も心からの拍手を送った。

その後、羽生くんがいったんリンクを去ると、羽生くんの生い立ち的なVTRが流れたと思う。

ちっちゃい頃の羽生くん、本当にかわいかった。

公園によくある、バネで揺れる動物の乗り物あるじゃん?
ああいうのが屋内にあって、それに乗って前後にめちゃくちゃ揺れてる映像があったんだけど、笑っちゃうぐらい激しいのよ。
「おうおう大丈夫か羽生くん、ちょっと激しすぎやしないかい」って思っちゃった。

しかもそのとき羽生くんが背負ってたリュックにプーさんがついてて、あ〜羽生くんはこんな前からプーさんが好きだったんだってことも分かった。

9歳のときに初めてダブルアクセルを成功させたらしく、そのときの貴重な映像もあった。

この人と私が同い年なんて未だに信じられない。

私なんて9歳のときはふざけてばっかりだったよ。

映像が終わると、三味線の音が鳴り響いた。

中村滉己さんという津軽三味線演奏家の方だそうだ。
ものすごい指さばきで三味線を弾いていて、めちゃくちゃかっこよかった。

そして羽生くんが登場。

三味線といえばこれしかない。
ジュニア時代にエキシビションで披露していた『Change』だ。

実を言うと、私は羽生くんのプログラムの中で『Change』がトップクラスに好きなのだ。

羽生くんを推し始めた高校生の頃、『Change』に合わせて滑る羽生くんの動画を何回も見ていた。
(あと『Somebody to Love』も同じくらい見てたし、それもめちゃくちゃ好きです。)

大人になった羽生くんが滑る『Change』も最高だったし、衣装も綺麗だった。

滑り終わった羽生くんはさすがに息切れしていたが、マイクを取ると息切れしたまま話し始めた。

息切れした状態で話すのってキツいんだよね。酸欠になるかと思うぐらいしんどいんだよね。頑張って話してくれてありがとう。

その後は確か質問コーナーだったかな。

質問は約27,000通も寄せられたとのこと。おそるべし羽生結弦パワー。

「昔の衣装を着るときは手直ししているのか?」という質問には、なんと「手直ししていない」とのこと。

「体重は確実に当時より増えているのに、なんか入っちゃうんですよね〜」と笑いながら話す羽生くん。いや〜実に羨ましい。

羽生くんが実際に着た衣装を見たことがあるんだけど、ウエストがめちゃくちゃ細いの。キュッ!ってなってるの。
これ入っちゃうのすごすぎると思ったけど、昔の衣装を着られちゃうのもすごいよな。

その後もいくつか質問に答え、次はリクエストコーナーへ。

会場のお客さんにはバングルが配られていて、スイッチを入れるとさまざまな色に点灯する仕組みになっている。

それを使ってお客さんにアンケートを取り、一番票が多いプログラムを滑るというものだ。

アンケートの結果、なんと羽生くんは2つのプログラムをちょっとずつ滑るというサービスをしてくれた。

滑ったのは『Let's Go Crazy』と『花になれ』。

音楽もその場で急きょ調整することになったため、羽生くんは「無茶ぶり言っちゃったな〜」みたいな感じで笑ってたけど、なるべくお客さんの気持ちに応えたいという羽生くんの優しさを感じた。

曲に合わせてバングルの色が変わって、まるでライブ会場のように綺麗だった。
ライブビューイングだと会場全体の様子も見ることができるので、そこはよかったと思う。

その次は確か、羽生くんがファンの方から募集した、滑ってほしいプログラムの中から、『Hello, I Love You』をちょっとだけ披露してくれた。

「本当は僕がTシャツにハートマークを書いてポイッてする(観客席に投げる)んですけど、ちょっとご時世的にアレなので、僕なりにアレンジしますね」って前置きしてた(笑)。

その後、羽生くんがリンクを去ると、また映像が流れた。

確か東日本大震災の映像だったかな。なかなかショッキングだった。

仙台にある羽生くんのホームリンクも、震災の影響で使えなくなってしまった。

大変な思いをしている人がたくさんいるのに、自分はフィギュアスケートを続けていいのかと悩んだという話はよく知られている。

そんなとき、神戸で行われたチャリティーアイスショーをきっかけに、フィギュアスケートを続けることを決心したという。

私が羽生くんを知ったのは震災の後だったが、当時16歳の少年が、ものすごい苦しみや葛藤を抱えていたんだと思うと、胸が締めつけられた。

そこから『ロミオ+ジュリエット』に合わせて滑る当時の羽生くんの映像が流れた。
私が羽生くんを本格的に推すきっかけになったプログラムだ。

途中まで映像が流れると、羽生くんがリンクに出てきて、映像の続きを滑り始めた。

私の大好きなプログラムを、大好きな衣装を着た、27歳の羽生くんが滑る。こんな嬉しいことはない。
とても貴重なものを見せてもらったと思う。

その後また映像が流れた。

確かソチオリンピックとか、平昌オリンピックあたりを中心にまとめたものだったと思う。

その後、YouTubeにも上がっている『夢見る憧憬』の映像が流れたかな。
羽生くんが白い布をまとって滑るところもあるんだけど、次に出てきた羽生くんも同じように白い布をまとっていた。

滑ったのは『いつか終わる夢』。私は知らなかったのだが、ファイナルファンタジー10のテーマソングの一つだそうだ。

リンクには美しい映像が映し出され、それに合わせて滑る羽生くんは本当に綺麗だった。
映像に合わせて滑るのってすごいことだし、相当練習したんじゃないかなと思う。

途中でいろんな言葉が出てきて、速すぎて私は読み取れなかったんだけど、Twitterに書いてくださった方がいたので見てみたら、「怖い」とか「独り」とか、そんな言葉もあったらしい。

あ〜、これは羽生くんの心の叫びなのかもしれない。そう思った。

これだけ世界中にファンがいて、一挙手一投足に注目が集まる。
そんな羽生くんだからこそ、孤独をよりいっそう感じていたのかもしれない。

会見のときも、そんなことを言っていたような気がする。

「羽生結弦」という存在が、ときに羽生くん自身を苦しめることもあっただろう。
もしかしたら、私たちが羽生くんに向けていた眼差しも、羽生くんにとっては重荷になってしまっていたのかもしれない。

私自身、何も考えずにただただ羽生くんを応援していた。
彼が裏でどれだけ苦しみ、葛藤していたか、そんなことを考えるようになったのは割と最近だ。

現実世界に存在するのか疑ってしまうこともあるけど、羽生くんだって一人の人間だ。私たちと同じように、辛いとか、苦しいとか思うことだってあるはずだ。
なんなら、私たちとは比べものにならないほどの苦しみを味わってきたはずだ。

それでも、こうしてフィギュアスケートを続けてきた羽生くんは本当にすごい。語彙力がなくて申し訳ないけど、すごいとしか言えない。

そして羽生くんがリンクを去ると、また映像が流れた。

記憶が曖昧なところもあるが、羽生くんが優勝できなかった大会や、ジャンプに失敗して転倒する様子、さらには衝撃的だったあの衝突事故の映像などが流れた。
(さすがに衝突した瞬間はカットされていた。)

その後、羽生くんの肉声でメッセージが流れた。

最後に「僕は幸せです」って言ってたかな。

あのときはさすがにヤバかった。
羽生結弦が全力で私たちを泣かせにきてた。

結局私は泣かなかったけど、正直ちょっと危なかった。
たぶんライブビューイングの会場でも泣いてる人はたくさんいたと思う。

今までいいことばかりじゃなかった、いや、むしろネガティブなことの方が多かったのかもしれない。

でも、羽生くんがこうして滑り続けてくれることが、私にとっては何より嬉しいことだ。

羽生くんを応援しててよかったと改めて思ったし、羽生くんを好きになって、応援しようと思ったあの日の自分に感謝したい。

映像が終わると、羽生くんの演技が始まった。

滑ったのは『春よ、来い』。

これも映像とのコラボレーションが本当に美しくて儚くて、心揺さぶられた。

演技が終わると、羽生くんは何度もお辞儀をして、リンクを去った。

すかさずアンコールを求める観客の拍手が会場に鳴り響いた。

ライブビューイング会場にいる私も拍手を送った。

すると時計の針が進む映像が流れ始め、11:12になった。

会場に響き渡るエレキギターの音色。
『パリの散歩道』だ。

そこへグッズのTシャツを着た羽生くんが颯爽と登場し、滑り始めた。

前にVanessaさんがYouTubeで言っていたけど、多めにポンポンが見えてましたね。
ポンポンやめい!!!

その後、Adoさんの『私は最強』が流れる中、羽生くんがリンクをぐるっと回り始めた。

そのとき、羽生くんが泣きそうになっているのを、カメラはしっかり捉えていた。

後から知ったことなのだが、会場にいるお客さんたちがバングルを青にしていたのは、羽生くんへのサプライズだったそうだ。

お客さんたちの気持ちは、きっと羽生くんにも届いたはずだ。

最後に羽生くんからの一言があったのだが、その中で「皆さん、どうか健康でいてください」と言っていた。

私はオタクとして、推しの健康と幸せを何度も願ってきたが、推しに健康を願ってもらえるなんて、これ以上嬉しいことはない。

このアイスショーの出演者は羽生くんただ一人。

感染症やケガなどによって公演がまるごと中止になってしまってもおかしくない。

無事に本番を迎えるために、羽生くんは誰よりも自分の健康に気を遣い、神経を尖らせていたはずだ。

それなのに、私たちの健康のことまで考えてくれるなんて。

本人はそこまで深く考えていなかったかもしれないけど、その一言が私にとってはとても嬉しかったのだ。

そして最後はマイクなしで「せーのっ、ありがとうございました!!!」と叫び、羽生くんはリンクを去っていった。

7.羽生くん、あなたはやっぱりすごい

私はもともと集中力が長続きしないタイプで、映画を観ていても途中で時間が気になり、ついつい腕時計を見てしまう、なんてこともある。

でも、この日は時間を気にする暇もなかった。

それほど羽生くんの演技に没入していた。

全国の映画館でライブビューイングが行われていることを伝えられたときに、羽生くんは笑いながら、「ライブビューイングすらも落ちたって人がいるみたいなんですけど、そんなに需要あるんですかね」みたいなことを言っていた。

いや、あるよ!!!めちゃくちゃあるよ!!!

どれだけの人がそこに行きたいと思っているか。
行きたくても行けなかった人がどれだけいるか。
羽生くんの演技を観たいと思っている人がどれだけいるか。

羽生くんは「僕なんか」という言葉をたまに使う。

比べてしまって申し訳ないけど、私も自己肯定感が低すぎて、「私なんか」を連発していた時期があった。

「『私なんか』って言わないで」と言ってくれた人もいたけど、自分に自信が持てないときって、どんな言葉をかけられても素直に受け取れなくて、「本当にそうなのかな」って疑ってしまうのよね。

自分は何のために生きているのか、自分がここにいる意味は何なのか、そんなことをたくさんたくさん考えて、苦しくて苦しくて仕方がなくなる、そういった経験は誰にでもあるのではないだろうか。

私みたいな凡人でもそうなんだから、羽生くんの苦しみはきっと凄まじいものだと思う。

でもね、これだけは言わせてほしい。

羽生くんの演技に心を動かされた人、元気をもらった人、救われた人は世界中にたくさんいる。
これだけは紛れもない事実だ。

基本的にはスタッフさんが運営しているとはいえ、せっかくYouTubeとTwitterとInstagramを開設したんだから、そこに溢れるみんなの想いを読んでみてほしい。

特にYouTubeでは、さまざまな言語でコメントが書かれている。

翻訳機能を使って読んでみると、一つひとつのコメントに羽生くんへの愛が詰まっている。

羽生くん、あなたはやっぱりすごいよ。

言葉の壁も乗り越えてしまうほどの力があなたにはあるんだよ。

これから先、自分に自信が持てなくて、「僕なんか」って思ってしまうことがあったら、このことを思い出してね。

横浜公演がこれだけ盛り上がったんだから、八戸公演もきっと大丈夫。

私は行けないと思うけど、遠くから応援するつもりだ。

体調管理とか、公演の準備とか、気を遣うことは山ほどあると思うけど、無事に本番を迎えられるよう祈っている。

8.おわりに

ライブビューイングの前日から書き始めたこのnoteも、ようやく終わりが見えてきた。

なんと約1万字。まさかこんなに長くなるとは自分でも思っていなかった。

こんな支離滅裂な文章をここまで読んでくれた人がいたら、相当すごいと思う。
本当にありがとうございます。

はじめの方にも書いたが、私は羽生くんと同じ1994年生まれ。

本当にこの人と私は同い年なのか、羽生くんは人生5回目とかじゃないのか。
そう思ってしまうほど、羽生くんはあまりにも私とかけ離れている。

諦めず努力し続けるなんて、私が一番苦手なことだ。

もはや比べてしまうこと自体、失礼だ。

でも、羽生くんと同じ年に生まれて、同じ時代を生きてきた私は、めちゃくちゃラッキーな人間だと思う。

こんな素晴らしい人と出会うことができて、同じ時代を生きているこの奇跡に、心から感謝したい。

そして、羽生くんにも感謝したい。

生まれてきてくれてありがとう。

フィギュアスケートを始めてくれてありがとう。

苦しいこともたくさんあったはずなのに、フィギュアスケートを続けてくれてありがとう。

応援したいと思わせてくれてありがとう。

常に挑戦する姿を見せてくれてありがとう。

感動を与えてくれてありがとう。

ファンの気持ちに寄り添ってくれてありがとう。

素敵な時間をありがとう。

これから先、何があるか分からないけど、どうか身体には気をつけてください。

いつかあなたを直接この目で見られる日が来ますように。


羽生くん、あとこれは提案なんだけどさ、次はもっと大きい会場でやってみてもいいと思うんだ、うん。

「#横浜全滅」のハッシュタグ見たよね?すごかったよね?

現実的に厳しいところもあるかもしれないけど、金なら出すからさ。

別に圧をかけてるわけじゃないけど、今後の参考にしてくれたらいいかな〜なんて思うんだ、うん。

じゃ、そういうことで!!!

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