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これからもデザイナーであり続けるために

ここ数ヶ月考えていたこと

近頃、出産のことばかり考えていた。
育児はとても大変だと聞く...。いまは頭では分かっていても、どの程度の辛さなのかまだ全然想像が付いていないので、実際に自分が子育てしてみて、「あぁ、こんなに大変だったんだな」と気付くパターンだと思う。
出産後3ヵ月ほどは、定期契約の更新作業以外は完全にお仕事お休みするつもりだが、それ以降もデザイナーであり続けるために、他のことに気を取られながらも日々デザインについて思考を巡らせていないといけないと感じている。
この思考の手助けになっているのは、昨年GW前に友人が何気なく送ってきてくれたURLで知った下記ブログ。

仕事もアメリカ在住歴もレベルがまったく異なり、完全には当てはめられないのだけど、ニューヨークで+子育てをしながら+デザイナーという職業を続けていく、という点で、何となく参考にさせていただいている。
...などと言ってはいるが、私には「ニューヨークで子育てをする」というイメージがまったく沸かず、子どもが生まれてしばらくしたら、夫の故郷・シアトルに引っ越すという計画も立ててはいる。


今後の状況を考える中で何をすべきか

以前夫が、「子どもの教育を考えると、日本に移住した方がいいと思う」と言っていて、そういう選択肢もあるのか、と思った(これは、シアトルに移住したあとの話)。
もしも日本に移住するとなった場合、私は小学校入学と同時がいいかなと思ったのだけど、夫的には、子どもが4歳になる頃かな、とのこと。
「子どもをバイリンガルとして育てるなら、英語と日本語を同時に学ぶから、少なからずすべてにおいて遅れをとるはず、タイミングは慎重に決めたい。」と言っていて、私以上にちゃんと考えてくれていて感心した。

上記のような自分の思考と夫とのやり取りの中で、何となく、少しだけ先の見通しがたったような気がしている。私のグリーンカードがどうなるか分からないし、まだ何も決められないのが現実なのだけど、「もしいま思い描いているような流れで日本に戻ることになったら」という前提で、まだまだふんわりとだけど、それまでの4年間、何が出来るか、何をしなければならないのか、ということを、ここ最近とても良く考えるようになった。

4年経つと、私は40歳を過ぎるわけだ(ヒェー)。その時まで、これまでお仕事くださっていた方たちが変わらず振ってくださるかどうかは保証出来るわけがないし、はたまたこの業界がどう変化しているかも分からない。また、今まで営業をしたことが無い私が40を過ぎて営業できるかと考えると、おそらく、というか、ほぼ確実に難しい。


これからの数年間で出来ることを

実際はその時の状況次第ではあるから、「○年後、○○○でありたい」という具体的な目標は立てられないのだけど、デザイナーとして生きていく上で最低限必要な思考は失ってはいけない。そこで、単純ではあるし、今さら遅すぎるわけではあるが、今からでも出来ることはやって癖を付けていこう&感覚を取り戻そうと思い、時間を見つけては下記に取り組み始めている。

① 街中の気になったデザインを記録
② 好きなデザインを見て、どこが好きなのかを具体的に言えるように
③ 自主制作の再開

これらは、ニューヨークにいようがシアトルにいようが日本にいようが、続ける限り自分のデザイン思考を保ってくれるはずである。

何ヶ月も仕事をしない、もしくは仕事量を大幅に減らすとどうなるか想像して恐ろしくなり、今年に入って何度も自分に言い聞かせているのだけど、とにかく「初心に戻る」というのがいまの目標。

デザイナーとして10年以上生きてきて「今さら?」と思う人もいるだろう。
そう、今さらなのである。笑

ただ、「初心に戻る」というは、意外と難しい。
10年以上も前の、あの「何にでも興味を示して、無限に吸収して、永遠に仕事出来るぞ!」的なモチベーションを思い出すのはなかなか至難の業である。
なので、些細なことなのだけど、いまの現状を利用して無理なく続けられるようなことから再開し始めようと思ったのだ。


① 街中の気になったデザインを記録

デザイナーとして歩み始めたころは、元BOSSや周りの先輩デザイナーさんから教えていただいたものや学ぶことなど、もちろん何も知らなかったからこそ、様々なデザインが新鮮で格好良く見え、大量に写真を撮ったり、ウェブサイトを大量にブックマークしたりしていたが、ここ数年は、街中に気になるデザインがあっても見て終わり、ウェブ上ではPinterestをたまに見たりしているが数分で閉じることが多く、ウェブデザインのブックマークサイトはめっきり見なくなってしまった。
インプット・アウトプットが圧倒的に足りていないことは分かりきってはいたものの、どうすれば上質な(=今後の自分のためになる)インプットが出来るかの答えがなかなか見つからないのであった。

▼いろんなウェブデザインを見なくなった理由

ひとつは数年前から、デザインや動きがいくつかのパターンに分かれて、同じようなウェブサイトばかりに見えてきてしまったことがある。お恥ずかしい話だが、これは自分の実績にも当てはまる。
デザイン面では、皆さん素敵なデザインをされていると思うので、これは私の感覚がおかしくなっているのだろう...。その中でもやはり一部の方々はズバ抜けて格好良いウェブサイトを作っているから、すべてとは言えない。

それから動きに関して、すべてが同じような動きに感じてしまい、長らくローカルで個人のクライアントさんを中心に仕事をしてきた自分にとっては、「その動き、本当に必要か...?」といちいち疑問に思ってしまうことに疲れてしまったことがある。もちろん、プロモーションサイトなど、演出をメインに考えると必要なウェブサイトもあるのだけど......説明が非常に難しいのだが、要は「自分がどういうクライアントさんと仕事をしたくて、そういう方たちにどういうウェブサイトが必要なのか?」を考える上で、おそらく少し意識しすぎているのかなと思ったりしている。


▼ウェブ上でグラフィックデザインを記録しなくなった理由

誰にでもそうかもしれないのだけど、私には好みのデザインがある。
Pinterestなどでどんどん保存していっていると、ここも似たようなデザインばかりが集まってしまう。レイアウトこそ違えど、手法は同じ、というようなもの。たまに整理しながらガンガン削除していったりもしているが、結果的にはだいたいが似ている。
この好みはなかなか変わらないため、自分が「いいな」と思ったデザインで、今までにないパターンのものだけを記録しようとしている。

* * * * *

上記の理由などもありつつサボっていた(?)インプット・アウトプットを再開するべく、まずは街中で見たデザインを記録することにした。これは、日常の中で常にアンテナを張る癖を思い出させることが主な目的。なので、ウェブ上ではなく街中、リアルPinterest的な。
記録したものはあとですぐ見返すことが出来るよう、Twitterやnoteを使って記録。


② 好きなデザインを見て、どこが好きなのかを具体的に言えるように

たまにTwitterなどで、「このデザインすごくいい。なぜなら○○○○○○だから......」としっかりコメントしている方々を見るが、いつもすごいなと思う。
これは自分が昔からすごく苦手としていることで、デザインに限らず、好き・嫌いの理由をはっきり述べられるほど物事を深く考えていないのだな、と感じている。薄々分かっていながら、アメリカに来て割と質問されることがあり、実感し、反省中。

ほぼ夫からだけど、例えば映画などを見て「どこが一番好きなシーンだった?それはなぜ?」「どういうふうに好きだったの?」や、ご飯を食べていても同じような質問「これらの料理の中で何が一番好きだった?」「どうやったらもっと良くなると思う?」など。
こういう質問をされることが今まで無かったように思う。映画を見ても「面白かったね」で終わっていたし、食事をしても「美味しかったね」だけで終わっていた。自分の「好き・嫌い」についてそこまで深く考えたことが無かった。
思い返せば夫はいつも「自分はこれが好き、なぜなら...」と必ず理由を述べていることに今さら気付く。

私もその思考、感覚を鍛えるためにも、これから街中やウェブ上で見たデザインに対して、意識して「どこが好きなのか(嫌いなのか)」「なぜ好きなのか(嫌いなのか)」「なぜ心地良い(悪い)と感じるのか」など述べられるよう意識して生活したい。デザインについては、その制作背景なども知らないと意見は述べられないと思っていて、すごく難しいと思うから、それ以外のものから徐々に意識していきたい。


③ 自主制作の再開

仕事以外でデザインすることも大好きで、以前は自分のウェブサイトやブログをしょっちゅうリニューアルしたり、DMを作ったり、少し前はブックカバーを作ってみたり(1回だけ...)していたのだけど、これも近頃は英語の勉強などに時間を使っていて手が出せていなかったので、タイミングを見て再開させたい。
いま考えているのは、業界に入った頃に師匠とやらせていただいていたNALANDAの再開。これは、名前とベースのデザインを変更して、オリジナルで作ろうと考えている。子どもに遊んでもらえるようなものが作れたらなぁ...と何となく考えているところ。
あとは、育児と子どもの成長記録専用のブログを作ろうか迷い中。


「無理なく続けること」が一番重要

上記は簡単そうに見えて、毎日出産のことや英語学習のこと、当然いま目の前にある仕事のことを考えていると、これが意外と難しい...。
いつも「あれやろう!これやろう!」と張り切って、すぐに飽きてしまう性分なので、あまり張り切らず、欲張らず、でも可能な範囲で意識しながら、日々過ごしていけたらと思っている。

ここ何年もがむしゃらに仕事してきて、見過ごしてきたこともたくさんあるだろう、今の状態で進むより、1度立ち止まって一呼吸して、見つめ直したほうが良いと感じた次第である。

とあるクライアントさんから、「子育ては本当に人生を豊かにしてくれるので、ママになられた西村さんのこれからの作品も、とっても楽しみです。」とのお言葉をいただき、それに応えられるようなデザイナーでありたいと思っている。

頑張って初心にかえろう。

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