『赤ちゃんポストの真実』を読んで
親によって子どもの命が失われる事件をニュースで見るたび、胸が苦しくなる。自分が子どもを産んでから一層その気持ちは強くなった。
『赤ちゃんポストの真実』を手に取ったとき、私は光を求めていたと思う。なぜなら、赤ちゃんポストは赤ちゃんが助かるためのものだと思っていたから。しかし、読み進めるといかに自分が表面上の情報しか持ち合わせず、浅い考えでいたかを知ることとなる。
まず驚いたのは、この赤ちゃんポストは国の許可を受けていないこと。2007年当時の安部首相は前向きな姿勢でないことを表明しただけで、ポスト設置の最終決定をしたのは、なんと熊本市長だった。人の命に関わることを一市長と病院の医院長だけで決めていいのかと驚いた。ここから、命を救うというピカピカした看板を掲げ、法律的にグレーゾーンな運営が始まる。(熊本市長の苦悩も始まる。)もちろん熊本市もこのままでいいと思ってはいないようで、市が国にポストの運営についての評価を求めても、知らん顔されているらしい。どうやら国は首を突っ込みたくないようだ。
そして、ポストに預けられた子どもの出自を知る権利が保障されない問題。ポストは基本的に匿名で子どもを置くことができるため、子どもは自分が何者か分からず、そのことが将来子どもたちを苦しめることとなる、という不安要素も浮き彫りになった。
私はポストに預けられても、その後、育ての親にたくさん愛されれば幸せになれると思っていたけれど、どうもそうではないらしい。例え生みの親に育てられなくても、自分がどこから生まれてきたのか分かっているのと、全く分からないのは大きな差のようだ。
他にも戸籍、お金、健康保険など、様々な問題がある。
こんなにたくさん問題があるのに、この赤ちゃんポストはもう10年以上続いている。ポストは医院長の「命を救いたい」という理念のもと置かれ、マスコミはそれを聖域化して報道したという指摘もあった。
確かに命を救うことは素晴らしい。でも本当に目を向けなければいけないのは、作者の森本修代さんや周りの方々が言うように、赤ちゃんポストを使わざるを得ない社会のあり方だと思った。
女性が妊娠し、出産するまで10か月程かかる。その長いようで短い期間にもし困ったことが起きたら、ちゃんと「助けて」と言えて、その声が誰かに届く世界だったらと思う。最近私がハマっているテレビ番組「ねほりんぱほりん」で児童相談所の方が言っていたが、親を助けることが結局は子どもを守ることになる。この言葉、赤ちゃんポストにも当てはまる気がする。困っているお母さん、お父さんへの支援が、赤ちゃんの命を守ることにつながるはず・・・。
「生まれてきてはいけない命はない」そう本書にも書かれていたが、本当に心からそう思う。そう思ったものの、所詮私はその辺にいる主婦。私にできることが何かあるんだろうか。
今の気持ちを記録しておきたくて、とりあえずnoteを書きました。
このnoteを第一歩として、何かできることを考えたい。
そう思わせてくれた本でした。