記憶に残っているカレー
まだ20代だった頃、そう40年以上前のこと。仕事場のそばに行きつけの秋田料理を出す小料理屋さんがあった。われわれはそこを食堂がわりに利用し、ことあるごとに集まるような場所だった。もちろん独身で寮に入っていた私は、寮の食事をキャンセルしてこのお店によく食べに来ていた。寮から徒歩15分くらいの場所だった。今はどうなっているかはわからない。今でもあるといいなと思うけれども、女将さんは当時でも50歳近かったので無理かなぁ。そう思いググってみたら、なんと2022年いっぱいまで営業していたようだった。もしかしたら代替わりして営業を続けていたのかもしれない。
そんな小料理屋さんで夕食を食べに行った時のこと、カレーも食べたい、納豆も食べたいという欲求が急に襲って来て、つい注文してしまったことがある。
「女将さん、いつものカレーに納豆と生卵入れてくれる」
「えー、カレーに納豆入れるの。まぁ、あんたの好きなように」
ということで、カレーと納豆を混ぜ合わせ、生卵も一緒に混ぜる。もちろん、少々の醤油も垂らす。想像すると「なんで」と思いたくなるような組み合わせなのだが、勇気を持って食べてみると「意外どころかかなり美味しい」と感じる。納豆は当時はひきわり納豆を入れていた。カレーの辛味が納豆と卵で緩和されるのでカレーは辛口がおすすめである。
この後、この店に通ってカレーを注文すると納豆と卵が漏れなく付いてくるようになった。とても可愛がってもらったいい思い出と共に、納豆卵カレーの味が蘇って来た。戻れるものならまたみんなで集まって話をしたいものだ。
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