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【小説】 逃走 #09 画策


 兄ミツルから車を回してきて欲しいという連絡が入った時、ユズルはミツルの妻であるサトミとともに、家にいた。ミツルの本宅がある場所の離れの家だ。既に、ユズルは、兄の妻であるサトミと良い仲になっていたのだ。そのことを知らないのは兄のミツルだけだった。サトミにとってお調子者で軽はずみなミツルよりも寡黙で真面目な弟のユズルの方に段々と感心が高まり、ミツルとはほぼ別居状態になった後、ユズルとの距離も急速に縮まり仲良くなってしまったのだ。もちろん、ユズルにはそんな行動は起こせるはずもなく、サトミの方からアプローチし、ユズルは引きずり込まれていった。それまでは、兄のミツルに良いように使われていたユズルだったが、サトミとの関係ができてから自分をいいように使っている兄ミツルを段々と疎ましく思うようになっていったのだった。

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2,709字
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