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人格詐称 プロローグ

ご挨拶
てりはのミステリー小説、第二弾になります。今回は、殺人ミステリーとして綴りましたが、どうやって犯行を実施したかという謎解きではない形で書いてみました。殺人者が主人公であり、その目線で小説にしてみました。しかし、その犯行の影には主人公も知らないドラマが隠されていたりします。
てりはの新しい挑戦をお楽しみください。連載形式で週末に投稿していこうと思いますので、最後までお付き合いいただければと思います。

ご挨拶


プロローグ

 誰しもが心の中に善と悪を持ち合わせている。しかし、悪だけの心が暴走しないように人間には理性というものが備わっている。だから、みんな平和に暮らせているのだ。しかし、人間の心というものはそれほど強いものではない。ちょっとしたことで、憎悪が増幅したり、ちょっとしたことで悲しみが増幅したりする。なのに、幸せはそれほど増幅しない。

 人間は心に負けて何かを実行してしまうことがあり、それが犯罪と言われる行為へと繋がっていく。人を傷つけてはならないといいながら、人間は、植物や動物を食べている。本来、弱肉強食の世界だから、傷つけてもいいのではないのだろうか。人類が過去から繰り返している戦争とはそういうものなのではないだろうか。

 理性と本能の間に立たされた上に、「自分」という存在が二人いたら、果たしてどうなるのだろう。その二人の存在が善と悪だったら、どんな行動につながるのだろう。瞬間的に覚えた殺意と計画的に実施する殺意、裁判になると計画的なほうが罪は重くなる。しかし、奪った命の重さは同じだといわれる。同じものを奪った行為なのに、それに対する罪の重さが変わるというのはどういうことなのだろうか。「罪を憎んで人を憎まず」苦肉の策の末に生まれた言葉のようにも感じる。ひと昔、中国でもヨーロッパでも最高の権威を得たものは自分の身内に対し、粛清を実施していた。これはなぜ罪にならなかったのか。多くの民が幸せに暮らせるためなのか、一部の人間がその生涯を贅沢に暮らすためのものなのか。いや、権力を誇示するために過ぎなかっただけのことかもしれない。

 人間の本質に逆らわずにそして時には怒りを計画に変えて生きた一人の資産家の男の一瞬を切り取って紹介したいと思う。怒り、涙、慈愛、色んな感情で宇都美優という男の数年間の許し難い行動を体感していただきたい。

つづく


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