見出し画像

【小説】 逃走 #10 誤算


 ユズルは計画の成功を信じてガレージに向かった。兄ミツルの左ハンドルのベンツに乗り込み、大きく深呼吸をしてキーを回した。唸るようなエンジン音がガレージに響き渡る。ハンドブレーキをリリースし、ゆっくりとシフトレバーをDレンジに入れアクセルを踏んだ。

 軽く左手をあげサトミに挨拶をして、ベンツSLの大きな車体はゆっくりとガレージを出て、まるで他の車を威嚇するかのように滑り出していった。一旦、遠回りをして逆方向からミツルの愛人であるユウコの自宅へアプローチする。これはいつものことである。ミツルの自宅から直行すれば20分ほどなのだが、誰に見られるか分からないので、幹線道路である246号線を通って抜け道にもなっている山道の反対側へ回って戻ってくるようなルートを使う。あくまでも用心深く対応している。

ここから先は

2,474字
手直しした内容をamazon kindleで販売開始しましたので、無料設定を変更します。なお、今後の改訂はkindle側で実施予定です。また、ペーパーバックも販売していますので、よろしくお願いします。

エンジニアのタケシはとんでもない経験をする。担当しているシステム開発がうまく行ってない時なのにアクシデントに見舞われ、対応していくのだが。…

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,778件

#眠れない夜に

69,255件

よろしければサポートをお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。