【SS】感想文部 #毎週ショートショートnote
9/4-9/10 お題 感想文部 410文字
「部長、今日も多くのメールが届いてますよ」
「そうか、毎日結構届くんだが、大半が読書感想文だからなぁ」
此処は、愛を綴った「文」つまり、ラブレターに対する感想を吟味し、ショートショート仕立てで発表する編集社の中の感想文部だ。部門が創立した時から間違いメールが多くメンバーは辟易している。メンバーの仕事はまず、対象となるメールを開け選別する。それだけで丸一日かかってしまう。選別されたメールは、その後各担当者が手分けして一人数個のショートショートを作るのである。選別作業がなければ週末ゆっくりできるのにと全員漏れなく思っていたが、組織改革の鬼と言われている部長に対し、口が裂けても進言することはできず全員が我慢していた。
「部長、今日は短歌まで混ざってますよ。しかも相聞歌です。たしかに恋文といえますよ。それに、とてもイメージしやすいと思います」
君のそば 永遠の誓い お互いに 残暑も忘れ 星を見上げる
あなたより 私の愛が 大きいの 二人で過ごす 星空の下
「なるほど、相聞歌か。これもいいな。良し、閃いた。では新しい課を作って短歌も集めよう」
「おお、流石は部長、組織改革の鬼ですね。で名称はどうします」
「もう決めた。その名称は、感相聞課だ」
またしても意図しない内容の手紙が増えそうだ。
410文字(ルビ含まず)
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