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【No.16】サービス料金と年収@こうならいいなサラリーマン劇場

 サラリーマンの世界で起きているかもしれないことをドラマ風に綴ってみたいとおもいます。内容は架空の話ですが、思い当たることがあれば要注意ですよ。それから、この劇場の結末は「こうならいいな」という内容で終わります。なので、現実界とは少し違うかもしれません😊

 それでは、幕を開けてみることにしましょう。


システム開発を請け負う会社は、大抵がSEと呼ばれる職種の人たちの単価を決めいている。それは、一ヶ月間そのSEが他社のために働くための単価。つまり売値だ。その単価は会社規模によって大きく変わるが、50万から400万程度まで幅広い。コンサルタントなどの職種ではもっと高い単価の人もいるだろう。そんな提供単価とその人がもらう給与の関係に疑問を持つことも多々ある様だ。会社だけ儲かって給与には反映されない。だったら独立しようと考えるのも自然な流れである。少し大きな会社のSE職ということを前提としてそんな疑問を持った事例を垣間見てみよう。

天の声

とある中堅のシステム開発会社があった。直接ユーザーとの契約を取れるだけの営業力のない会社である。大手が契約した開発の仕事の一部を請け負うと言う形で仕事をしている会社だった。この会社では、SEの力量に合わせて月額単価を決定し、依頼された仕事に対し、見積もりを作成していた。もちろん、見積もり自体は開発内容がわからないとできないので、SEリーダーやプロジェクトマネージャが見積もっていた。

そんなとき、ふと疑問を思ったSEがいた。
「僕らは懸命に見積もりをして開発まで実施して納品しているけど、契約金額に対して、僕らの給料って低くないかな」という疑問を持ったのである。

このSEの人月単価は100万円である。一年間通した仕事があれば1200万円に上る。しかしながら年収は450万円程度。確かにその差は大きいように感じる。

「なぁ、俺たちってさ。すごく稼いで会社に貢献してるよな」
「あぁ、そうだな」
「それにしたら、俺たちの年収って低いと思わないか」
「確かに。会社は結構ピンハネしてるんじゃないか」
「そろそろ、見切りをつけたほうがいいのかもな」
「そうだな。そろそろ転職してもっと年収が高いところに移ったほうがいいかもな。とりあえず、今のプロジェクトが終わるまでには考えよう」
「じゃあ、あまり話を広げないで俺たちだけで進めよう」


おやおや、単純に自分たちの売値と収入の差を比較して短絡的に結論を出そうとしているようですね。先輩や、所属長は説明していないのでしょうか?
会社は給料を支払うことが最も大きなコストではありますが、それ以外にも考慮しなければならないことがあることを。【No.10】年収比較でも少し触れていますが会社はいろんなことにコストをかけています。その分を差し引いた金額から人件費つまり給与に充てているのでシステム開発やコンサルティングなどの仕事でお客様への売値が高くても丸ごと給与には反映できませんよね。先輩や所属長から正しく説明されていた場合はどうなるか見てみましょう。

天の声

とある中堅のシステム開発会社があった。直接ユーザーとの契約を取れるだけの営業力のない会社である。大手が契約した開発の仕事の一部を請け負うと言う形で仕事をしている会社だった。この会社では、SEの力量に合わせて月額単価を決定し、依頼された仕事に対し、見積もりを作成していた。もちろん、見積もり自体は開発内容がわからないとできないので、SEリーダーやプロジェクトマネージャが見積もっていた。

そんなとき、ふと疑問を思ったSEがいた。
「僕らは懸命に見積もりをして開発まで実施して納品しているけど、契約金額に対して、僕らの給料って低くないかな」という疑問を持ったのである。しかし、同時に思い出していたことがあった。「そういえば、最初の頃、社内研修で年収と売値の関係を聞いたことがあったな」

一人前のプロジェクトメンバーとしてデビューする前に、仕事や単価についての説明が行われていた。この会社では所属長がその役割を担っていた。新入社員や中途入社社員がお客様プロジェクトに参加して売り上げに貢献できるようになる時にその関係が説明されていた。

「これから皆さんはお客様からお金をいただいて仕事をするプロフェッショナルになります。これまでは社内研修のみでしたが、これからは違います。最初にコスト意識を持ってもらうために、サービス料金と皆さんの年収の関係を単純化してお話ししておきます。自分の収入に不満を持った場合などは思い出してください。皆さんそれぞれに、コスト単価が設定されています。これは毎年見直されます。言い換えれば皆さんがこの会社の中で活動するために会社として必要なコストです。その中には皆さんの給与も含まれます。厳密にはわずかな利益も含まれますが、残業代や手当などで相殺されるので僅かだと思ってていいでしょう。あくまでもコストです。プロジェクト全体としてコストを算出しそこに利益を乗せた金額がお客様へ提示する料金となるんです。そこを間違えないように気をつけてください。
そして、皆さんの年収とこのコストの関係は、我が社の場合は、ほぼ1 : 3だと思ってください。例えば、500万円の年収の人には1500万円の年間コストがかかるということです。なぜでしょうか? 光熱費やオフィス賃料、退職金引き当て、厚生年金費用、IT環境利用料、育成のための研修費用、間接社員コストなどが必要になるからです。あくまでも目安ですが、皆さんの中で考える基準にはなるでしょう」

この話を聞いて、社員は結構コストがかかるんだなということを漠然と理解していた。

「なんだか年収が低いと思っていたけど、結構コストはかかってるんだな。ということは当面、バンドを上げることに集中したほうがよさそうだな」
「そうだな。それで自分たちの年収を上げていくことを目指そう」

そんな会話をSEたちは交わしていた。


いかがでしょうか。実際には単価の中に利益を十分に盛り込んでいる会社もあります。それは仕事を受ける時の形態(プロジェクト単位で受注するのか、一人一人の単位で受注するのか)により変化するからです。また、順委任契約や請負契約でも見積もられる金額は変化することになりますので、単純ではありませんが、大抵の場合、年収の2.5倍から3.5倍程度の売り上げを上げないとある程度の大きさの会社としては持続させていくのが厳しくなるでしょう。どこの会社も頭を悩ませている部分だと思います。でも、会社の仕組みを理解し自分の収入との関係を知るということは重要なことですよね。今回のテーマは文章で説明するのは結構難しいテーマでした。





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