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学校事務の仕事と自作解題 ~学級編制はいかにして可能か?~

note2回目です。ぜひ動画もご視聴くださいね。純粋にエンターテイメントとしても成り立つことを目指して楽曲を作っています。一方、エンターテイメントが犇めき/タイパが重視される昨今の風潮を鑑みて、音事検の作る歌はできるだけ短い尺に収めています。
もっとも、タイパを意識し始めたのは最近ではなく、学級担任をしていた若い頃からです。小学生の子どもに何か指示をするときは、一時一事が基本中の基本です。「~をして、××が終わったら、〇〇をして~」という、一度の指示にいくつもの内容を詰め込んだものはまず、伝わりません。大人の僕らだって、一度にあれこれ言われたら混乱しますよね。

2024年の新曲「学級編制ファラウェイ」


今年に入って最初に発表した曲が、冒頭の「学級編制ファラウェイ」です。タイトルは「編成」の誤変換ではありません。学校のクラスをつくる作業はルール上なぜか「編制」という文字を使います。
学校では4月1日(年度始まり)と同じくらい重要な日が5月1日です。なぜかというと、この日をもってその学校の児童生徒数(の公式値)が確定し、それが先生の数その他もろもろの予算の算定基準になるからです。この数が間違っていると場合によっては先生が一人多すぎた。とかいった大変な事態を招いてしまうのでどの学校でもこの5/1前後は名簿の数を真剣に数えていると思います。
学級編制というのはつまるところ子どもの数の勘定です。一クラスの定員が何人で、一学年に子どもが何人いて、うち支援学級在籍の子どもが何人とかいった数を属性ごとに正確に数える作業です。「学級編制ファラウェイ」は、令和3年以降段階的に実施される、小学校の35人学級をテーマに、「いっちねんせーになったーらー♪」で有名なあの歌をオマージュして作った歌です。あわせて、私たち音事検YouTubeチャンネル登録者数目標100人!の願いも込められています。

100人目のともだちの 君とめぐり逢う日まで
大人の私は今も夢を探し続けてる

音楽事務検討委員会 / 学級編制ファラウェイ

ただの勘定だけれども

ただ人数を数えるだけ、の作業ですが、年度替わりには転校も多いし、いなくなった子をうっかりカウントしたり、来たはずの子がもれたりすることが往々にして起こります。だから多くの学校では春休み、3学期が終わってほっとしている担任の先生の傍らで学校事務職員の方が名簿とにらめっこしていることでしょう。特に、まだ顔も知らない新入生は市役所の学齢簿だけを頼りに、慎重に名簿を作らないといけません。期待に胸膨らませて校門をくぐった入学式、その名簿の中に自分の名前がなかったら大変どころの騒ぎじゃないですからね。……でも、いくら気をつけていてもミスはあるもので、かつて聞いた話では、たまたま同姓同名の新入生が二人いて、それを同一人物と勘違いして一人分しかクラス名簿に入れていなかった。という不運と偶然が重なったトラブルが起こったそうです。入学式当日にそれが発覚し、職員一同真っ青になったと聞きました。

しかし、その事態を見事に収拾したのが学校事務職員。発覚するや否や驚く間もない早業で二人分の名前が入った名簿を刷り直し、何事もなかったかのように入学式を挙行したとのことです。
……いろんな意味で震えるエピソードでした。「学級編制ファラウェイ」誕生の背景にはこんな事務職員の努力があります。

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