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陰ヨガの極意〜何もしない、何処にも行かない

「陰ヨガは初めて。他のヨガは色々試したことがあるけど。
だけどこんなにも身体を奥からほぐしたと感じたことはかつてないよ。
こんなに自らを癒し慈しむ感覚を感じたことはない。」

私の陰ヨガのレッスンを受けて以来、すっかり陰ヨガファンになってしまった75歳のエリックさん。

彼は10年ほど前に両股関節に人工関節の手術を受けていますが
ダンスもアイススケートもウェイトリフティングもジムのワークアウトもこなす言わば身体のエキスパート。
それでも陰ヨガがまさに自分の身体の必要としているものだ!と大感激してくれたのでした。

「陰ヨガとは“何もしない”“どこにも到達しようとしない”“力を施さない”ことを学ぶことなのよ。だから“いつでも何でもしたい身体”には特別よく効くんだよね」と私は、とにかくエネルギッシュで活動的な彼をからかい気味。「Yes, That`s Me!」とエリックさん。

エリックさんはその後アメリカに戻っても陰ヨガを続けています。「今朝は20分陰ヨガやったよ!股関節と後傾気味の骨盤と猫背気味の肩に特別良いポーズを教えてくれないか?」なんてメッセージが来ます。
「私の股関節屈筋はガチガチだから歩くと骨盤が後ろに倒れるんだ、それから肩が前に巻きがち。それと胸骨あたりが前になりがちだから頭が前のめりになる」
「それはジムでワークアウトに夢中になる2020年代ホモサピエンスの典型的な骨格だね」
アメリカからメッセージでポーズの写真とシークエンスとポーズの際の留意点をリクエストしてきます。

「私は成功とか成就することに中毒なんだ。理性的な私の頭の一部分が成功や成就は必要ない、必要ないどころか役に立たないんだ!と言ってくれるのに。
例えば日本の友人と話すことができて、違った考え方を身に付けることができるから私は日本語を学んでいる。“学ぶ”ということが大切なんだ。
それなのにすぐに試験の点が気になる。良い点を取ろうとしてしまう。
大事なのはゴールではなくプロセスなんだ。そう自分に言い聞かせてるのに!」

陰ヨガのポーズは自分が自分の体にできることは一切なく、ただひたすらポーズの中で重力に任せて身体を委ねるだけです。
ポーズの形に到達することが目的ではなく、その過程をひたすら観察する。(本当はヨガは全てそうなんですけど!)
30年以上坐禅を組んでいるエリックさんですら、大切なのはゴールではなくプロセスだ!と気付いて実践することは難しいことなのですね。
それとも陰ヨガで改めて実感できたから?

ゴールに向かって走り続けるなんて本当は誰にもできない。(カッコ良く聞こえるけど!)
「何もしない、何処にも行かない」ことが本当に出来るようになったら、実はゴールはそこにしかないのかも知れない。





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