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雨、本の世界へ

四月だけど梅雨のように雨が続く日々。
雨の日は本を開きたくなる。
本の世界へ少しだけ旅をしたくなる。




中学生の頃周りの友達は頭が良くて、
少しでも友達たちに近づきたくて
友達の見ている世界を覗いてみたくて
いろんな本を読んでみた。

魔法の国に行ってみたり
少し大人な恋愛をみてみたり
冒険へ出かけてみたり、
本はまだ知らないキラキラした世界へ
連れていってくれた。

相変わらず成績は良いとは言えないけれど
読める漢字が増えて、知識も増えて
友達との会話も前より盛り上がって
ますます読書にはまっていった。


くるくると忙しない中学生活、
思春期、受験生。
些細な事でクラスが騒つく毎日に、
小さいな事で雑音が心の中から
溢れてしまいそうな気持ちを
落ち着かせるために読書の海に飛び込んだ。

この中なら一人になれる。
ここなら気を張らなくていい。
現実逃避の旅をするために読書をしていた。


高校生になり
遊び、バイト、恋愛...なんていう
これぞ青春!みたいな日々を送っていたけれど
部活のない放課後は、
ひっそりと図書室へ行き読書をしていた。

木漏れ日の差す隠れ家のようで図書室と
そこで本に寄り添う時間が好きだった。


短大生の二年間は本の虫だった。
通学中の電車、広い講堂での講義の最中、
大人への束の間の休み時間
何者かになりたくて
自分を探す旅を本の中でもしていた。


就職してから数年、本を開く時間もなかった。
そんな日々の水面に顔をあげることが
精一杯になった時、
呼吸をするために本を開いた。

結婚して娘を授かって子育てがはじまり
人生の岐路に立つ度コンパスのような気持ちで
本の世界を覗いている。

時には逃避行、時には自分を見つめ直すために
私の人生には本がいつもあった。

これから先も良き趣味であり、旧友のように
人生に寄り添う存在であり続けるんだと思う。


                ito.



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