見出し画像

記憶のカイダン 7歳〜8歳

ー7歳〜8歳ー

◆もう一つの家◆
私は家が2つあった。
2つ目の家はいとこの家だ。
近くに住んでいる2歳上の従姉の家。
土日や夏休みなどの長いお休み期間もほとんどをそこで過ごした。
よく叔母から母に電話してもらって泊まらせてもらっていた。
三姉妹で女家系の新田家(仮名)とは逆に叔母の子供は長男次男三男長女という男家系。
お従兄ちゃん達から教わったこと。ゲームではぷよぷよや高橋名人ボンバーマンなどの秘儀、裏技を。実技ではプロレス、柔道、ボクシングを(口から血を流したこともある)。にぎりっぺなるものを知ったのもこの頃。
お従姉ちゃんとはこれまた近くに住んでいる祖父祖母の家に毎日100円をもらいに行き、駄菓子屋でお菓子を食べたりコインゲームをしたり。廃墟に侵入して産まれたての子猫を見に行ったり。小さい家のおもちゃに捕まえたアリを住まわせてみたり。一緒に行っていた習字を連続でサボったこともある(当然バレた)。当時流行っていた意識を失うゲーム(コワスギルネ。)をしたり、自由奔放に過ごしていた。
従姉の家でも末っ子パワーをこれでもかというくらい炸裂させて
自由にそして甘やかされていたこの頃。

従姉の家には雑種犬のチロもいた。
チロは犬なのに散歩が嫌いでいつも叔父にリードを引っ張って外に連れ出されるのを必死に抵抗していた。もうなんていうか綱引き。いつも抵抗虚しくずるずるとひきづられ敗北するチロ。「ああ仕方ないか…行くしかないのか…」という顔をしながら哀愁漂う後ろ姿でトボトボと歩いていた。
そんなチロはホルモンが好きだ。おじいちゃんがあっつあつで買ってくるホルモン。チロはホルモンの匂いがするおじいちゃんがきたらしっぽをぶるんぶるんふって「ほーるもーーーーーん!!!!」と言ってせがんでいた。
でもおじいちゃん、毎回来るときホルモン持ってるわけではない。ホルモンの匂いのしないおじいちゃんは悲しいかなチロにとっては不要な存在だ。
無表情を湛え身じろぎ一つせず横たわっている。おじいちゃんに興味を示さないチロは犬だけど人でなしだなと当時思ったのを記憶している。
でもそんなチロが私は好きだった。


◆4ばんめ◆
「1ばんめは倉吉、2ばんめは小林、3ばんめは寺田、ん〜〜〜4ばんめは新田(私)かなあ。」
やんちゃで走りが速く当時モテていたクラスメイトのかーくんが遠足の途中、電車の前の座席で友達と会話している。

いや、ヒソヒソ声でしゃべってるんか知らんけど、丸聞こえやで、丸聞こえ。ほんで4ばんめって何?1クラス女子13人くらいしかいないなかの4ばん。保育園の時は1ばんとか2ばんやったハズやねん。そっからの4ばんはキツイて。凹むて。保育園から2年生の間は私イケてる時期やねん。

最後は今の心境だか、小2の私はすごく複雑な気持ちになった遠足の行き道。 
いかるが牛乳工場の見学どころではなく、かーくん総選挙で順位をあげるべく思案する。
でもこじらせてる私。アピールは出来ない私。好きな人には悟られまいと嫌いな態度をとってしまう私。
結局ぐるぐるあの会話だけを思い出しては微妙な心境になり大好きな牛乳も遠足も堪能できなかった。

全てにおいて色んな意味で消化できなかった出来事。

‐------つづく--------

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?