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【ワンパブ・オープン社内報 vol.22】 祝・創刊500号!児童書も好調!副編集長が語る月刊『ムー』のこれまでとこれから

第2メディアプロデュース部 『ムー』副編集長 宍戸 宏隆

【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。今回取材したのは、7月号で創刊500号を迎えた『ムー』の副編集長・宍戸宏隆さん。ワンパブ初の児童書『ムー認定! 最恐!! 都市伝説ビジュアル大事典』の制作秘話も含めて、たっぷりとお話を聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)

【社員プロフィール】
宍戸 宏隆(ししど ひろたか)
1992年学習研究社入社。月刊『ムー』編集部に配属。
以来、月刊誌と並行して、エルブックスなどの関連書籍、ムックを製作。
現在、『ムー』副編集長。


入社以来『ムー』一筋。昔と今で不思議な現象も変化した!?

―宍戸さんは、入社して以来ずっと『ムー』編集部なのですね。希望通りの配属だったのでしょうか?

はい、『ムー』の読者でした。と言っても、(編集長の)三上ほどではないですが(笑)。実は配属先を決めるとき、僕ともうひとり同期が上司に呼ばれて、『ムー』か『歴史群像』のどちらがいいか聞かれたんですよ。まさか中学生の頃に夢中で読んでいた『ムー』に行けるチャンスが来るとは!と、とにかくうれしかったです。もちろん、私は『ムー』と即答。ちなみに、そのとき『歴史群像』を選んだもうひとりの同期が、『歴史群像』編集長の星川です。お互い、入社以来ずっと同じ編集部で働いているというのもおもしろいなと思います。なんだか運命的なものを感じますね(笑)。

―それはまさに運命ですね! 今月(7月号)で 『ムー』は創刊500号を迎えました。率直な感想を聞かせてください。

純粋にうれしいですね。140号くらいからずっと関わっていますが、僕が会社にいる限りは携わり続けたいし、600号、1000号と号を重ねていくことが目標です。やっぱり自分がもともと好きなテーマなので、企画を考えるのも楽しい。実際に記事になり書籍になり、そしてそれらが店頭に並んでいるのを見ると感慨深いです。

―普段から書店に足を運んで、チェックされているのですね。

そうですね。それこそ昔は、どれくらい書店で売れているか編集部独自でリサーチしよう! という話になって、自分の家の近所の書店をまわって、今月号は何冊入荷して何冊売れたかを聞いていたりもしました。あの頃は今ほど『ムー』の知名度がなかったので、怪訝そうな表情をされながら……(苦笑)。懐かしい思い出です。今はさすがにそこまでしませんが、自分が手がけた本がどこに並んでいるか、チェックしに行きますね。

―長年、『ムー』編集部員として世界の謎と不思議に迫り続けているわけですが、昔と今とで変化を感じていることはありますか。

やはり時代とともに、不思議な現象というものも変化してくるということでしょうか。たとえば、僕が初めて担当した記事は、心霊写真の特集でした。あの頃はダンボールに2~3箱くらい心霊写真が届いていて。それらを全部チェックしながら10枚くらいまで絞って、宜保愛子さん(1980~1990年代、日本中に心霊・オカルトブームを巻き起こした霊能者)に鑑定してもらい、間違いなく本物だという2~3枚を特集で紹介していました。

それが、デジカメが普及してからというもの、一気に心霊写真が減ってきたんですよ。オーブ(光の玉)が写ることはあるんだけど、身体の一部が消えているとか、肩の上に人の顔が写っているといった、ひと目見て怖いと感じるものは、ほとんどなくなってしまいました。一説によると、デジカメは電気信号だから、空中を浮遊している霊に反応しなくなったからだとか(諸説あり)。最近、使い捨てカメラがまた流行りだしているので、もしかしたら心霊写真も増えてくるかもしれませんけどね(笑)。そんな変化も含めて、楽しみながら毎号制作しています。

ワンパブ初の児童書は、ムー認定の『都市伝説』がテーマ

-今月、ワンパブ初の児童書が2冊発売されました。1冊は、『歴史群像』編集部発の『戦国武将が教える 最強!日本の城 日本100名城公式スタンプ帳つき』。そしてもう1冊が、宍戸さんご担当の『ムー認定! 最恐!! 都市伝説ビジュアル大事典』です。まずは、『ムー』編集部から児童書を出すことになった背景を教えてもらえますか?

そもそも『ムー』って、昔は高校生や大学生がメイン読者だったんですよ。それが、だんだんと年齢層が上がってきて、現在は40~50代が読者層の中心です。もちろん学生さんも読んでくれてはいますが、ここであらためて若い層、特に子どもたちに『ムー』を知ってもらうきっかけを作りたいという話になりました。

そうなると、カギになるのはテーマです。UFOとかUMAとか、子どもが好きそうなネタはいろいろありますが、できるだけ身近に感じられて、夢中になってくれるものはないか……と考えた結果、『都市伝説』に決まりました。どこの学校でも七不思議みたいなものがあるし、ネットやSNSで都市伝説が広まったりしていますから。口裂け女やトイレの花子さん、ベートーベンの絵、動く人体模型とか……もしかしたら自分も見ちゃうかも! という点がポイントですね。

-表紙に「ムー認定」と謳われていますが、『ムー』が出すからこそ意識した点、工夫した点はどんなところでしょうか。

まずは、ビジュアルです。都市伝説関連の児童書はほかにもありますが、どれもポップというか、あまり怖くないイラストのものが多いんですよ。でもそこを、あえて怖いビジュアルにしています。

内容も、あまり幼い感じにはせず、マンガと一枚もののイラスト+解説をうまく盛り込んで、子どもたちが背伸びして読みたくなるように意識しました。「他の友達は知らないけど、自分は知ってるんだぜ!」と自慢したくなるようなイメージですね。

監修は、都市伝説界の超有名人、怪異妖怪愛好家としても知られる朝里樹(あさざと いつき)さんにお願いしました。子どもだけでなく、大人が読んでも怖くて楽しめる一冊になったと自負しています。

-なるほど! 他にこだわった点はありますか?

ただ都市伝説や怪人を紹介して怖がらせるのではなく、もしも遭遇したらどうしたらいいかという助かるための情報をしっかりと載せている点です。さらに、本のカバーには「キミを守る! お守りカード」がついているので、万が一怪人たちに出会っても安心ですよ(笑)。

-確かに、口裂け女だったら、「ポマード!」と言うと逃げられる、なんて話が昔からありますよね。そういう意味では、都市伝説は今も昔も変わらないんですね。

そうですね。ただ、時代が変わり、変化している点もあります。昔は、どこか教訓めいたもの……たとえば「日が落ちてから川の近くで遊んでいると、昔事故で亡くなった○○さんが出てきて連れ去られるよ」といった都市伝説が多かったように思います。遅くまで遊んでいると危ないよ、だからやめようね、と子どもたちに伝えることが目的のものですね。もちろん、実際に起こった事件が背景の都市伝説もあるので、すべてが教訓のために生まれたとは言い切れませんが。

一方、現代の都市伝説は、単純にエンタテインメントとして楽しめるというか、遭遇したときの恐怖感を煽るものが増えてきたと感じています。ネットで広がりやすいのは、そのためでしょう。今の子どもたちがどんなことに興味があるか、やはり私とは世代的が違いますから、昔と今の違いを自分の中で咀嚼しながら作りました。ぜひ親子で読んでもらえたらうれしいです。

オカルトから大人の学び直しまで、強みを活かした本づくり

-ここからは、宍戸さんがご担当されている、『ムー』以外の本についても教えてください。

好調なのは、コンビニ本ですね。量子論とか相対性理論といった少し難しいテーマをわかりやすく解説している本が、すごく人気があります。三国志や日本史を解説した本もあるのですが、理系のテーマの方が売れる傾向にありますね。かたや『ムー』みたいなオカルトの世界もやっていれば、かたや真面目な大人の学び直し系も作っているんですよ(笑)。

―ちなみに、宍戸さんは文系と理系のどちらが得意ですか?

僕は完全な文系人間です。理科とか数学が本当に苦手で。でも、本の作り手側という立場で言うと、今は理系本の方が興味があります。こんな理系がサッパリな僕でも読んで理解できるように……と噛み砕いて説明している点がポイントですね。理系教科に苦手意識が強い人にこそ、手にとってほしいなと思います。

―私も理系が大の苦手なので、読んでみます! 最後に、今後作りたい本や挑戦したいことを教えてください。

そうですね、まずは児童書の第2弾を進めていきたいですし、「ムー認定」シリーズを増やしていきたいと思っています。あとは、雑誌、書籍、ムック、デジタルといった形態問わず、いろいろと挑戦していきたいですね。おかげさまで自分が好きなこと、興味がある仕事をやらせてもらっているので、この強みを活かして、より良いものを作っていけたらと思っています。

入社以来『ムー』一筋の宍戸さんだからこそ飛び出した取材裏話、とてもおもしろかったです。来月には、「創刊500号記念 ムー民感謝祭」も予定されています。児童書含めて、ますますパワーアップする『ムー』に今後も期待です! 宍戸さん、ありがとうございました!

『ムー認定! 最恐!! 都市伝説ビジュアル大事典』
https://www.amazon.co.jp/dp/4651202276/

(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)


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