満月ケチャップライス
朱川湊人 2012年
・あらすじ
・感想
図書館で「夏の本」というコーナーが設けられており、そこで気になったので購入しました。青系の本がびっしりと並べられておりました。
中学生の進也はある日、妹に起こされました。そして見知らぬ男の人と出会います。彼の名は「チキさん」どういうわけかはわかりませんが、お母さんが連れてきたとのこと。チキさんとの生活が始まるところから、このお話は展開されていきます。
最初読み始めた時は、「少し変わったおじさんのいるごく普通な家族」かと思いましたが、後半になるにつれて展開があまりにもすごくて、手が止まりませんでした。一緒にディズニーランドに行ってはしゃいだり、音楽バンド好きな彼なので、進也にエレキギターを渡したり、最初は家族みんな楽しそうに暮らしていました。しかし、ある日に耳にした風のうわさで、チキさんが何者かに追われているのではないかということが浮かび上がります。いつごろからか週刊誌などもかぎつけてちょっとずつ騒ぎになっていきます。そして、ある団体の名前が出てきたときに、最悪な事態に発展しました。
極悪人のような人でお母さんの情けでかくまっていたという状況だと思いますが、子ども二人からはとても慕われていて、真実が分かったときの信じられなそうな様子がとても気の毒でした。「自分が普段から遊んでもらっていたり、お世話になっていたりする人がこんなことをしていたことを知った」思い出がよみがえってきますし、今まで信じていたのにという失望感だったりでとても辛い状況なのではないかと思います。
これが自分の身だったらどうなのだろうと考えると、とても堪えられない話ですね。裏切られたとか、今までの日々は何だったのかとか、そういった感情が浮かび上がるのではないかと思います。知らなければ幸せなことも世の中にはたくさんあるでしょうし、必ずしも知ることがよいこととは限らないということが分かりますね。知ることって怖いことでもあるんだなぁと思いますし、人って奥の深い存在だと感じました。
・書籍情報
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?