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世界No.1化粧品メーカーが考える新卒採用 「『候補者体験の設計』はブランドビジネスそのものだ。」

こんにちは!ワンキャリアクラウドチームです。

オンラインでの情報収集が当たり前になった今、選考時の学生の体験がSNSやクチコミサイトで可視化、拡散され、企業の採用ブランディングに大きく影響するようになりました。

実際に、学生が企業の情報の魅力を見聞きした情報源においても、クチコミの占める割合が大きくなり、企業の候補者体験に対する注目度はますます高まっています。

ワンキャリアでは、学生の声に向き合い、採用で学生に良い体験を提供している透明性の高い採用を行っている企業を、クチコミアワードで「受けてよかった企業」として発表しています。

今回は10月に発表された2020年上半期速報でTOP30にランクインした、日本ロレアルの梅原様と岩月様に学生に良い体験を提供する採用を行う目的と、具体的なアクション、効果について詳しくお伺いしました。

プロフィール

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「現場社員の話が聞きたい」という学生の声に、総勢70名以上の現場社員が採用活動に参加

ー 上半期は約10,000件のクチコミが投稿されていますが、平均は3.6点に対してロレアルは4.45と非常に高い評価を受けています。採用で学生の体験を高めるために、工夫している点を教えてください。

岩月さん:私たちは化粧品会社で36化粧品ブランドを持っています。ブランドビジネスにおいてコンシューマーセントリシティ(お客様中心)を意識しているように、採用チームでも候補者のみなさまをお客様とも捉えて、キャンディデートエクスペリエンスの向上にこだわっています。

上半期も、コンシューマーファーストを貫くために、ワンキャリアのクチコミデータや、自社アンケートの声から候補者が何を求めているかを常に意識してきました。

「人事の綺麗事だけではなく、現場社員の話が聞きたい」
「話を聞くだけでなく、手を動かしながら理解を深めたい」
「エグゼクティブメンバーの声がききたい」

など候補者の声をききながら、採用施策の改善によって候補者ニーズにこたえてきたのではないかと思っています。「現場社員の話が聞きたい」という声に対する具体的なアクションとして、人事はファシリテートにまわり、30名程度の様々な職種の現場社員に登壇してもらいオンラインでイベントを行いました。上半期は20回弱のイベントを開催/出展しています。

オンラインで座談会を7セッション開催、オンラインのメリットとして学生の在住場所は意識せず、可能な限りインタラクティブなセッションを実現すべく各回40名の学生をお呼びし、人気なセッションだと2000名もの応募が集まり、倍率が50倍という結果でした。今後は動画をアーカイブし、参加できなかった学生にも届けようと考えています。またオンライン化によって、アメリカや上海など全世界からオンラインイベントに社員が参加してくれるようになったことはよい変化でした。

▼日本ロレアルに投稿されたクチコミ(一部抜粋)▼
・日本ロレアルの重役を務めている方も出席した状態での説明会となっており、その方々に質問もできるのもとても良かったです。
・企業の理念や事業内容について詳しく説明してもらえた。また、インターネットでは落ちていないような選考プロセスに関わる情報も入手できた。
・社員の方が、面接対策でどのように自己分析したかを詳しく説明してくださり、非常に参考になった。
・選考の中で、一人一人しっかり見てくれて、個性を認めてもらえるような気がした。

選考体験の設計はブランドビジネスと同じ

ー なぜ候補者体験を重要視しているのですか?

梅原さん:もともとキャンディデートエクスペリエンスという言葉は、ロレアルが非常に大切にしており、グローバル企業として本社のプロジェクトがあるレベルです。そのベースがあり全社で採用に力を入れているので「We are all recruiters」という言葉のもと、採用チームだけでなく、全社、全員で採用するカルチャーがあるほど、採用が重要視されています。

もう一点はロレアルがブランドビジネスを行っていることと通ずると考えています。キャンディデートエクスペリエンスに対する考え方として、ブランドのお客様である化粧品を購入してくださっているお客様と同じように候補者に対してもブランドとしての体験を提供している。世界No.1の化粧品ブランドとしての体験を連動して提供できるようにしています。

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実際に、会社のイメージもエンプロイヤーバリュープロポジションというかたちで雇用主としてどのようなイメージを持たれているか分析し、グローバルチームと協働しています。

グローバルチームが提言するコンセプトや企画も、日本の学生たちにどう刺さるかを考えるのは、ブランドビジネスそのもので日本の消費者にどう刺さるかを考えるのと同じです。採用においてもブランドとしてコンセプトを設計し体験の提供を行っているものがワークしているのだと思います。

オンライン採用で重要なのは「双方向性」と「社員の関係性」

ー 22卒採用は今後どのように取り組んでいきますか?

岩月さん:すでにプロモーションは開始しており、11月末の1st wave ES締切ではプロモーションを継続していきます。今後の方向性としては、よりオフラインとオンラインを掛け合わせたキャンディデートエクスペリエンスを検討、協議しています。

また、ロレアルでは「メティエワークショップ」といって、選考の途中であらためてロレアルに対して踏みこんで理解を深めてもらう場を提供しています。今年からオンライン化し、会によってはQ&Aだけでなくワークショップの要素を取り入れる予定です。ロレアルが学生を評価するだけではなく、相互理解のために、選考途中で学生がロレアルを理解する機会をつくることが目的です。

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ー オンラインでは社風を伝えにくいという声があるが、どんな工夫をしていますか?

岩月さん:学生の声をきいていると、「社員同士のかけあいで社風が分かりました」という声が多くあがっていました。「外資系にはドライなイメージがあったけれど、会話を重視するカルチャーがあることがわかってよかった」という声をいただきました。その場で生まれた自然な会話を重視し、自然な雰囲気が伝わるように工夫しています。一方で、こちらは「工夫」だけでなんとかなるものではなく、日頃からの従業員同士のコミュニケーションし合う会社カルチャーが重要と考えます。


ー 学生へのコミュニケーションについてオンライン化で変えたところは?

岩月さん:ロレアルでは、マネジメントトレーニープログラムで、少数精鋭の幹部候補生の採用を行っています。マネジメントトレーニーには入社後もテイラーメイドのプログラムをオファー時点で提供しているのですが、入社前の段階でも学生が何を求めていて、何を得たいのか、学生の声を聞きながら、ワークライフバランスを重視している社員、特定の業界出身の社員など個々のニーズにあった人を面談でアサインするプログラムを用意しています。今年はランチからオンライン面談にしましたが、エッセンスは失わないようにしています。

「アトラクト」「リクルート」「リテイン」3ステップでつくる候補者体験

梅原さん:ロレアルの採用は「アトラクト」「リクルート」「リテイン」という3つのステージで分けて考えています。それぞれ、魅力づけ、選考プロセスそのもの、入社までの内定時期におけるキャンディデートエクスペリエンスを、学生目線で見てブランドとしてどうみられているのか徹底的にこだわっています。

まず、「アトラクト」でこだわっているのは、化粧品が好きな消費者だけでなく、性別や商材の事前知識の差によって働く業界として検討するのに「後押し」が必要な方々にどのようにわかりやすくロレアルで働くことの魅力を知ってもらえるかコミュニケーションを設計しています。

「リクルート」のステージでもブランドの体験として捉えて、体験の質をチェックしています。選考自体は、個々の多様性をしっかり評価することを目指しつつ、ロレアルの面接を受けたという体験自体に統一性があるように、全面接官に対してブリーフを行います。具体的には学生の価値観や、今の市場の状況、面接の進め方など徹底してコミュニケーションを行うことで体験を担保しています。

「リテンション」では、コレクティブな絆を生むことと、パーソナルにひとりひとり対応することでの体験のミックスをつくれていることが工夫のポイントです。
また、デジタル化で3つのステージ全てにオフライン、オンラインのミックスがされている。コロナの影響でデジタル化が促進されたのは事実だが、デジタル化はコロナ以前から会社として進めていたので、スピード感をもっても対応できましたし、インフラも整っていました。変化への対応スピードが満足度に繋がった感触はあります。

オンラインとオフラインのシームレスな候補者体験の設計がカギ

梅原さん:今後に向けてロレアルでは利便性のあるデジタル、エンゲージメントを高めるオフラインの体験のシームレスな落とし所を模索すべく議論しています。「コロナの影響」が主理由ではなく、オンラインとオフラインの組み合わせでどのようなロレアル体験が作れるか。細かいポイントかもしれませんが、こういったオンライン対話の際に背景をどのようにすれば、デジタルでロレアルブランドの体験がつくれるか、物理的に化粧品に囲まれた会場や、実際の会社の雰囲気を感じていただけるロレアルカフェでの開催など、スペース含めたブランド体験を設計していきます。

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ブランドビジネスを行っているロレアルだからこそ、戦略的にキャンディデートエクスペリエンスというキーワードをもとに採用を行っているところが、他の企業には真似できないポイントだと思います。

ちなみに、現チームの岩月も、私もそうですが、もともとブランドサイドでマーケティングやセールスを行っており、ブランドビジネスでエクスペリエンスの設計を経験しているメンバーが揃っているので、採用においてもキャンディデートセントリシティを実現できる土俵が整っていると感じています。

候補者体験への投資は、エントリーに大きく影響

ー CXに投資していて、他によかったことはありますか?

岩月さん:エントリーにも良い影響があります。エントリーのサーベイをとっていますが、クチコミ経由のエントリーは多いと思います。実際に現時点でも約3割が口コミ経由*であり、全項目のなかでもトップ3入りの結果です。(*2020/10/12時点、27%が口コミ経由の応募)


ー 採用でマーケティングを行う中で、競合先の選定やターゲットのインサイト抽出はどのように行っていますか?

岩月さん:内定者へのアンケートから、内定者の併願先、どのような企業とどのような観点で迷っていたのか、どのようなメディアを就職活動で使っていたか、ロレアルに決めたのはいつで、なにが決めてだったかなど学生の声をきいて分析しています。学生の声をダイレクトに聞いていることが多いです。ワンキャリアクラウドでも学生の声を知ることができる点で期待しています。

ー 現状、ワンキャリアクラウドはどのように使っていますか?

岩月さん:競合としてベンチしている企業の採用スケジュールを確認し、自社の採用スケジュールをたてるのに役立てています。また、他社の採用施策の内容を確認し、学生からの良いフィードバック、悪いフィードバックを受けている事例を参考にして、自社のキャンディデートエクスペリエンス向上に取り入れています。ただ、採用を少人数で行っているので、まだ十分に深くリサーチはできていません。レポート機能などがあれば嬉しいです。

ー 他にワンキャリアクラウドに期待する機能はありますか?

岩月さん:競合を受けている学生が選考に求めているものや思考性がわかるとよりよいと思います。ベンチ企業を受けている学生のインサイトが示唆のある形でわかれば、プロモーションや体験の設計の質を高めていくことができると思います。

ロレアルらしい採用を。キーワードは「多様性」と「相互理解」

ー 今後どのような採用を実現していきたいですか?

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岩月さん:まず、ロレアルでは会社としても採用においても「多様性」を大切にしています。例えば、内定者にロレアルのいいところを今後の学生に伝えるムービーをつくってもらいました。そのムービーでは、選考の中で自分らしさを尊重される経験談を交えた要素も散見され、実際にロレアルが大切にしている多様性を重視されていました。「多様性」への理解を実現しているアクションを行うことで、選考を受けてくれた学生に対してブランドを体験して欲しいと思います。

また私たちにとって「相互理解」というキーワードも「多様性」と同じくらい大事です。これからも学生の声をフィードバックと捉えてプロモーションやプログラムの改善に生かしていきます。

編集後記

ロレアルの人事の方々のお話をお伺いして、候補者体験の設計に、会社としても相当注力していることが伺えました。ロレアルブランドとしての体験の統一性を担保するというお話からもブランドビジネスを展開するロレアルの強みが採用にもいきていることがわかります。また、学生の声をフィードバックと捉えて、採用広報やイベント内容の体験の設計改善に取り組んでいるお話も印象的でした。学生の声が可視化され、良い体験が採用ブランドに大きな影響を及ぼす時代。ブランドとしての体験の設計にこだわり続けるロレアルは、今後も学生から強い人気を集めそうです。

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