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ワクチン普及後も就活生の9割はオンラインを希望──学生のクチコミから「アフターコロナ」の就活を考える【新卒採用のトリセツゼミ:第1回】

新型コロナウイルスは、新卒採用の現場に大きな影響を与えました。

インターンや面接のオンライン化といった選考フローの変化もそうですが、見逃せないのが情報交換の場が減ったこと。人事同士で状況を共有する機会も少なくなったのではないでしょうか。

そこでワンキャリアは人事担当者を対象にしたコミュニティ「新卒採用のトリセツゼミ」を立ち上げました。

このコミュニティでは、セミナーなどを通じてワンキャリアが持つマーケットデータやナレッジを共有しながら、激変する新卒採用マーケットにどう対応するか、参加者の皆さまと一緒に考えていければと思っています。

この記事では、7月に行われた初回のオンラインイベントの模様をお届けします。今回は「コロナ禍後の準備」をテーマに、セミナーとグループワークを実施。イベントに参加した15人の人事からは、さまざまな悩みの共有や活発な意見交換がなされました。

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●ワクチン普及後もオンライン就活は必要?学生の意見を聞いてみると……

前半に行ったセミナーのテーマは「ワクチン普及後の採用設計」。

去年は選考やイベント全てをオンラインで実施していた企業がほとんどでしたが、今年は対面での選考やイベントを取り入れるケースが増えてきています。対面とオンラインのバランスに悩む採用担当者の方は少なくないでしょう。

「制約解除後もオンラインを利用するべき?」「他社はどうしているのか」「学生の本音は?」──そんな人事担当者の悩みに答えるべく、ワンキャリアの戸田がワンキャリア会員の学生655人から集めたアンケートを基に、

・ワクチン普及後もオンライン就活は必要?
・オンラインだと内定承諾率が下がるって本当?
・23卒の採用は、対面とオンラインをどう使い分けるべき?

という3つの問いに答える形で、オンライン就活の今を紹介していきます。まずは、ワクチン普及後におけるオンラインイベント(選考フロー)の必要性について。

23卒の学生へ、ワクチン普及後(制約解除後)に希望する就活の形式を聞いたところ、「一部オンラインを希望」または「全てオンラインを希望」と答えた学生が9割を超えました。ほとんどの学生が、何らかの形でオンラインの活用を希望していることが分かりました。

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「驚いたのが、3割以上の学生が『全てオンラインを希望』をしていたということ。説明会、インターンシップ、選考のフロー全てです。コメントから読み取る限り、彼らの多くは地方在住の学生で、残りは都市部に住んでいても、やはり感染が心配だという理由でした」(戸田)

学生にしても人事側にしても、オンラインの活用は「場所や時間の制約を取り払ってくれる」という点で有用です。学生側のニーズを考えても、ワクチン普及後もオンライン就活は必要だと言えるでしょう。

しかし、その一方でオンラインならではのデメリットもないわけではありません。その代表例が「内定承諾率」です。内定した学生とのコミュニケーションも取りづらく、オンラインだと内定承諾率が下がりやすい、という声もあります。本当なのでしょうか。

戸田によると、確かにその一面はあるとのこと。その理由は「オンラインと対面の使い分けに失敗すると、学生の満足度が下がってしまうため」だと言います。

●対面とオンライン、学生の満足度を最も高める使い分け方とは?

では、23卒の採用活動において「対面」と「オンライン」はどう使い分けるべきなのでしょうか。学生からの声を基にワンキャリアがお勧めするのは、以下のような形です。※学生アンケートと推奨施策は「ワクチン普及後、各種制限解除後」を前提とした内容になります。

・説明会:オンライン
・インターンシップ:感染対策を徹底した上で対面
・本選考:1次面接はオンライン、2次面接以降は対面

ここからは、それぞれの選考フローについて学生のアンケート回答やその理由をご紹介していきます。まずは説明会から。22卒の学生については、対面よりもオンラインの方が満足度が高いという結果が出ています。

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「説明会は、学生にとって興味のある企業を見極める段階。そこに対して交通費や移動時間を費やすのがストレスだという回答が多く見られました。加えて、説明会は一方通行のコミュニケーションになることが多いので、“聞くだけならオンラインのほうが便利”というのが学生の正直な意見です」(戸田)

また、説明会は1時間より1.5時間、1.5時間より2時間と、長時間の方が満足度が高いという結果も出ています。オンラインなら移動の時間がない分、時間も多く使えるはず。「たくさんの社員を登場させた座談会や質疑応答の時間をしっかり取って、企業の魅力を伝えましょう」と戸田はアドバイス。

●オンラインでは物足りない? インターンシップ・本選考の対面実施のポイント

続いてはインターンシップ。こちらはアンケートから対面の方が満足度が高いという結果が出ています。気になる内定承諾率ですが、こちらも対面でインターンシップを受けた学生のほうが高いという結果に。

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「23卒の学生も「一部オンライン」を希望する学生のうち9割(全体の約4割)が対面で受けたいと回答しています。実際に23卒で早期のインターンシップイベントを受けた学生からは『対面でないと面白さが半減する』『オンラインだと学校の授業のようでつまらなかった』という意見が見られました」(戸田)

「イベント全てを対面にするのではなく、『懇親会はオンラインで』『ワークショップの発表会はZoomで』など、適宜オンラインも取り入れている企業が多い印象。良質な体験をしてもらうためにも、感染対策をしながら、対面とオンラインを使い分けることをお勧めします」(戸田)

そして最後は本選考。22卒は最終面接まで全てオンラインで受けた学生が大半でしたが、内定承諾率で見ると、1次面接はオンラインのほうが高く、2次面接以降は対面での面接を受けた学生のほうが、承諾率が高いという結果が出ています。

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「「一部オンライン」を希望した23卒学生に選考フロー別の実施形式の希望を聞くと、1次面接は圧倒的にオンラインが優勢、2次面接は対面とオンラインが拮抗、3次面接以降は対面を希望する学生がオンラインを上回っています。やはり“自己PRは対面で行いたい”、“人事の方や会社の雰囲気を知るにも対面がいい”というのが学生の本音のようです」(戸田)

以上の内容を基に22卒学生からクチコミでの評価が高かった企業のセミナーや対面インターンの実例も合わせて紹介されました。

●人事が最も心を砕くのは「インターン」。地方学生に東京に来てもらうのはOK?

セミナーパートが終わったところで、参加者からは次々と質問が飛びました。ここでは内容の一部をご紹介しましょう。まずは地方学生のインターン参加について。

「インターン中の感染対策はできるのですが、地方の方が移動するときの感染リスクまでは対策できません。そもそも地域によってコロナに対する温度感が違う中で、地方の学生に東京でのインターンや面接をお願いすることは、彼らにどんな風に映るのでしょうか?」

戸田は「コメントからの温度感になってしまいますが」と前置きをした上で次のように答えました。

「23卒の学生へのワクチン普及・制約解除後の希望就活形式を聞くアンケートで『完全オンラインを希望』と回答したうちの半分の学生は地方在住。しかし、その理由としては感染リスクよりも、移動の手間や時間を費やすことへのストレスが多いような印象を受けました。ただし、エリアによって刻一刻と感染状況や警戒度合が変わるため、学生さんに希望を聞くのが理想的だと思います」(戸田)

また、別の方は「インターンシップと一言で言ってもさまざまな内容がありますよね。社内での仕事の進め方や働き方を知ってもらうには、実際にオフラインで現場に入ってもらう方がいいと思うのですが、グループワークのようなものもオフラインの方が満足度は高いのでしょうか?」と質問。

こちらに対しても戸田は「内容の差分での集計はしていないのですが」と断りつつ、コメントなどからの肌感として、グループワーク型でも対面の方が満足度の高い印象を受けると回答。「オンラインだとできることに制限があって、学生さんにとっても、企業にとっても、なかなか満足のいくワークができないようです」。

発言しやすいゼミの雰囲気に、参加者も次々と「難しいですよね」「どこまで対策すれば安心なのか」と質問や悩みを口にしました。そのほかにも「対面インターンの場合は、社員はPCR検査なども受けていますか?」といった具体的な質問も。

実際にワンキャリアでインターンシップを行った担当者が、実例やその中で感じた学生の温度なども語りました。各企業の人事担当者が、日々状況の変わるコロナ禍での就活にどれだけ頭を悩ませているか、そして、激変する新卒採用マーケットに想像以上に積極的な姿勢で取り組んでいるかがうかがえる、有意義な講義の時間となりました。

●「内定辞退が多いんです」 異業種の人事が協力して解決法を考える!

休憩を挟み、後半はグループワークです。前半の講義およびそれに伴う質疑応答の内容から、テーマは「コロナ禍での学生のアトラクトに関する悩み」に。いくつかのグループに分かれて現状の悩みや解決法を話し合い、結果を発表し合いました。

各グループの悩みの多くは「もともと自社や業界に興味が薄い学生が集客できない」というもの。

決方法として、座談会の参加社員やイベントプログラムの変更、企業を知る機会を増やすためのコンテンツ作成、さらにはまったく違うターゲット層の企業の人事担当同士でタッグを組んだマッチングイベントの実施など、さまざまなアイデアが飛び出しました。

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シビアな現状からか、予想以上に議論が交わされた初回。ワンキャリアの担当者も「今回のテーマとして「アフターコロナの準備をしよう」と掲げていたのですが、皆さんの意見をお伺いする限り、直近の課題はコロナ禍での戦い方なのだと思いました」と改めて企業の悩みを感じ取りました。

「地域別、志望職種別での調査結果も知りたい」「23卒の学生の、対面・オンラインそれぞれのインターンを受ける前とあとでの印象の変化を知りたい」といったご意見もあり、今後はセミナーで紹介するデータや、アンケートのブラッシュアップもしていきます。

「次回のイベントは「インターンシップの最新トレンドー学生の心を掴むコンテンツとは?―」を予定しています。次回のご案内もワンキャリアクラウド採用計画(無料)のご利用者様宛に配信いたします。また、ワンキャリアは「新卒採用のトリセツ」と題し、新卒採用の体系的な考え方から、すぐ活用できる実践方法までをご紹介するnoteマガジンも展開しています。こちらもぜひご覧いただければ幸いです。

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