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ノーコードスタートアップ大全(157社)を公開します -後編-

本記事は全文無料でお読みいただけます。157社の概要をまとめたデータベース(Airtable)へアクセスする場合は有料となります。
※データベースは前編と同じものです

ノーコードスタートアップ大全の後編です。早速、本題に入っていきたいと思います。前編をご覧になっていない方はぜひ、ご覧ください。

カテゴリ別にみるノーコードスタートアップ

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前編では、TOP5まで紹介しましたので、後編ではTOP6-10のカテゴリ、および気になるプロダクトについて紹介していきたいと思います。もし他に該当するものがあれば、Twitterにて教えていただけますと幸いです。

6. EC(20社)

ECサイトをノーコードで作れるサービスといえば、Shopifyや日本のBASEが有名でしょう。いずれもデジタルシフトの恩恵を受けて、GMV(取扱高)や新規出店数が急増し、マーケットからの評価も非常に高くなっています。

正確にはECではないのですが、面白いサービスがあったので紹介したいと思います。Sharetribeというサービスは、Airbnb のようなマーケットプレイスを素早く、簡単に作ることができます。マーケットプレイスを作れば、ユーザー同士で物やサービスを売買したり、レンタルすることができます。音楽スタジオやプライベートプールのレンタル、自動車部品の販売などにも利用されているようです。

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©︎Sharetribe

スタートアップからFortune 500に載るような大企業まで利用されており、すでに1,000以上の導入事例があるそうです。Canonも導入企業として紹介されており、Canon Australia にて、カメラのシェアリングコミュニティ「Kyoyu」をSharetribeで運営しています。

ロゴやカバー写真が設定できるのはもちろん、おしゃれなサイトに仕上げることができます。独自ドメインやメールアドレスを利用することも可能です。Google Analyticsを利用することもできるため、トラフィックの分析も簡単に実施できます。また、「title」や「description」も自由に設定できるため、SEOにも強いとアピールしています。

Sharetribeによって作られたマーケットプレイスのユーザーは、場所や価格、キーワードなどで検索することが可能です。ユーザー同士でメッセージのやり取りをすることができます。C2Cサービスでは、ユーザー同士のトラブルが心配ですが、管理者(Sharetribe利用者)はそれらを管理することができるので安心です。取引後にはレビューを付けることができるため、ユーザーの信頼性がよりオープンになっていきます。

決済システムはStripeとPayPalが利用でき、200以上の国、25以上の通貨に対応しているため、グローバルなサービスとしても展開可能です。Sharetribe利用者は、マーケットプレイスにおけるの取引から手数料を得る仕組みになっています。

マーケットプレイスにおけるユーザー数に応じて、4つのプランが用意されています。最も安い「Hobby」プランでは、100ユーザーまで利用でき、1つ上の「Pro」プランでは、1,000ユーザーまで利用できるほか、独自ドメインやメールアドレスを設定することが可能となっています。30日の無料トライアルが可能です。クレジットカード登録も不要なので、マーケットプレイスを作ってみたい方は、試しに利用してみてはいかがでしょうか。

同社は、フィンランドのヘルシンキの拠点を置くスタートアップで、2011年にAntti Virolainen氏らによって創業されました。これまでフィンランドに拠点を構えるVCを中心に資金調達を実施しており、2018年にはクラウドファンディングにて €1M(約1.2億円)を調達。累計調達金額は、$2.4M(約2.5億円)となりました。C2Cサービスはまだまだ伸びていくため、同社の成長にも期待ができそうです。

7. Collaboration(16社)

Collaboration分野において、いま最もホットなツールといえば Notion でしょう。日本に縁がある海外スタートアップだからなのかは分かりませんが、スタートアップ界隈では利用している方が多い印象です。

今回は Coda というオールインワンサービスを紹介します。

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©︎Coda

Googleドキュメントやスプレッドシート、その他のアプリケーションを日常的に利用している場合、各サービスを行き来しないといけなかったり、タブが増えすぎてPC動作が重くなってしまうことも多々あるかと思います。Coda はそれらのアプリケーションを1つにまとめたオールインワンアプリとなります。

ボタンやテーブルのような「ブロック」を作り、用途に合わせてカスタマイズすることが可能です。「/(スラッシュ)」で簡単にブロックを挿入できますが、Meeting notes や Idea voting などのテンプレートも用意してあるため、すぐに利用することができます。ここまで聞くと本当に Notion に近いですね。

大きな特徴として、頻繁に利用するアプリケーションと連携できることが挙げられます。例えば、 Googleカレンダーと連携すれば、1週間の予定をカテゴライズし、優先順位付けを Coda 上で行うことができます。Shopifyと連携すれば、在庫管理や価格設定を行えたり、Jiraと連携すればタスク管理も Coda 上で完結します。

プランは4つ用意されており、無料で利用することもできます。しかし、サイズが大きいドキュメントを作成したり、ワークフローを自動化したい場合はアップグレードすることをお勧めします。また、GmailやSlackのような日常的に利用するアプリケーションと連携する場合も有料プランを利用する必要があります。Proプランでも月額10ドルで利用できるので、個人でも支払える金額ですね。New York TimesやSquare、Uberなどの名だたる企業も Coda を利用しているようです。

同社は、2014年に元GoogleのAlex DeNeui氏とShishir Mehrotra氏により創業され、サンフランシスコに拠点を構えています。先月、シリーズCで$80M(約84億円)を調達しました。Kleiner PerkinsのMamoon Hamid氏(slack,Box,Figmaなどへ投資)がリードとなり、Evan Williams氏(Twitter,Medium 創業者)や Reid Hoffman氏(Linkedin創業者)率いる Greylock など、名だたる投資家から調達を行っています。累計調達金額は$140M(約147億円)となり、次のユニコーン企業とも言われています。このラウンドについては公式記事がありますので、興味のある方は見ていただければと思います。

私も普段は Notion を利用していますが、並行して Coda を利用してみたいと思います。気になる方は是非、こちらのリンクから使ってみてください。登録者、紹介者の ”いずれも” 10ドルのクレジットをGetできます。SaaSが続々と誕生している中、Codaのように ”面” を取れるサービスはスケールしやすく、Notion のように日本でも流行り始めるかもしれません。

8. Database(13社)

Databaseといえば、最近シリーズDにて$185M(約194億円)を調達した「Airtable」が有名でしょう。ノーコードスタートアップをリサーチする中で、たくさんのWebサイトを見ましたが、データベースとしてはデファクトになりつつあると思います。シリコンバレーではすでに、Googleスプレッドシートより利用されているかもしれません(あくまで憶測ですが)。

ドイツのベルリンに拠点を構える「dashdash」は、マーケティングやセールスツールやWebアプリケーションを構築できるデータベースとなっています。

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©︎dashdash

使い勝手は、100%スプレッドシートと謳っています。そのため、Excelや Googleスプレッドシートを使ったことがある人であれば、すぐに使うことができます。SUM,IF,MATCHなど、お馴染みの関数ももちろん使えます。セルに「ボタン」や「チェックボックス」をつけることができるため、スプレッドシートよりは少しリッチなUIですね。

最大の特徴なのが「Integration」機能。日常的に利用しているサービスと連携すれば、CRMの情報を更新したり、メールやチャットを dashdash から送信することもできます。タブを行ったり来たりするのが億劫な方には、とても嬉しいサービスです。また、数式を組むことで、定期的なデータ更新を自動化することも可能です。そして、スプレッドシートへ入力したデータから、アプリケーションを構築し、一般公開することができます。

dashdashは、主にセールスやマーケティングにおいて活躍するプロダクトだとアピールしています。例えば、業界や規模、資金調達などの情報からターゲットになりそうな企業リストを自動生成することができます。Linkedinやメールアドレスなどの情報を抽出し、ターゲットリストをよりリッチなものにすることも可能。その後、ワンクリックでCRMに情報を入力することができます。もちろん、CRMの情報を dashdash 上で更新することも可能です。HubSpotと連携してリード生成を自動化したり、Linkedinを活用したマーケティングなども活用方法として紹介されているので、興味のある方は是非、読んでみてください。

これらの機能は基本的に無料で利用することができます。 GmailやTwilio、Crunchbaseなどのパートナーとデータ連携し、計算を実行した際に課金される仕組みになっています。現在では、1つの計算を実行するごとに0.01ドルとなります。対応しているIntegrationsはこちらから確認できます。

dashdash は、Humberto Ayres Pereira氏らによって2016年に創業されました。今年3月には、スイスに拠点を置くVC、Lakestar をリードとした資金調達を行っています。金額は非公表ですが、その前のラウンドにて$8M調達(シリーズA)しているので、それよりは大きな金額かと思います。FacebookやGrouponに投資してきた Accel からも調達を行っています。

9. Payments(12社)

Paymentsでは、決済用リンクをシェアできる「Trolley」やクリエイター向けコミュニティサービス「Buy Me A Coffee」などさまざまなものがあります。

「課金」に悩む SaaS 起業家におすすめなのが「Servicebot」。これは、Stripe を活用した課金をスムーズに、ノーコードで実現できるサービスです。

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©︎Servicebot

「価格ページ」を簡単にWebサイトに埋め込むことができます。Stripeでプランや価格を変更すると、自動的に価格ページの情報も更新されます。価格ページのABテストも簡単に実施できるため、適切なプライシングを実現することもできます。「サインアップページ」をWebサイトやアプリケーションに埋め込めば、スムーズなサインアップおよび支払いを実現することができます。クレジットカードの入力要否を選択したり、サインアップ後のリダイレクト場所を設定することも可能です。

「カスタマーポータル」を埋め込めば、顧客自身で契約の管理を行うことができます。次回の支払日や価格を確認できたり、プランのアップグレード(ダウングレード)やサブスクリプションの停止を簡単に実施できます。コミュニケーションコストが削減され、カスタマーサクセスチームはアップセルやプロダクトの改善に集中することができます。また、請求書も顧客自身でPDFでダウンロードできるため、もう郵送したり、メールで送信する必要はありません。これら全てをノーコードで実現できるため、エンジニアやデザイナーはよりクリエイティブな作業に集中することができます。

料金はユーザーのMRRによって決まる仕組みになっています。例えば、MRRが1,000ドルの場合は月額50ドル、MRR 10,000ドルの場合は月額75ドル、MRR 100,000ドルの場合は月額750ドルで利用することができます。気になる方はこちらから価格を確認してみてください。

同社は、Shar Darafsheh氏によって2017年に創業され、サンフランシスコに拠点を構えています。Crunchbaseを見る限り、まだ資金調達はしていない模様です。SaaSはこれからもまだまだ増えるでしょうから、このようなニーズはどんどん高まってくるかと思います。特に、初期のSaaSビジネスにおいては、価格変更を頻繁にすることがあるかと思います。そんな時でもServicebot を利用すれば、価格変更や検証を簡単に、エンジニアの手を介さずに行うことができるため、ビジネスを素早くスケールさせる手助けになるでしょう。

10. Chatbot(10社)

チャットボットをノーコード でWebサイトやアプリケーションに構築できるサービスが10社ありましたが、Faceboook Messengerがベースになっているものが多かったです。

サンフランシスコに拠点を置く「ManyChat」もその1つ。MessengerやSMSを活用したチャットボットをノーコードで作成することができます。

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©︎Manychat(実際にやりとりしてみた)

パーソナライズされたメッセージを送ることができるため、CVRの高いマーケティング/セールスを行うことができます。また、アポイント取得や製品の販売をMessenger上で行うこともできます。Messengerは毎日13億人が利用しているメッセージアプリであり、開封率が80%だそう。メールやその他のチャネルよりも費用対効果が高そうです。また、Facebookと紐づいているため、プロフィールを取得できることもメリットとして挙げられます。

ドラッグ&ドロップの直感的な操作で独自のチャットボットが構築できる他、テンプレートも用意されているため、すぐにチャットボットを運用することができます。また、ShopifyやMailChimp,HubSpotなど、さまざまなサービスと連携できる点も特徴の1つです。例えば、Googleスプレッドシートと連携すれば、チャットでやりとりしたユーザー情報を自動的にスプレッドシートに集約することができます。

プランは「Free」と「Pro」が用意されています。Freeでは、テンプレートがベーシックなものであったり、CRMやEmailなどと連携ができないなどの制限があります。一方、Proでは豊富なテンプレートが用意されていたり、チャット上に「購入ボタン」を設置できるなど、豊富な機能を取り揃えています。料金はユーザー数に応じて変動する従量課金制です。例えば、500名の場合は月額10ドル、5,000名の場合は月額45ドル、25,000名の場合は月額145ドルとなります。まずはFreeを利用してみて、活用できそうだったらアップグレードを検討してみると良いかと思います。

同社は、2015年にMikael Yang氏によって創業され、間もなく500 Startups から資金調達しています。また、昨年4月にはシリーズAとして、$18M(約20億円)の資金調達を行い、累計調達金額は$23.1M(約24億円)になりました。同ラウンドでは、クラウド業界で著名なBessemer Venture Partnersがリード投資家になっています。

これまでは、Emailを利用したマーケティング/セールスが中心でしたが、タイトルを見ただけで開封されなかったり、迷惑フォルダに入っているなんてことも多々あるかと思います。そのような状況で、MessengerやSMSを活用したマーケティングはポテンシャルが大きく、注目していきたい領域です。

解説は以上となります。ノーコードスタートアップ 157社 をまとめたデータベースを「Airtable」にて公開しています(下記イメージ)。

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掲載項目
・プロダクト名
・企業名
・カテゴリー
・プロダクト概要
・資金調達シリーズ
・累計調達金額
・設立年
・本社拠点
・Website URL
・Crunchbase URL

もし、見てみたいという方がいらっしゃれば、本記事を購入していただければと思います。内容は前編で公開したものと同じです。すでにご購入いただいている方はご注意ください。

注意事項
・Grit view(スプレッドシートのようなもの)のみとなります。
・閲覧のみとなります。編集はできませんが、コピーやCSVダウンロードはできます。
・ソートやグルーピング、フィルタリングすることが可能です。
・「Funding type」「Total Funding」は2020年9月時点のものになります。今後、当該情報を更新するかは現時点で未定です
・返金対応はしておりませんのでご注意ください。

長文お付き合いいただき、ありがとうございました。Twitter(@saas_penguin)やっております。よろしければフォローしてくださいませ。また、Newsletterにて国内外のSaaSに関する情報やイベントのご案内をしております。よろしければご登録ください(メールアドレスのみで登録可能です)。

以下より、有料部分となります(Airtableのリンクを貼っております)。

ノーコード スタートアップ大全(157社)

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